DXが加速しデータサイエンスやAI、機械学習の需要が高まっている現代において、「Python」はぜひ学んでおきたいプログラミング言語です。ITエンジニアとデータサイエンティストの連携が求められている昨今の状況も相まって、双方で扱える利便性も注目されています。
また、Pythonはシンプルな言語であり初心者でも学びやすいという特徴があります。将来性も安定しており、キャリアアップを目指す方や1つのITリテラシーとして学ぶにも良い言語です。
今回はPythonがプログラミング言語の中で注目されている理由や、Pythonで機械学習を習得するための流れを解説します。
Pythonとは何か?
Pythonとは、組み込み開発やWeb開発、AI、教育分野などの幅広いシーンで使われているプログラミング言語です。1991年、オランダのグイド・ヴァン・ロッサムという人物によって開発され、現在では「これさえあれば何でもできてしまうのでは」といわれるほど万能な言語となっています。また、Pythonには「文法がシンプル」「ライブラリが豊富」といった特徴があり、これらも人気の秘訣と言えます。
就活生の約5割が「Python」を習得したいと回答
出典:レバテック株式会社「2022年新卒対象エンジニアプログラミング言語トレンド調査」
エンジニアやクリエイターの転職支援等を行うレバテック株式会社が、2022年新卒の就活生を対象にしてプログラミング言語のトレンドを調査しました。「プログラミング言語のトレンド調査」ではおよそ5割の就活生が「今後習得したい」と答えた「Python」が1位に輝きました。
Pythonが1位になった理由としてはここ数年、投資等を中心にAIや機械学習市場が活況であったことが背景にあります。Pythonはデータサイエンス領域で世界的に注目されている言語であり、新卒者たちの多くが「安定した需要が望める」と判断したことが1位になった理由だと考えられます。
また、コードが短く比較的勉強しやすい、誰が記述しても似たようなコードになりやすく引き継ぎしやすいといったPythonが持つ特徴も、新卒者の習得意欲を高めやすく注目を集めた理由と言えそうです。
出典:レバテック株式会社「2022年新卒対象エンジニアプログラミング言語トレンド調査」
Pythonの特徴・AI分野で注目される理由とは
Pythonは汎用性が高く、データ分析からWebアプリケーションの開発まで用途が広い点が特徴に挙げられます。また、書式と文法がシンプルで分かりやすいため、プログラミングの初心者でも学びやすい点も人気の秘訣。データサイエンスの人工知能・AIにおいては、機械学習の開発言語がPythonの独擅場。多くの企業やサービスで利用されています。
Pythonが注目されている背景
もともとPythonは分散オペレーティングシステムの管理目的に開発されました。しかし、バージョンアップでリストの概念や関数型言語の基本機能が実装されたり、多次元配列・行列ライブラリの「Matrix Object in Python」が開発されたりしたことで、比較的早い段階から科学者やエンジニアたちのコミュニティに注目されたのです
その後、NumericとNumArrayを統合した「NumPy」や、幾つかの科学計算用ライブラリをパッケージ化した「SciPy」がリリースされ、コミュニティと民間企業が本格的にサポートすることになりました。
Pythonをサポートする民間企業として有名なのが、Enthought社とContinuum Analytics社です。 Enthought社については、SciPyをベースにツールやパッケージ、サポートを提供しているほか、科学技術計算向けの「SciPy Conference」と呼ばれる会議を開催しています。一方、Continuum Analytics社ではPythonディストリビューションの「Anaconda」を提供するとともに、「Py Data」と呼ばれるデータ分析向け会議の開催を支援しています。 また、大手GoogleでもPython開発者のグイド・ヴァン・ロッサム氏を雇用したり、機械学習ライブラリの「scikit-learn」や多変量回帰分析・時系列分析ライブラリ「statsmodels」などをリリースしたりと、Pythonをサポートする姿勢が伺えます。
Pythonで機械学習を習得するための4ステップ
Pythonは初心者でも学びやすい言語です。ここでは「環境の準備」「スキル学習」「機械学習ライブラリの理解」「サンプルプログラムの作成」という、Pythonで機械学習を学ぶうえで基本となる4つのステップを解説します。
ステップ1:Pythonで機械学習のプログラミングができる環境を準備
Pythonは、本体と機械学習に必要なライブラリが別々に存在しています。ただ、それらを探して個別にインストールするのは手間がかかり面倒なものです。そこでおすすめなのが「Anaconda」というディストリビューションです。数値計算やデータ解析に必要となるライブラリが複数セットになっており、インストールすればすぐにPythonでの開発環境を構築できます。Pythonを学びたいが、どのライブラリを導入すべきか分からない方には便利なディストリビューションと言えるでしょう。
ただし、インストール容量が多くなる点にはご注意ください。
ステップ2:機械学習のためのスキルを学習
Pythonを扱うためにはスキルを学ぶことが必要です。勉強法としては「学習サイト」や「書籍」等を利用するのが一般的です。
学習サイトでは動画やスライドなどが用いられており、初心者でも分かりやすくPythonのスキルを学ぶことができます。学習サイトはいくつかあり、料金や無料コンテンツの有無などに違いがあります。
書籍での学習は自分のレベルに合わせてPythonのスキルを体系的に学べることがメリットです。空き時間を活用して本を読み、理解を深めていきましょう。
ステップ3:Pythonの機械学習ライブラリを理解
学習サイトや書籍を通して、Pythonについてある程度の知識がついたならば、機械学習ライブラリにも触れていきましょう。ただし、ライブラリは数多くあるため1つ1つ闇雲に学んでも時間がかかります。「NumPy」「TensorFlow」「Scikit-learn」など、機械学習で使われやすいライブラリから触れていくことで効率的に学ぶことができます。
ステップ4:サンプルプログラムを作成
Pythonとライブラリの知識を学んだならば、サンプルプログラムを組んでみましょう。実際に自分で開発することで理解が深まりますし、学習が足りない部分なども見えてきます。
サンプルプログラムは何を作成してもかまいませんが、スムーズに作成したいならば「Scikit-learn」の学習データがおすすめです。ライブラリで提供されるデータを活用すれば、初心者でも比較的スムーズにプログラムを組むことができるでしょう。
これからの時代のニーズに合った言語がPython
【Python 機械学習 注目のまとめ】
- 市場拡大も踏まえてPythonは就活生に人気の言語に
- 機械学習の開発言語においてはPython一択の状態
- 機械学習アルゴリズムを開発するところまでがセット
現代ではさまざまな分野でAI化やIoT化が当たり前になっていて、この流れは今後も加速していくことでしょう。Pythonは機械学習や統合分析に欠かせないプログラミング言語であり、扱える人材の需要も安定的に拡大する可能性が高いです。
Pythonによる機械学習を習得するためには記事中でもご紹介したように、「準備・学習・理解・開発」といった一連の流れを行うことが大切です。Pythonに限ったことではありませんが、知識だけを身につけるのではなくトライ・アンド・エラーをしながら最終的にサンプルプログラムを作成することが、理解を深めるのに役立ちます。そのような形で前向きかつ継続的に学習を続けていけば、データサイエンスやAI分野で活躍する道も開けていくことでしょう。
Pythonはプログラミング言語の中でもシンプルであり、初心者でも学びやすい言語です。独学で習得する方も多くいるため、ぜひこの機会にPythonを学んでみてはいかがでしょうか。