近年、アプリケーション開発や人工知能の構築、効率的なデータ分析、ブロックチェーンの開発などプログラミング界隈の多岐に渡る分野で注目を集めているPython。Pythonは国内にとどまらず海外でも広く支持されており、興味を持っている方や既に使用されている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回大学・専門学校にてWeb制作の授業を担当し、さらに株式会社コムセントの取締役CTOとして幅広い分野でご活躍の「関口 和真(セキグチ カズマ)」先生をお招きし、Pythonの基礎知識から使い方まで今後のステップアップのためのヒントをお届けします。

【この記事で得られる学び】

  • Pythonとは何か、基礎知識について知れる
  • Pythonの記述に必要な要素やその書き方が分かる
  • Pythonの記述において何に注意しなければならないかが把握できる

1.Python基礎オンライン講座-Pythonの概要-

「Python基礎オンライン講座」第1回目では、Pythonがまだよく分からない方から実際に使用されている方に向けて、Pythonの基礎から使い方まで解説。大学・専門学校にてWeb制作の授業を担当し、株式会社コムセントの取締役CTOとして幅広い分野でご活躍の「関口 和真(セキグチ カズマ)」先生に教えて頂きます。

2.登壇者紹介

関口 和真(せきぐち・かずま)

株式会社コムセント取締役 CTO
サイトデザイン、HTMLのコーディング、JavaScript・PHP等を利用したプログラム開発、iOS・Android向けアプリの作成、ウェブサーバーの実装、運用などトータルでウェブサイトの作成を行う。テクノロジーを理解し、デザインやコーディング、サーバー運用やサービス運用のアドバイスをトータルで行える点が強み。
株式会社コムセント(Web制作会社)のCTOとしてWebサイト作成、システム開発及びプログラム開発に従事。ECサイトのカスタマイズ、フルスクラッチによるWebシステム開発、映像配信システムや映像配信、配信用スマートフォンアプリ作成を主に手がける。
大学・専門学校にて、Web制作の授業を担当(非常勤)。イベントやセミナーの登壇経験も豊富。 Dreamweaver等の著書も。
関口和真氏

3.Pythonについての基本知識

Pythonとは

まずPythonとは何かという基本的な知識からお伝えさせていただきます。Pythonとはプログラミング言語の一種ではありますが、元々プログラミングを学習するために作られた言語です。プログラミング言語は大きく二つの言語に分けられており、一つがコンパイル言語 もう一つがスクリプト言語と呼ばれています。例えばWordやExcelなどはC言語やJavaなどコンパイル言語と呼ばれるタイプのもので作られており、一方でPythonはスクリプト言語と呼ばれるものになります。

その二つの何が違うかというとコンパイルという作業が要るか要らないかで分類され、Pythonはコンパイルという作業が要らないタイプです。一見コンパイルの作業が要らない方が便利のように思えますが、例えばWordやExcelなどの大規模なプログラムをPythonで作って動かそうとすると重くて動かないなどの状況が発生してしまい、一方でコンパイル言語の場合はそのような大きなプログラムでも動きますが、その分作るのが大変という特徴もあります。また、コンパイル言語はすぐに試すことができないという欠点がありますが、スクリプト言語はコンパイルという作業が要らないためすぐに試すことができるというメリットもあります。

Pythonを動作させるためには

それでは実際にPythonを使用していくためにはどうしたらいいのでしょうか。まずPythonには言語としてのPythonと実行環境としてのPythonの二種類の意味があります。少し厄介なのですが、この言語としてのPythonを動作させるためには実行環境としてのPythonが必要です。

Pythonの実行環境にはいくつか実装系が存在します。実はPythonは他のプログラミング言語で作られており、例えばC言語で実装されたPythonは「CPython」、Java言語で実装されたPythonは「Jython」、C#言語で実装されたものを「IronPython」といい、一般的にPythonと呼ばれるものはC言語で実装されたものを指しています。

Pythonのバージョンについて

続いてPythonのバージョンについてですが、現在主流なのはPython3系「Python3.11.3」というものになります。Pythonは昔のバージョン1から2に更新され現在3系列になっていますが、2系列もまだ一部で使われていたり古い本に書かれていたりします。ただし2系列と3系列では互換性が失われてしまっているため、昔使えたものが使えなくなっていることやPythonの書き方も全然違っていることがあるので注意が必要です。

Pythonってどこで使われているの?

さてPythonは一体どこで使われているのでしょうか。身近な例で言うと、機械学習の作成(AI)がその一つとして挙げられます。AIとPythonの相性はかなり良く、AIのもの自体をPythonで作ることはありませんが、AIに必要なデータを提供する際やAIが処理した結果を受け取り必要な追加処理を行う際にもPythonを活用することが多いです。
またPythonの中からAIモデルの叩きを作成することやブラウザを自動化するなどの自動化に関する処理、サーバーの管理ツールやWebサービスの作成も可能です。

Python 使用用途

Pythonの特徴

Pythonの特徴の一つとして、Pythonは動的型付け言語というタイプになります。動的型付け言語とは型と呼ばれるものを自動的に類推してくれるものになり、反対が静的型付け言語と呼ばれます。ただ必ずしも正しいとは限らないため、注意が必要です。また、元々教育的目的のため比較的容易に記述することが可能であることと、多数のライブラリーが公開されていることも大きな特徴の一つです。それと共に開発事例が多いため、参考となる資料も豊富です。

Pythonのデメリット

ここでPythonのデメリットもお伝えさせていただきます。まず型指定がないため集団開発時にバグが生じやすいことが挙げられます。また先ほども述べた通り人が行うよりは遥かに速くはありますが、プログラミングの世界でいうとスクリプト言語は実装速度が少し遅い傾向にあります。さらにPythonはインデントが自由に追加できないため他の言語プログラミングの経験がある方は混乱してしまうかもしれません。最後に、Pythonに関して多くのライブラリが開発されていますが、その分ライブラリの更新頻度が高いためコードが古くなってしまう傾向にあるので注意しておいてください。
またデメリットに加えてPythonにできないことを二つ覚えておいて欲しいと思います。一つはスマートフォンアプリの作成。そしてもう一つはブラウザーのフロントエンドの作成です。

Pythonを作成、動作させる

では実際にPythonを作成、動作させるために何が必要になるのでしょうか。まずPythonは一般的なエディタなどで記述可能です。今回はVisual Studio Codeをおすすめさせていただきます。もちろんEmacsなどの他のエディタやPyCharmなどの統合開発環境(IDE)などを使用しても問題ありません。

Pythonはソフトを入れればMacBookやWindows、Linuxでも動きます。これから実際にPythonを記述していくやり方をお伝えさせていただきますが、今回はAnacondaやMiniconda、Jupyterなどのツールと一緒になっているタイプのPythonではなく一般的にインストールしたPythonのご説明のみとさせていただきます。

4.Pythonの記述と変数について

記述の基本知識

ここから実際にPythonを記述していくやり方をお教えします。