クリエイター座談会第2弾!今回は現役Webディレクター4名に、動画コンテンツプラットフォーマー(Disney+、Netflix、AmazonPrime)について語ってもらいました。
「Netflixはこうすればもっと儲かる!」「劇場お笑いライブとNetflixは相性良い」「義務教育コンテンツで会員を増やす」「速報性の高いニュースドキュメンタリー番組」などの斬新なアイデアだけでなく「(自分担当のメディアには)コメント機能は絶対につけたくない!(笑)」などの現役ディレクターならではの本音も爆発。カットせずにそのままお届けします。
※編集部より:動画愛にあふれる参加者の主観的な意見や空想が多々含まれていることをご了承ください。
【ダイジェスト版】1分動画でお届けします!
話すひと
寺地さん
20代/Webディレクター、Webマーケター
杉本さん
30代/コンテンツディレクター
松尾さん
20代/Webディレクター
小川さん
30代/Webディレクター 兼 インタビュアー
※以下、敬称略
Disney+はNetflixを超えるのか?
――プラットフォームでありつつも、強力なオリジナルコンテンツを充実させている2社ですが、Disney+の勢いは凄まじく1年半で会員1億人を突破。2026年にはDisney+がNetflixを追い抜くという試算もあります。動画配信サービスにおいて、Disney+はNetflixを超えるのでしょうか?
杉本 そういう作品ってアカデミー賞とか(の選考)にのるんですか?
寺地 そういえば、以前にはNetflixの作品が賞をもらってましたよね。
杉本 Disney+の作品もノミネートされるようになったら、本当にNetflixの対抗馬になる気がしますね。
寺地 Disney+が王道を攻めている分、NetflixやAmazonPrimeがアウトローな作品を作っている印象があります。Disney+には強いブランド力があるぶん、下手なことができないというか。
一方、Netflixはやりたい放題できるイメージはありますね。ちょっと方向性が違うかなと思いますね。
杉本 たしかにNetflixオリジナルの『全裸監督』とかは、絶対にDisney+ではできないしお子さんがいる家庭では見せられない(笑)
寺地&松尾 (笑)
杉本 先進性という意味でも、毛色は違いそうですよね。
寺地 安心感はありますよね。
――たしかにNetflixの最先端感はありますね。最近は映画にせよアニメにせよNetflixで配信された作品が流行っている印象があります。『鬼滅の刃』『進撃の巨人』『梨泰院クラス』『愛の不時着』。Netflix側にブームをコントロールされている気もするのですが、いかがですか?
寺地 知らず知らずのうちにコントロールされているのかもしれません(笑)
杉本 自分の好みもありつつ、ある程度は世間の流行りを抑えておきたい気持ちがあって、それをNetflixに頼っているかも。「(流行りを)知っておかないと!」みたいな。
松尾 私も最初にNetflixのランキングをみて「あ、これ観た、これも観た」ってなって、アマプラ(※AmazonPrimeの略)とかHuluに移動しちゃうので、ネトフリ(※Netflixの略)に縛られている感じはします。
でも、どうやって自分で選ぶかとなると、私が好きなドラマというジャンルは数がありすぎて探せないから「これおすすめだよ!」って情報をキャッチできるツールがNetflix以外にもあればよいなと思いました。
寺地 たしかにドラマは作品数が多い。
松尾 個人的にドラマはアマプラオリジナルが面白くて、『THE Boys(ザ・ボーイズ)』は流行っている他のヒーロー作品の批評になっているし、『東京女子図鑑』とかも一般的な女性像や女性の人生のゴールに対してカウンターを決めている作品なんです。
一般人気とは逆を行く感じが私的には刺さっていて。
あとは『マーベラス・ミセス・メイゼル』が好きで見ていますね。
寺地さん:僕普段アニメしかみないですが、その3つは気になるので今度イッキ観しようかな(笑)僕よく(動画観ながら)寝落ちしちゃうんですが、Netflixってしばらくすると勝手に止まってくれるんですよ。YouTubeとかだと2,3時間後もまだ流れてる(笑)
松尾 そうなんだー(笑)
こうすればNetflixはもっと儲かる!
――皆さんならWebディレクター視点で、NetflixやDisney+にどんなコンテンツやマネタイズモデルを作りたいと思いますか?
