こんにちは、クリーク・アンド・リバー社でアカウントプロデューサーをしている水津です。
もともとはWeb領域の人材エージェント(営業)でしたが、専門職になりたい!と一念発起。Webの専門知識ほぼゼロの状態から、社内の研修・育成制度に参加し、社内キャリアチェンジを実現しました。約3か月の研修を経て、今年3月からWeb/広告業界の専門職として仕事をしています。
研修後は、いきなり大手の広告代理店に常駐することになったのですが、アサインされたのは世界規模のスポーツの祭典に関わる大規模案件。さらに、その複数あるプロジェクトのうち「映像コンテンツの制作・更新運用」を行うプロジェクトにて、まさかのリーダーを任されることになってしまったのです!
その時点で制作ほぼ未経験の自分が、どのようにして制作プロジェクトのリーダーを務め上げることができたのか。今回は無我夢中だった常駐先での経験を振り返り、「プロジェクトリーダー初心者の心得」としてまとめてみました。
いきなりのリーダーポジ‥‥もうやるっきゃない
自分がリーダーを担当したプロジェクトの主な業務は、世界的スポーツイベントの会場の大型モニターに映し出される観客向けコンテンツとして、競技ルールの説明や、出場選手紹介、対戦カード等の制作を行うこと。特に選手紹介や対戦カードは、前の試合結果を受けて必要な組み合わせが変わってくるため、競技ごと、試合ごとにリアルタイムでの対応が必要でした。自分はその制作進行兼プロジェクトリーダーという役割でした。
短期とは言え10名の制作メンバーのマネジメントを任され、ワクワクよりもプレッシャーのほうがはるかに勝っていたことを今でもはっきりと覚えています。特に、リアルタイム対応の緊張感と流動的すぎる状況たるや…。実際に始まってみて、やるしかない!という感じです。
プロジェクトリーダーって何をするの?知られざる苦労も。
プロジェクトリーダーの基本的な役割は、メンバーの意見を取りまとめ、スケジュール通りに制作が進むよう進捗を管理すること、また、メンバーの能力に合わせて作業依頼をし、プロジェクト達成に向けて必要な業務を推進していくことです。
プロジェクトによってその役割は様々ですが、私が担当した制作案件の場合は次のようなタスクがありました。それぞれ説明していきます。
・入社者へのオリエン
先ほど「10名の制作メンバーをマネジメント」と書きましたが、初めから必要なメンバーが全員揃っていたわけではありません。最初は私1人が常駐し始め、2人増え、さらに2人増え、というように徐々にチームメンバーが増えていきました。
全員一斉にオリエンを受けてスタートであれば、全員が共通認識を持った状態で業務を分担できますが、徐々にメンバーが増えていく形だとそうはいきません。
後から入ってきたメンバーには、その都度、案件概要とお任せしたい作業の説明、制作の進捗状況、データの管理の仕方等を他メンバーと認識齟齬ないように説明していました。
タスク、スケジュールの管理
いつ、誰が、何を作業しているかの管理をします。
コミュニケーションツールとしては主にTeamsのチャットやLINEを、タスク進捗管理は共有のスプレッドシートやTeams内の共有のフォルダを使って、各メンバーのタスクをチームで共有できる状態にしていました。多くの人数が増えるほどにメンバーのタスク、スケジュール管理で混乱し、リーダーである自分が右も左もわからなくなることもしばしば…。
ですが、嫌な顔せず作業をしてくださったチームメンバーに支えられ、ほぼ予定通りで進行することができました。メンバーの皆さんには、今でもとても感謝しています。
問題の解決
大会期間中はリアルタイムで発生する想定外のトラブルや競技開始直前での修正依頼に対応しなくてはなりません。突発的な制作依頼がある度にチームメンバーで話し合うのですが、前に進めなくてはいけないときに、「とにかく判断して、決めていく」ことが自分の役割でした。
急ぎで制作を進める必要がある際、ひとまずその場しのぎでなんとか対応して、あとで整理しようという場面も正直多くありました。
ただ次に同じような依頼が来た際には、制作メンバー間で同じ認識、共通のルールでスムーズに制作できるようにしなくてはなりません。そのため、対応した案件内容とナレッジを全体で共有することを繰り返し行いました。
その積み重ねで、大会中の緊急修正依頼の傾向を掴んでいき、次に必要な動きや効率的な作業方法をキャッチアップしていきました。
・メンバーが働きやすい環境づくり
今回のプロジェクトで、一番苦労した点かもしれません。
クリークチームはいつ緊急修正の依頼がきても対応できるよう、24時間体制のシフトを組んでいました。実は、プロジェクト開始当初は24時間体制でシフトを組むなんて話はでていなかったのです。そのため、各メンバーに状況を丁寧に説明し、理解してもらい、個別にシフト希望を確認しながら調整していきました。
シフトが被らないメンバーも出てくる中で、同じ仕事をしていくうえで大切なことは、何よりも「意識的に密なコミュニケーションを取る」ことでした。
得意分野が違うメンバー同士でツールやソフトの使い方を教え合う時間を設けることで、スキルを補完し合える時間をつくったり、業務外でもタイミングが合うときにランチに誘ったりして、仕事と関係ない話もできることを目指しました。
自分自身、教えてもらうことが多く、デザインソフトの使い方も習得でき、制作業務や広告業界の話も聞けてとても勉強になりました。
プロジェクトリーダーを経験して気付いた、必要な資質・スキル・心構え
この経験を踏まえて、自分が考えるプロジェクトリーダーに必要なことをまとめてみました。
・調整力
クライアントが求める要求に基本的には応えていきますが、時には無理な要求もあります。そんなシーンで、無理なものをメンバーにそのまま伝えてしまっては、自分がこのポジションにいる意味がなくなってしまいます。メンバーが対応できる範囲をわかったうえで相談する、難しければ別の方法で試してみる、それでもダメならクライアントへ説明する。
そこまでの段階を踏んで調整していくことで、クライアント、制作メンバー双方が納得できる着地点が見つかります。
・翻訳力
クライアントからやや複雑な依頼があったとしても、まず話を受けるのはフロントに立つ自分となります。ここで、ただクライアントの要望を制作へ伝えるのではなく、きちんと折衝し、変換して人に伝えるということが大切だと思います。
出来ることと出来ないことを判断し、方向性の認識を合わせたうえで本当に必要なことを整理して制作側へ伝えられるかどうかが重要です。話を受けたとき自分が懸念と感じる点があれば、先にクライアントと制作側にあらかじめ伝えておくことで、受け手もその心構えができますし、解決策を一緒に考えてくれるので、後々やり取りがスムーズになります。
・頼る力
これまでの上記2つにも関連しますが、知ったかぶりをすることが一番危険です。
また知ったかぶりをしているつもりがなくても、自分では理解したつもりで間違った情報をもとに、制作側へ依頼してしまうケースも同様に危険だと思います。
まずは、自分はどの部分を理解していないのかを理解すること。そのうえで不安な点が少しでもある時点で「勉強不足ですみませんが」「知識不足ですみませんが」と言えることが大切です。
わからないことをきちんと伝えながら、わかる人の協力を得られるかどうかが、チームとして円滑にプロジェクトを進められる鍵となると思います。
プロジェクトを振り返って
初めての社外常駐とプロジェクト経験を通して感じたのは、「未経験でも立ち回りや考え方を日々ブラッシュアップしていくことはできるし、それができれば、ある程度はなんとかなる!」ということです。プロジェクトリーダーという立場でも、です。
プロジェクトリーダーに必要なのはチームをリードする特別なスキルよりも、むしろ周囲を信頼して頼るスタンスなのかもしれません。