TV放送やソーシャルメディアなどと連動した、インタラクティブコンテンツを続々と世に送り出している株式会社バスキュール。そのフロントエンドで、クリエイティブ・デイレクターなどの様々な「こうしたい」をシステム的に実現し、自らもユーザーが操作しやすく、楽しいコンテンツを企画しているのが渡邊敬之さんです。渡邊さんが目指すクリエイティブと、最近の仕事についてお話を伺いました。

バスキュールとの出会い

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大学、大学院で電気・電子分野を専攻し、なんとなく電気系のエンジニアの世界に進むイメージを持っていました。趣味でホームページの作り方を調べていたら、JavaScriptやFlashというもので簡単にゲームやアニメーションらしきものが作れることを知り、ゲームやアニメが好きだったので、学生時代から独学でプログラムの勉強をしていました。

当時は、デザインやインターフェイス、モーションなどに力を入れて作っている人たちが多い中で、バスキュールは明確に「自分たちでオリジナルのコンテンツを作るぞ」「映画やコンシューマゲームなど既存のコンテンツに負けないウェブならではのコンテンツをつくるぞ」みたいな気概が漂っていて、そこに感銘を受けてバスキュールに応募しました。

入社して約7年になりますが、バスキュールのクリエイティブフィールドが広がり、僕の役割も単なるオーサリングだけではなくなっています。色んな新しいことにチャレンジできる環境を生かして、自分を高めていきたいです。

最近のクリエイティブについて教えてください

img022012年の夏に展開されたTOYOTAの「ソーシャル ヒッチハイク」というWebプロモーションで、Flashの実装とディレクションを担当しました。

タレントのふかわりょうさんが運転するプリウスで、1泊2日の新東名高速道路(東京~名古屋間)ドライブの様子を生中継するというもの。途中で元モーニング娘の光井愛佳さんも同乗し、ユーザーはバーチャルなヒッチハイカーとしてコンテンツに参加できるというような、参加型のライブコンテンツでした。

ネット上のライブ番組(例えばUSTREAMやニコ生など)は、基本的にユーザーとのコミュニケーションは視聴しているユーザー側からコメントするというものですが、もっとインタラクティブな仕掛けを使って、ユーザーが能動的にコンテンツに参加し、もっと体験を深め、さらに楽しめるか、ということを考えながら作りました。

特に力を入れて作ったのは、ユーザーがサイト上で設置したボタンを連打すると抽選でTalkSeatと呼ばれる特別な席に座ることができ、ドライバーと直接コミュニケーションをとることができるという機能でした。ドライブ中の車内にスマートフォンを3台載せ、ユーザーが入力したメッセージをリアルタイムに音声合成してドライバーに届け、会話ができるようにしました。

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移動し続けているクルマに対して、生放送はもちろんのこと、さまざまなデータをやり取りするというかなりチャレンジングな企画でしたが、家にいながらもドライブに行ったような気持になれるよう、仕掛けをいくつも用意しました。

参加ユーザーは約1万人にのぼり、ヒッチハイカーが空間を越えて同じ車に乗り込み、一緒にドライブを楽しみました。当日は、そんな1万人ドライブを想像しながら、オペレーションを楽しみました。

※ソーシャル ヒッチハイクドライブ中のクルマからドライブの様子を生中継。ユーザーは、バーチャルなヒッチハイカーとしてコンテンツに参加することができる。 ユーザーは車に乗り込むと、感情アイコンでリアクションしたり、ドライバーが出したアンケートに答えたり、アイコンが合成された記念写真をダウンロードしたりできる。 また、車内にはスマートフォンとタブレットが載っていて、ユーザーが入力したメッセージをリアルタイムに音声合成化し、車内のドライバーと会話することも可能だった。

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また以前、ユニリーバのAXEの「GO TO THE AXE TOWER~告白の塔」でもディレクションと実装を担当しました。SNS上で繋がるフォロワーに愛の告白ができるムービージェネレーターのようなものです。

従来のムービージェネレーターと違う点は、それを受け取った相手が返事を選択したり、コメントを書いたりすることでムービーが変化していくという点です。

このコンテンツを通してユーザー同士でコミュニケーションを楽しんでもらえたらいいな、と思って作りました。真剣な告白をした人はいないかもしれませんけど(笑)。

※AXEの「GO TO THE AXE TOWER~告白の塔」img05
ツイッターのフォロワーの中から告白相手を選び、自分の告白メッセージを入力すると、ムービーとして生成される。告白された人にはそのメッセージが届き、それにOKかゴメンナサイか答えることができる。また、それを見た第三者は、ガンバレーなどと応援が可能。ユーザーが参加することによってムービーが変化していく。

バスキュールでの役割をどう捉えていますか

フロントエンドエンジニアという立場を通して、バスキュールとしても個人としても、世界に公開しても恥ずかしくない、クオリティの高いものを作ることが一番の役割だと認識しています。
フロントエンドは、企画やデザイン・バックエンドなどすべてを統合したユーザーへの最終アウトプットなので、いくら企画やシステムがすごくても、フロントエンドで実現できなければ全体のコンテンツへの印象も変わってしまう、重責あるポジションだと思います。

それぞれの要素を統合するだけでなく、アニメーションやビジュアルエフェクト、インタラクティブなロジックなどを組み込んで実装しますが、おかしなところがあればチームでとことん話し合い、フィードバックや提案を繰り返しながら完成度を高めていきます。
作ってみて、触ってみないとわからない部分も多々あるので、出来るだけ早く手を動かし、柔軟に対応しています。

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また、バスキュールは常に新しいコンテンツを探っているので、クライアントへの説得や自分たちの手ごたえを測る意味でも、デモ制作をすることも多くあります。最近では、ディレクターを担当することもあるので、デモを作って制作の指示を出すこともあります。

今後の展望を教えてください

ウェブ黎明期は、インターフェイスを3Dにするだけでもユーザーの興味を引いていたと思いますが、今の時代にはそれでは誰も面白がってくれません。
近年は、PC上で主にFlashを使ってウェブコンテンツを作ることが主だった流れも、スマートフォンやタブレットが登場したことにより、ブラウザだけでなくアプリも手軽になり、プラットフォームが多様になりました。
そのような中、活躍されているデザイナー・エンジニアの方々は、さまざまな技術やデザイン・映像・企画など、一つの分野でなくて、それぞれを横断的に組み合わせ、まとめ上げて、アウトプットできる人たちが求められ、活躍していくように思います。
私も、一つのことにこだわらず、複合的にいろいろやってきたいと思っています。
作ることが好きなので、自分で手を動かしながら、だからこそ出来るものを作りながら、さらに幅を広げていきたいと考えています。


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バスキュール

私たちバスキュールは、世界中の人々に喜んでもらえるインタラクティブコンテンツ を生み出すことを目標に、2000年に設立された企画制作会社です。
「従来」や「常識」といった枠を飛び越え、高度なコミュニケーションデザインを提 供することと、その制作活動を通じて、新しい仕事や会社のカタチも探っています。
近年のチャレンジはテレビとスマートフォン、ソーシャルをつなぐソーシャル視聴、 ダブルスクリーンの可能性の開拓。テレビ局や関係ソーシャルメディアサービスの 方々も巻込み新しいインタラクティブコンテンツのあり方を切り拓いています。

私達とともに切磋琢磨していただける方からのご応募を心よりお待ちしております。

バスキュールコーポレートサイト
http://www.bascule.co.jp/