寺地 今のNetflixって、オリジナルドラマとかアニメに関してはNetflixの中の人たちが作っているコンテンツばかりだけど、そのうち「Netflix内のこの枠で1時間の番組をやっていいよ」とか、場所だけを売ることもすると思います。
杉本 番組枠みたいなものを売るってことですよね。
寺地 あとは義務教育関連のコンテンツを置くかなと。そうしたら入学した人は絶対にNetflixに入るという状況が作れる。
杉本 あとは大学の講義とか?
寺地 そうですね。視聴(受講)したかどうかがわかるし、Netflix側も入会者増えて儲かるし。
――Disney+には、ナショナルジオグラフィクスが入っていて、「クジラの生態系」とか教育に良さそうなコンテンツがありますよね。
寺地 そうですね。ファミリープランとかでアカウントを家族で共有すればよいと思うし、親御さんはお子さんがどの動画を観たかチェックすることができるので、いま子供が何に興味を持っているのかが分かる。
松尾 私は政治とかニュースも(コンテンツとして)いいかなと思います。普段ニュース番組を観ていても、よくわからないことがあったりするので、それをもっと深堀したコンテンツがNetflix内に置いてあったら観ると思います。
YouTubeで探しても良いのですが、まず探すのもめんどくさいし。Netflixだったら安心感(クオリティの高さや思想的偏りの無さ)もあるし。
杉本 確かにNetflixは信頼感あるかも。
松尾 ドキュメンタリーみたいな、ニュース番組の解説や深堀バージョンというか。
杉本 よく、BSのNHKでやっているような番組ね。
松尾 はい。AbemaTVでもニュースをやっているので、そういうのがあってもよいと思いました。
“お笑いライブ”をNetflixに移植する
杉本 私はお笑いが好きなので、よしもととかが参入してお笑い番組作ってくれたらなと思いますね。
松尾 アマプラだと『ドキュメンタル』っていう松本人志さんが作っている番組。あれホントに面白いです!
杉本 ええー!本当に!ちょっと観てみる!
よしもととか人力舎とかの若手芸人で、テレビには出ないけど、劇場などのライブで人気のある方々も結構いるので、そういう方々の番組があると、お笑いライブに行く客層を取り込めるかなと思いますね。
やっぱテレビを観る層とお笑いライブに行く層って全く違うので、そういうターゲットの番組を作りたい。
寺地 お笑いだとテレビとの連動もありそうですよね。僕、M-1とかで知らない芸人さんが出てきたら、昔のネタをYouTubeで調べて観たりするんですよ。
そんなときNetflixに過去の劇場でのライブ映像が残ってたりすると観たい人多いんじゃないかなと思いますね。
杉本 うんうん、いまお笑いライブってお客さんをあまり入れられない分、同時に配信とかもやってたりするので、Netflixとかと組み合わさるとお笑い芸人さんの活躍の場が広がると思う。
――たしかにYouTubeで自分の動画を上げている芸人さんも最近は増えていますが、あれができるのはある程度、有名な芸人さんなんですよね。
杉本 そうだと思います。テレビだと人気のある芸人さんですらも、YouTubeだと何万も登録者がいる芸人さん少ないですもん。そういうレベルなんですよ。
寺地 集客が難しいですもんね…
杉本 そうなんです。名前が有名じゃないとそもそも検索してもらえないし、普段からお笑いの動画ばかり観ている人じゃないと、オススメに出てこないんですよ。
寺地 Netflixのマッチ度みたいな感じで、動画視聴後に芸風が似ている芸人さんとかも教えてほしいですね(笑)
――面白いですね。芸人さんのレコメンド機能ですか(笑)
杉本 ホントにそう!お笑いライブにいくと芸人さんが100組ぐらいいて、知らない芸人さんが出てくるんですよ、そうすると「この芸人さんも面白いなー」とかどんどん広がっていって、お気に入りの芸人さんが増えていくことでライブとか配信が儲かっていくので。
寺地 視聴回数で賞レースが決まるみたいな(笑)
――レコメンド機能を逆手にとる芸人さんとか出てきそうですね。人気の芸人の芸風をマネして自分たちがオススメに乗りやすくするみたいな(笑)YouTuberが一斉にメントスコーラやり始める感じで(笑)
杉本 ああ、ありそう(笑)
コメント機能は絶対つけたくない!!(笑)
――2018年度第4四半期の業績発表会で、Netflixは投資家に「われわれが戦っている相手はDisney+、Amazon、Hulu、などではなく『Fotrnite(フォートナイト)』であり、そして負けている」と説明して話題になりました。
たしかにフォートナイトはゲームの枠を超えて、プラットフォーム化、SNS化しつつあるのですが、Netflixも今後はチャット機能をつけてコミュニティを育てる方向に舵を切ると思いますか?
