ITエンジニアが転職するには、どのような準備や心構えが必要でしょうか?また、未経験者がITエンジニアに転職するには何をすればいいのでしょうか?
転職のコツを知っていれば、有利な条件での転職に成功する可能性が高くなります。未経験の転職希望者もITエンジニアになれるかもしれません。
この記事では、ITエンジニアが転職するためのコツや転職前にしておくべきことを説明しています。一読すれば、きっと転職活動に役立ちます。
- ITエンジニアが転職を成功させるコツ
- スキルを磨き、情報収集する
- 勉強会や交流会に参加する
- アウトプットする
- 転職経験者の話を聞く・検索する
- キャリアの棚卸しをする
- 資格は必要か
- ITエンジニアの転職は売り手市場
- ITエンジニアの働き方
- ITエンジニアの就職先
- ITエンジニアのキャリアステップ
- IT業界に求められる人材
- まとめ
ITエンジニアが転職を成功させるコツ
エンジニアとして転職を成功させるために、押さえておくポイントが大きく分けて4つあります。
- 1. スキルを磨き、情報収集する
- 2. 勉強会や交流会に参加する
- 3. アウトプットする
- 4. 転職経験者の話を聞く・検索する
少しでも良い条件で転職するコツを解説します。
現役のITエンジニアだけではなく、未経験からITエンジニアを目指す人にもぜひ実践してほしい内容です。
1.スキルを磨き、情報収集する
当然のことですが、スキルが高ければ高いほど転職はしやすくなります。
業務で覚えたスキルや知識だけではなく、新しいプログラミング言語に挑戦したり、最新の技術に関する情報を収集したりと、常に向上心を持って勉強に取り組むことが重要です。
ITエンジニアの中には、プログラムのコードを書かないSEのような職種もあります。しかし、プログラミングができれば転職の可能性が広がります。少しでも有利な転職ができるよう、勉強しておくほうが得策です。
参考書やリファレンスを買って、日頃からコードを書く習慣をつけましょう。また、ITを支えている技術の仕組みを理解しておくことも大切です。
Webから情報を収集する手段としては、GitHubやQiitaにあるコードを参考にしたり、はてなブックマークで最新の人気記事を見たりするのがおすすめです。
また、個人ブログやTwitterで有益な情報が見つかることもあります。役に立つ情報を発信しているアカウントがあれば、読者登録したりフォローしたりしましょう。
2.勉強会や交流会に参加する
日頃から会社の仕事を行っているだけでは、長い目で見て将来的に大きな仕事をするためのスキルを身につけることは難しいかもしれません。
多岐にわたる業界を相手に仕事をしているならいざ知らず、同じ業界、同じ取引先だけを対象とした仕事を続けていても、新しいスキルを身につけるのは至難の業です。
そこで新技術や他業種の勉強会に参加し、自らの知見を高めていくことで、将来に備えるようにしましょう。
特に交流会においては自分自身の言葉で他の参加者と話す機会が多くあります。エンジニアとしての知見を持った上で話すことはもちろんですが、ここで磨かれるのは対人能力です。
世界最高レベルの技術者であれば話し下手であっても重宝されるのは言うまでもありませんが、世の中の大多数の人はそうではありません。
そうなると、ここで活きてくるのがコミュニケーション能力です。
ある程度の社会経験があれば、会社の仕事はチームワークで動いていることを目の当たりにしたことがある人もいるでしょう。このチームワークで動くために必要なコミュニケーション能力を磨くというのも一つの手です。
ただ人によっては疑問に思ったかもしれません。
「エンジニアに必要なものはスキルであってコミュニケーションは関係ないんじゃないの?」と。
しかしこれは大きく誤った考えです。
実際に『スキルはあるのに面接で落ちるエンジニア』と題した対談で、DeNA・メルカリ・サイバーエージェントそれぞれの採用担当が話していたことは「面接の準備にさほど時間を費やしていないように見受けられる」ということです。
面接の準備ができていないというのは、面接を受ける会社の業界やビジネスへの理解もそうですが、自分自身の言葉で相手に考えを伝えることができるか、というところにもつながります。
結局のところ、仕事は人対人で行うことはどこでも往々にしてあることなので、コミュニケーションを疎かにする人はたとえスキルがあったとしても「この人とは仕事がしにくいな」と敬遠されてしまうことになります。
いい結果を生むことができるのはいいコミュニケーションから、ということは覚えておいたほうがいいでしょう。
そのためにコミュニケーションが苦手な人は交流会を通じて、自分から話しかける、自然に自己紹介できる、他人に関心を持つ程度のスキルを身につけるところから始めてみてもいいでしょう。
また交流会のメリットは何と言っても人脈づくりができるということです。転職を経て、いずれはフリーランスや経営者として独立する可能性もあります。その際に仕事の相談をしたり、業務をお願いできそうな人を見つけたりしておくことは、将来のための大きな支えになります。
3.アウトプットする
技術の向上にはインプットだけではなく、アウトプットも大切です。
例えば、GitHubやCodePen、Qiita、または個人ブログで自作のコードを公開したり、ITやWeb、プログラミングに関する知識を紹介したりするのがおすすめです。
