炭鉱のカナリアの話って、ご存知ですか?
カナリアは毒ガスに人よりも早く気づいて教えてくれるので、危険を察知できるよう炭鉱にはカナリアを連れて行ったってあの話です。

NGOってカナリアなんです。危険な匂いをいち早く察知するのが得意です。だから、NGOがうまく機能すると社会に致命的な問題が起きる前に、まだ問題が小さなうちに解決できます。
今の日本は、NGOが上手く機能していなかったから、小さな問題がそのまま腐って、大きな問題となり、先行きの見えない不安に溢れる世の中になってしまったのではないでしょうか。

日本がこれ以上不安な国にならないため、日本がもっともっと素敵な国になるため、NGOを上手く機能させるその鍵を握っているのが、今これを読んでいるあなたのようなクリエイターの皆様のプロボノワークなのです。

一つ事例を出してわかりやすくご説明しましょう。下の図1を見てください。

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これは最上小国川のダムの例を使って「日本問題山積み構造」をシステム思考で図式化したものです。

上の①を見てください。最上小国川という日本有数の美しい川に、ダムが造られようとしています。

②ダムが造られると、次のように考える人達がいます。ダムによる治水は時代遅れだ。必要の無いダムにたくさんお金をかけるのは、税金の無駄使いでは?いい加減公共工事依存型の地域産業を脱却する方法を考えなければいけないのでは?ダムの建設によって、本来のこの川周辺にあった生物多様性が失われるのでは?

③その人達はダムを造らずに済む方法を考えるため、この問題を解決するために「最上小国川の“真の治水”を考える会」というNGOを立ち上げます。

④しかし、経験不足、能力不足、人材不足、資金不足のないない尽くしで、この問題を多くの人に知ってもらうことができません。メディアにこの問題を説明し、働きかけることもできません。メディアの人達も知らないことを記事にはできませんから、それ以上広がることがありません。

⑤メディアも報じない、あんまり人に知られていないそんな問題を解決しても、なかなか票や利益には繋がりにくいので、当然、議員や、行政も動きません。

そうして、解決されない問題が日本の中に山積みになっていくのです。

高尾山の自然を守ろうと活動されている「けんじゅうの会」さんが「だいもんだいちず」を作っています。こんなに日本には警鐘をならしているNGO達があるのです。でも、このカナリア達は、人がいないところで鳴いているので、多くの人に、この危険な様子が伝わっていません。今これを読んでいるあなたは、このカナリア達の鳴き声を聞いたことがありましたか?

まずは、人に伝えること、伝わること。そこから、自然や人の権利を守る活動を続ける・広げるための全てが始まります。そこが上手くいけば、お金も、人も、自然とだんだん集まってくるようになります。お金と人が集まってくると、また人に知らせる活動を大きくすることができます。最初の人に伝えること、伝わること。これがとても大切なのです。

これができると、下の図2の「日本の問題すぐ解決できたよ、素敵だね構造」が生まれます。

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Aダムが建設予定という問題が生まれます。NGOが設立されます。Aダムの建設問題が、正しく、わかりやすく、共感できる『チラシ』や『HP』を使ってコミュニケーションが始まります。
多くの人がその問題を知ります。メディアもその問題を報じます。議員や、行政も動き出します。ダムの建設が凍結されます。問題が一つ減りました。同じようなダム問題にも、その解決方法が適応されます。加速度的に類似問題が解決されていきます。

どうですか、人に知ってもらうこと、知らせる『チラシ』や『HP』などのツールの大切さが、どれだけ日本全体の問題解決のために大切なことかわかって頂けたでしょうか。

だから、クリエイターのみなさん、みなさんの「知恵」「経験」「技術」を使って、是非、NGOの人達が挙げている声を、正しく、わかりやすく伝えるツールを、まずは作ってあげてください。それが、日本をもっと素敵にする「ツボ」なのです。

次回は、具体的な行動の起こし方について、お話できれば思います。