AIやIoT技術の進化に伴い、年々需要が高まっているエンジニア。一般的に、エンジニアは会社員よりフリーランスの方が高収入だと言われており、会社員エンジニアの中にはフリーランスとして独立を考える人も少なくありません。
「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」がフリーランスの定義です。近年は企業などの組織に属さずに自身で生計を立てるワーカーが増えていますが、フリーランスエンジニアは、実際に年収1000万円などの高収入を目指せるのでしょうか。フリーランスエンジニアが収入アップするためのポイントを検証しました。
フリーランスで活躍するエンジニアは全体の17.2%
フリーランス協会が発表した「フリーランス白書2022」によると、数ある職種の中からエンジニア・技術開発職はフリーランスで活躍する割合が高いことが分かります。全体の17.2%が該当するなど、クリエイティブ・Web・フォトの20.2%に次ぐ2位の数値です。多くのエンジニアがフリーで活躍していることが分かります。
また、フリーランス全体に目を向けると収入面においては正直、ばらつきが目立ちます。51.4%と半数以上が400万円未満の年収に留まっている一方で、年収1000万円以上の割合は8.8%と割と高い比率で高収入を得ている方もいます。フリーランスは自分の頑張り次第で、収入のアップ・ダウンの両面があり得るので、満足できる仕事を得られる体制構築が鍵を握ることになるでしょう。
フリーランスエンジニアとして働く5つのメリット
フリーランスエンジニアは、会社という組織に縛られることなく、自身で仕事を選んで働けるという魅力があります。エンジニアがフリーで働くメリットは主に下記の5つです。
1.収入アップが見込める
フリーランスはクライアントと自由に契約を結べるので、報酬も自分での設定が可能です。また、報酬はクライアントから直接もらうことができるため、手数料やコストを差し引かれることもありません。
2.自由な時間が増える
特定の企業に所属するわけではないので、通勤の必要がありません。さらに、勤務時間や休憩時間も自由に決められるので、自分の時間を確保しやすくなります。上手くスケジュール管理ができれば、仕事をしながら新しいスキルを学ぶことも可能です。
3.自分で仕事を選べる
フリーランスは、自分自身で仕事を選べます。そのため、報酬の高い仕事を優先的に選ぶ、関係が良好でない取引先との契約を終わらせることも自由です。自分の裁量や好みに合った仕事だけを選べるため、会社員に比べてストレスも少ないでしょう。
4.経費の計上で節税ができる場合がある
フリーランスの場合、自身で確定申告を行うことで、上手く経費計上ができれば節税も可能です。基本的に、事業に関する出費はほぼすべて経費として計上できるので、スキルアップのための書籍代や交通費、仕事の付き合いでの食事代なども経費となり、課税対象の所得を低くできます。
5.在宅など、好きな環境で働くことができる
フリーランスは企業に属していないため、仕事場も自由です。自宅で仕事をしている人が多い傾向にありますが、お気に入りのカフェや公園、コアワーキングスペースなど、仕事ができる環境であればどこでも働けます。ワーケーションなどの働き方がしやすい点も利点です。
フリーランスエンジニアとして働く3つのデメリット
エンジニアがフリーになることで多くの恩恵を受けられますが、組織に属さないことで苦労を強いられることも当然ながらあるでしょう。では、フリーランスエンジニアのデメリットは具体的にどんなところでしょうか。主に3つが挙げられます。
1.収入が安定しない
フリーランスエンジニアは自分で仕事を受注する必要があるため、受注できなければ収入は0です。また、プロジェクトごとに業務委託契約を結ぶのが一般的なので、決まった年収などは一切約束されていません。
2.ボーナスや有休などの福利厚生がない
ボーナスや福利厚生がないのも、フリーランスの大きなデメリットと言えるでしょう。万が一、大きなけがや病気で仕事ができなくなった場合も保障はなく、その分、収入が減ることは避けられません。
3.メインの業務以外の雑務が増える
フリーランスエンジニアになると、税金の計算や申告、案件受注の営業など、本来の業務以外の雑務も自分で対応する必要があります。特に確定申告前は忙しく、「思うように仕事が進まない」という人も少なくないです。
フリーランスエンジニアの年収アップは案件獲得が鍵
どんなに優れた技術を有しているエンジニアだとしても、仕事の依頼が来なければ収入を得ることはできません。そのため、フリーランスになる際には案件獲得の伝手を得ることが必須です。つまり、人脈やコネクションは、年収を増やすうえでの大きな要素と言えます。以前に勤めていた会社やお得意先、もしくはクリエイターのマッチングサービスなど、案件獲得のために活用できる手段やルートは数多くあります。特にフリーランスなりたての際は、仕事を選ぶのではなく、獲得する努力を怠らないことが大切です。
多くのエンジニアが案件を獲得する手段の3分の2が人脈
先に紹介した「フリーランス白書2022」においては、仕事獲得につながったルートに関するアンケートの回答も非常に興味深い内容です。たとえば、仕事獲得の決め手において、人脈(知人の紹介含む)という回答が65.9%にのぼります。つまり、約3分の2が人脈ベースなのです。
ビジネスは新規よりも既存や紹介でつながりのほうが確実にハードルは下がります。実績をベースに人脈でつながって仕事を獲得するというのがフリーランスの王道のパターンと言えるでしょう。企業担当者の中には、フリーランスに対して「ルーズ、いい加減」などのマイナスイメージを持っている方もいるかもしれません。だからこそ受けた仕事できちんと成果で示すことが求められます。
次回以降も仕事を依頼してもらうためには相手の信頼を得ることが大前提です。取引先からの連絡や質問、お願いごとなどは、信頼獲得のチャンスと心得て、丁寧に対応するようにしましょう。また、新規で仕事につながる人脈を確保するには、ブログやSNSなども活用して仕事につながる有益な人脈を増やすことも大切です。
エンジニアの収入アップは技術に加え人脈の強化を
【フリーランス エンジニア 年収 案件獲得のまとめ】
- フリーランスで活躍中のエンジニアの数は多い
- 実力のあるエンジニアでも案件がなければ仕事はない
- フリーランスが仕事を獲得するには人脈が重要になる
企業に勤務するエンジニアであれば、スキルが高ければ多くの業務を頼まれ、仕事が充実するかもしれません。一方でフリーランスは、自身のスキルが高くても、それを仕事につなげる術を知らないと収入を得られないのが実情です。
エンジニアであれば、自身の技術向上への研鑽に惜しみのない方が多いでしょう。ただ、フリーランスエンジニアとしてより多くの成功を望むのであれば、既存の仕事を含めて新たな顧客獲得につながる人脈形成の意識は不可欠な要素だと言えるでしょう。