付け焼き刃の知識ではアウトプットはできません。漏れなく理解できているか、うまく人に説明できるかを確認するためにも、アウトプットはとても重要です。
知識・情報の発信は、書類や面接で実績としてアピールできます。知識の量とレベルを採用担当者が把握しやすくなるからです。
そして、アウトプットの習慣は向上心の表れとして、間違いなく評価されるでしょう。
4.転職経験者の話を聞く・検索する
もし転職を経験したITエンジニアが身近にいるなら、いろいろと質問してみましょう。
転職経験者の「○○しておいたのが転職に役立った」「○○しておけばよかった」といった意見は間違いなく参考になります。
周りに転職経験者がいない場合はブログなどを検索するのもよいでしょう。転職に役立つ記事がたくさんヒットします。
キャリアの棚卸しをする
転職活動を始めるにあたり、キャリアの棚卸しをしておくとよいでしょう。
「これまでどのような仕事に携わってきたのか」「どのようなスキルがあるのか」「今後どのように仕事をしていきたいのか」をあらためて考えてみましょう。
ただ漠然と転職活動を行うのではなく、自分自身のキャリアを見つめ直し、軸を持つことが大切です。
自分にとっての「転職の成功」とは何かをはっきりさせておきましょう。
「給料や待遇」「休み・勤務時間」「やりがい」「スキルアップ」など、転職の軸は人それぞれです。それを明確にしておかなければ、転職後に後悔することになりかねません。
キャリアの棚卸しは面接対策にもなります。
「弊社でどのような仕事がしたいですか?」「転職先の条件として何を重視していますか?」「どのようなキャリアを積んでいく予定ですか?」など、面接時の質問はキャリアの棚卸しをしておけば答えられるものばかりです。
逆にキャリアの棚卸しをしていないと返答に窮してしまうでしょう。
転職はゴールではなく、あくまでも理想のキャリアを形成するための手段です。転職の先にあるゴールを設定しておくことが最も大切です。
資格は必要か
ITエンジニアになるために資格は必須ではありません。資格がなくてもエンジニアの業務はできます。資格を保有しているから実践でのスキルが高いとは限りません。
ただ、資格の勉強に意味がないわけではありません。特に、未経験からITエンジニアを目指す人にとって、資格取得にはメリットがあります。
未経験者は実務での実績がないので、評価が難しくなります。そこで資格取得をアピールポイントにするのも一つの手段です。
「向上心」は、優秀なITエンジニアになるために欠かせない素質です。資格取得に費やした努力が「向上心がある」と評価されることもあるはずです。
ITエンジニアになりたいが何を勉強すればいいか分からない人は、きっかけとして資格取得にチャレンジすることをおすすめします。
また、自分の知識に漏れがないかを確認するために勉強するのもよいでしょう。
NPO法人Linux技術者認定機関であるLPI-Japanが実施しているLinux技術者認定資格「LPIC」、Javaを扱うエンジニア向けの「Oracle Certified Java Programmer」、フロントエンドエンジニア向けの「HTML5プロフェッショナル認定資格」など、希望の職種に合った資格の取得を目指しましょう。
とはいえ、先に書いたように資格取得は必須ではありません。時間に余裕があれば挑戦してみましょう。
ITエンジニアの転職は売り手市場
ここまで読んで、「ITエンジニアの転職は大変そうだ」と感じた人もいるかもしれません。
確かにITエンジニアの転職は容易ではありません。
しかし、昨今はどの業種もエンジニア不足が叫ばれ、中には猫の手も借りたいくらいの企業もあるようです。
厚生労働省が公表している全職種の有効求人倍率(平成29年1月・実数)が1.43倍なのに対して、「情報処理・通信技術者」は2.55倍です。
- http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000152925.html
- http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11602000-Shokugyouanteikyoku-Koyouseisakuka/G38_59.pdf
経験豊富なITエンジニアはもちろん、未経験者を採用している企業も少なくありません。
ITエンジニアの転職は売り手市場ですので、強気で攻める姿勢が大切です。
もし現在の職場に不満があるのなら、ぜひ転職活動にチャレンジしてみてください。
また、ITエンジニアを目指している人は、思い切って就職活動を始めてみてはいかがでしょう。
ITエンジニアの新着求人一覧
クリーク・アンド・リバー社就業支援サービス
ITエンジニアの働き方
一口にITエンジニアといっても、その職種や転職先、キャリアステップはさまざまです。
ITエンジニアの就職先
SIer
日本のITエンジニアのほとんどはSIer(エスアイアー=システムインテグレーター)に所属しています。そして、SIerに所属するのがSE(システム・エンジニア)です。
SEの仕事は多岐にわたります。顧客が望むシステムについてヒアリングし、その要求を分析・定義します。そして、設計からテスト、運用までを担います。
