現代社会では、DXが推進されており、システムエンジニア(SE)の存在は欠かせないものとなっています。しかし、社会全体で需要が増えている一方で、高単価の仕事が受けられている人とそうでない人に分かれています。その理由にはどんなものが挙げられるのでしょうか。本記事では、システムエンジニアの年収が増えない原因や、年収を1,000万円台に到達させるための方法などを解説します。
ITエンジニア職の職種別平均年収で社内SEは5位
出典:パーソルキャリア株式会社「HR forecaster」保存版ハンドブック スキル年収マップ(ITエンジニア編)
パーソルキャリア株式会社は、求人要件作成支援サービス「HR forecaster(エイチアール フォーキャスター)」で、職種の平均年収が分かるデータ「保存版ハンドブック スキル年収マップ」を公開しています。
このデータを確認すると、「社内情報システム(社内SE)」の平均年収は606万円となっています。これは、ITエンジニア職の中で第5位の結果でした。調査された職種は全11種のため、平均より上の年種であることが分かります。
出典:パーソルキャリア株式会社「HR forecaster」保存版ハンドブック スキル年収マップ(ITエンジニア編)
また、職種×スキルの平均年収も公開されています。これによると、第3位が社内情報システム(社内SE)×IFRSで841万円という結果となっています。IFRSとは国際会計基準のことです。販売や購買管理、原価計算、固定資産などの関連システムに必要な知識とされています。こうした専門知識と、社内SEとしてのスキルを持った人材が、企業に求められていることが分かりました。
システムエンジニアの年収を左右するのは要件や業種
システムエンジニアという職種は、要件の難しさや業種により、年収が大きく変わるとされています。たとえば、金融やSIer、コンサルティングファームなど、要件が複雑で難易度が高い場合は、年収も高くなるケースが多いです。さらに、IFRSなどの専門スキルなどを持っていると、一般的なシステムエンジニアよりも年収が大幅に高くなります。以下でくわしく解説します。
企業の業績・企業規模や事業内容
同じ職種でも、会社の規模や事業内容により年収は大きく異なります。一般的に、業績が良く、企業規模が大きい会社であるほど年収が高くなります。大企業であればあるほど開発システムの規模も大きくなり、求められる技術レベルの条件も高くなりがちです。そのため、小~中規模の企業で働くシステムエンジニアと比べると、年収の差が発生しやすくなります。
業界・業種の違いや企業の知名度
業界や業種の違い、企業の知名度によっても年収が変わってきます。高年収が期待できる業界には、「金融」「SIer」「コンサルティングファーム」が挙げられます。この中でも、特に銀行や保険会社などは求める技術が高いため年収が高いとされています。お金を扱う決済システムなどは不具合が起きないように、複雑なシステムと高い技術が求められます。また保守やメンテナンスも必須です。担う責任が重く、正確性が求められるため、他の業種よりも高く設定されています。また企業の知名度が高いほど、年収が高い傾向にあります。
システムエンジニアに不可欠なスキル・知識
SEになるために求められるスキルや知識はさまざまですが、最低限必要と考えられるものが主に3つあります。それは、コミュニケーション能力・論理的思考能力・システムに関する幅広い知識です。
コミュニケーション能力
SEはクライアントやプロジェクトメンバーとやりとりすることが多いため、コミュニケーション能力が重要なスキルになります。要件定義や仕様をプログラマーに伝えるのもSEの仕事です。この段階で行き違いが生じないよう綿密な意思疎通が求められます。また、クライアントの要望を聞き取り、クライアントが抱える問題の解決策を分かりやすく説明する必要もあるのです。
論理的思考能力
SEの業務である、要件定義・要件分析、システムの設計には論理的思考能力が必須です。そして、クライアントが抱える問題に対して、論理的に解決案・改善案を提示する必要があります。問題解決までの道筋を合理的に説明できなくては、クライアントを納得させることができません。
システムに関する幅広い知識
システム設計・開発の知識だけではなく、SEはプログラマーに指示を出して管理するため、ある程度プログラミング言語について知っておかなくてはいけません。ハードウェア・ソフトウェア、データベースなど、プログラミング以外の知識も必要です。また、IT業界はトレンドの移り変わりが極めて速く、常に新しい情報をインプットすることも大切です。
システムエンジニアが年収を上げるための4つの道
年収を上げるには、高収入の要件に適応できる人材になる必要があります。ここでは、年収を上げるための方法についてご紹介します。
専門資格の取得
専門資格を持っていることで、自分のスキルを客観的に評価してもらえます。そのため、面接時にもスムーズにアピールすることができるでしょう。また自分のスキルの把握にも役立ちます。おすすめの専門資格は以下の通りです。
【おすすめの専門資格】
- 基本情報技術者試験(FE)
- 応用情報技術者試験(AP)
- プロジェクトマネージャ試験(PM)
- システムアーキテクト試験(SA)
ただし、目指す業界や業務によって求められるスキルは異なります。自分が働きたい業界にどんなスキルが必要なのか、事前に把握しておきましょう。
上流工程の受託
なるべく上流工程の仕事を受けることも大切です。上流工程の仕事を行うには、最初に入社した会社でキャリアアップを目指すか、ある程度経験を積んだら、上流工程を行っている企業に転職する方法などがあります。
ただし、いきなり上流工程を請け負う大手企業を目指すのは難しいでしょう。そのため、まずは二次受け、一次受けとステップアップしていくのがおすすめです。
PMとしての経験値
プロジェクトマネージャ(PM)としての経験値を積むのもおすすめです。上流工程を担当すると、マネジメント職を兼ねる立場に就くことも珍しくありません。人をまとめるマネジメント職は、それだけ管理能力が問われます。仕事内容が難しくなる分、報酬も増えるでしょう。そのため、プロジェクトマネージャとしての経験も積むことをおすすめします。
経営視点での対応
経営側の視点も持てるようになっておきましょう。経営視点とは「企業の利益を最大限にする目線」のことです。経営目線に立つことで、「このシステムは将来的にどうしたらいいのか」などの課題を抽出することができるでしょう。こうした人材は、システムエンジニアとしての価値が高いと判断されます。
ニーズに応える人材になれば年収1,000万円は可能
【システムエンジニア 年収1,000万円のまとめ】
- ITエンジニア職も仕事要件によって収入は変わる
- SEは業務内容のレベル感によって年収は大きく異なる
- 高収入を得るにはハイレベルで仕事をこなすSEに
ITエンジニア職は、仕事の難易度や企業の規模、業種などによって大きく年収が異なります。特にシステムエンジニアは、業務のレベルによって年収に大きな差があります。金融やSIer、コンサルティングファームなど、求められる要件のレベルが高いほど、年収が高いのが特徴です。年収1,000万円台を目指すのであれば、高難易度の要件をこなせるようになる必要があります。
そのためには、専門資格を取得したり、マネジメント能力を身に付けたり、できるだけ上流工程の仕事に就いたりなど、さまざまな方法があります。いずれも簡単にはいきませんが、これらの対策をとれば、年収1,000万円を目指すことも十分可能です。まずは、自分が行いやすい方法から目指してみてはいかがでしょうか。