寺地 コメント機能をつけて、それをユーザーの声として次の作品に活かせるというのはいいとは思います。
杉本 確かにねー。フィードバックが得られる。
――今だと梨泰院クラスが面白かったとしても、Twitterで発言するしかないですもんね。コメント機能があるともっとNetflix内にユーザーを囲い込めそうですけどね。
松尾 アマプラは作品概要欄にコメントがあるのですが、あまり見ないようにしていますね(笑)その感想で作品に対する先入観がついちゃうから、評価が星2とかでも気にせず観るようにしています。
映像作品って、好みがかなり分かれると思うんです。ハッピーエンドが好きな人もいるし、バッドエンドが好きな人もいるし。それを理解できない人もいるから、(コメント欄が)荒れちゃうこともあるし。
――同じような悩みって普段の仕事でもありますか?クライアントさんから「うちのメディアに掲示板をつけたいとか、コメント機能をつけたい」という要望があったとき、安易に実装するべきじゃないと思うんです。
寺地 安易に実装すべきじゃないです。他人事だからこういうこと言えてますもん(笑)
杉本 ホントにそうですよ!(コメント機能を実装するなんて)絶対やだ!!(笑)
寺地&松尾 (笑)
――(笑)どうして嫌なのでしょうか?
杉本 だって責任取れないですもん(笑)掲示板とかのオープンな場よりも、ダイレクトメールとかある程度閉じた場での意見を吸い上げるほうがまだ良いです。
寺地 あとはインスタのストーリーのように、24時間で消えるみたいな…
杉本 そうそう!
寺地 ずっとコメントが残るって怖くないですか?悪い点は改善するとして。
杉本 評価軸って人によって様々だから、(多くの人から意見を集めても)実はあまり(コンテンツの本質との)関連性は低いというか。コンテンツ自体は良かったとしてもコメントの部分が原因で炎上しちゃうことってあるじゃないですか。「そこじゃないんだよなー」みたいな。
そういうところにも気を使わなきゃいけなくなるのは、(運用上)あまり効率がよくないと思うんです。
寺地 いろんな意見を集めて情報を吸い上げる点では良いと思うのですが、そのコメントを観てユーザーの気持ちが変わるというのが難点ですよね。
先ほどのアマプラの例に近くて、コンテンツに対して先入観を持たれちゃうというか。
杉本 やっぱりターゲットありきですよね、コンテンツ作るときって。
寺地 うん、そうですね。
杉本 ターゲット設計さえしっかりしていれば、そのターゲットさえ届けばよいから。
それ以外の余計なことは考えても仕方がないというか。
――安易にコメント機能をつけると、ターゲットじゃない人からも意見がきちゃいますもんね。
杉本 そう!それで炎上したら本末転倒というか(笑)
松尾 治安が悪くなっちゃうのは嫌ですね(笑)
寺地 そういう意味でオープンな場で意見を集める機能を作るより、コンテンツの本来のターゲットが意見しやすい環境を作った方が本質的だと思いますね。
杉本 ターゲットに何を届けたいかですよね、ユーザーが最終的に何をしたらゴールなのか「応募をしてもらうのか」「商品を買ってもらうのか」何かしらのアクションをしてもらうのがゴールじゃないですか、そこの導線がうまくいっていれば問題ないと思う。
――なるほど、Webディレクターとしてはクライアントと「誰がターゲットなのか」「最終的に何をさせたいのか」を擦り合わせておくことは、コンテンツと自分の身を守る上でも重要だということなんですね。
インタビュー・テキスト:小川 翔太/企画・編集・撮影:澤田 萌里(CREATIVE VILLAGE編集部)
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