SEは慢性的な人手不足の状態にあり、ITエンジニアを目指すならまずSEが狙い目です。
Web制作会社
Web制作会社で働くエンジニアもいます。特に、Web関連の技術に精通したエンジニアをフロントエンドエンジニアといいます。
フロントエンドエンジニアの技術は日進月歩のため、新しい技術に対する好奇心やアンテナの高さが求められます。
関連記事:フロントエンドエンジニアとは?その現状と必要な言語・ツール
社内SE
自社のシステムを開発・運用するITエンジニアもいます。一般に社内SEと呼ばれる職種です。社内のシステム構築、ネットワークやセキュリティ対策など、ITに関する業務全般を担います。
今やPCを使わない企業はほとんどありません。社内ネットワークや独自のシステムを構築している企業では、ITに詳しい人材が求められています。
自社サービス
自社サービスを開発するITエンジニアもいます。サービス内容によって職種は異なりますが、例えばWebサービスを運営している会社であれば、フロントエンドやバックエンドのエンジニア、そしてサーバーに関わるサーバーエンジニアも必要です。
ITエンジニアのキャリアステップ
ITエンジニアにはさまざまなキャリアステップがあります。エンジニアとしてのスキルを磨いてその道を究めるか、職種を変えてステップアップするかでキャリアは全く異なります。
分野によってもキャリアステップは違いますが、ここでは代表的な職種を紹介していきます。
ITスペシャリスト
一つの分野に特化して、高い専門性を持つのがITスペシャリストです。
一般のエンジニアには解決できない難解なバグにも対応可能な、問題解決能力に秀でた存在です。
ITスペシャリスト向けの資格試験もあるので、ITスペシャリストを目指すのであれば現場で経験を積んだ後、資格取得を目標にしてみましょう。
フルスタックエンジニア
ITスペシャリストと違い、幅広い分野の知識・技術を身につけているのがフルスタックエンジニアです。
例えば、Webに関する技術であれば、フルスタックエンジニアはサーバーやデータベース、フロントエンドなどの知識・技術を網羅しています。
PM(プロジェクトマネージャー)
PMはプロジェクト全体を管理・指揮します。
具体的には、開発計画の立案や開発中の進捗(しんちょく)管理、開発後の評価・レビューなどです。クライアントと予算や納期などを打ち合わせ、SEとプログラマーなどのチームを監督します。
ITエンジニアとしての経験・スキルだけでなく、コミュニケーション能力や経営者目線でのマネジメント能力が求められます。
ITコンサルタント
業務を効率化したり、システムの課題を解決したりする方法を提案するのがITコンサルタントの仕事です。
企業経営を支援するITシステムを企画・立案します。
ITの知識だけではなく、課題を解決するための分析力、コンサルタントとしての経営の知識、プロジェクトをまとめるマネジメント能力が必須の職種です。
IT業界に求められる人材
IT業界に求められる人材は、第一に向上心が高いことです。
日常の業務や研修だけでは、優れたITエンジニアにはなれません。
前述したように、知識やプログラミングスキルを磨くことを常時心がけましょう。
IT業界は非常に変化が速い世界です。常に新しい情報・技術を収集し、知識をアップデートし続けることが求められます。
第二に、効率化スキルです。スキルよりも、「効率化が好き」というほうが適切かもしれません。
例えば、Excelを使う仕事でVBA、Webの開発であればGulpやSassなどのツールを利用して、できる限り作業を自動化します。他にも、シェルスクリプトでPC作業を効率化できます。
これらを積極的に導入して、少ない労力で成果をあげることもエンジニアには求められます。
そして、コミュニケーション能力です。エンジニアは独りで黙々と仕事をしているイメージがありますが、そうではありません。
SEであれば、クライアントの要求を聞き出し、プロジェクトメンバーに適切に伝えなくてはいけません。
プログラマーは、仕様書の不明点を質問するなど、SEと連携して業務を進めます。ここでもコミュニケーション能力が必要です。
また、Webサイトやアプリを制作するエンジニアはデザイナーと連携します。両者は分野が異なるため、情報共有がうまくいかないこともあります。しっかりと意思疎通を行い、行き違いが生じないようにしなくてはいけません。
まとめ
「転職したい」「今の職場に不満がある」「ステップアップしたい」と日頃考えていても、いざ転職となると腰が重くなりがちです。
未経験からITエンジニアを目指している人も、初めはスキルが不安で転職活動に踏み切れないかもしれません。
しかし、ほとんどの企業では、不足しているITエンジニアを積極的に採用しています。現在、ITエンジニアの雇用環境は求職者に有利な状況です。
自らの市場価値を客観的に判断するのは難しいことです。実は企業が欲しがる人材だとしても、その自覚がなければ好条件で転職できない可能性もあります。
経歴を客観的に見るには、転職エージェントに相談する方法もあります。自らを客観視するだけではなく、書類や面接での対策も相談してみましょう。
クリーク・アンド・リバー社ではITエンジニア向けの求人を紹介しています。「ITエンジニアとしてステップアップしたい」「転職して就業環境を改善したい」などの希望がありましたら、ぜひご相談ください。