サイトやアプリを開発する場合は、UI/UXデザインに基づいて行う必要があります。しかし、開発したサービスを実際にユーザーが使用してみると「使いづらい」と感じるケースがみられます。

ユーザーにとって使いやすいサービスに仕上げるためには「ユーザビリティテスト」の実施が有効です。効果的にユーザビリティテストを実施して、ユーザーの満足度を高めましょう。

ユーザビリティテストとは

ユーザビリティテストとは、開発したサイトやモバイルアプリなどのサービスが、ユーザーにとって有用性を満たしているのか、十分な満足度が得られるかどうかなど、ユーザービリティについてテストを行うものです。

ユーザビリティとは、特定のユーザーをターゲットとして開発したサービスが、そのユーザーにとって使いやすいものであるか、という度合いを示したものです。

ユーザビリティは国際標準化機構において定められたものであり、「有効さ」「効率」「満足度」の3つを満たしているかがポイントとなります。

ユーザビリティを理解する上で注意したい点は、ターゲットとなるのは特定のユーザーのみであり、すべてのユーザーではない点です。開発したサービスは、すべてのユーザーが満足できると感じる必要はなく、利用してもらいたいと考えているユーザーにとって満足できるものであれば、品質としては十分といえます。

ユーザビリティテストの重要性

ユーザビリティテストが重要である理由は、テストを通じてサービスを利用するユーザーの視点を理解できるためです。

サービスの開発者は、利用者の立場をある程度想像しながら開発することは可能ではあるものの、想像した内容はあくまでも開発者自身の視点に留まります。

つまり、開発直後のサービスはユーザーの意見を反映したものとはいえません。もしユーザビリティテストを実施しないままサービスを提供してしまうと、ユーザーとしては使いにくいと感じ、満足度が低い状態になる可能性が考えられます。

ユーザーにとって使いやすいサービスに仕上げることができれば、ユーザーの満足度が高まり、サービスの売上アップが見込めます。それを踏まえると、事前にユーザービリティテストを実施することは重要といえます。

ユーザビリティテストの3つの方法

3つの方法とは?
ユーザビリティテストの3つの方法としては以下があります。

・対面で実施
・オンラインで実施
・簡易的に実施

ここでは、それぞれの方法について説明します。

対面で実施

ユーザビリティテストは主に対面によって行われます。テストを行う場合には会場を設けて、3~5人程度のユーザーを対象に実施します。

テストにおいては、開発したWebサイトやアプリを実際にユーザーに使用してもらいます。企業側の担当者はユーザーの使用状況を観察してチェックするほか、実際にサービスを使用した感想を企業側が聞き取りします。

対面によってユーザビリティテストを実施すると、ユーザーの使用状況を十分にチェックできるため、テストの精度が向上しやすい点がメリットとなります。一方で、対面での実施はコストがかかるため、この点はデメリットといえます。

オンラインで実施

ユーザビリティテストは対面だけでなく、オンラインでも実施する場合があります。たとえば、開発したばかりのWebサイトの使用感に関してはオンラインを通じたテストが可能です。

オンラインテストにおいては、ユーザーが気がついたこと、感じたことを書いて企業の開発者に伝える方法と、思考発話法で行う方法があります。思考発話法とは、テストを実施しているユーザーがサービスを使った感想を言葉に出して企業の開発者に伝える方法です。

オンラインによるテストだと、対面によるテストほど詳しい結果は得られにくいですが、多くの場合はサービスの改善に十分な結果を得られます。また、対面によるテストと比べるとコストを抑えることも可能です。

簡易的に実施

テストの対象を一般のユーザーとするのではなく、社内のスタッフなど身近な人にすることでテストを簡易的に行うことができます。

この方法であればテストをすぐに実施できるほか、謝礼も安く抑えられます。社内のスタッフでも十分に第三者目線でテストを受けてもらうことができるため、サービスに対する課題を見つけ出すことができます。

ただし、多くのユーザーに対してテストを実施するわけではないため、サービスに対する意見や感想などは限定されてしまう傾向にあります。

テストの結果を出すまでの期間や予算が限られている場合は、簡易的なテストの実施を検討しましょう。

ユーザビリティを改善するためのポイント

ユーザビリティの第一人者であるヤコブ・ニールセン氏は、自身の書籍「ユーザビリティエンジニアリング原論」の中で、ユーザービリティの構成要素として以下の5つをポイントに挙げています。

・学習しやすさ:学びやすいほど理解しやすく、容易に使えるようになる
・効率性:一度学習するだけで、2回目以降はスムーズに利用できる
・記憶しやすさ:しばらく使用していなくても、再度使用したときに思い出しやすく、使いやすい
・エラー:エラーが発生しにくい仕組みとなっている。エラーが発生しても復旧しやすい
・主観的満足度:ユーザーが快適に、満足して使用できる

ユーザビリティにおいて重要なのは、ターゲットとするユーザーにとってそのサービスが使いやすいことです。もしユーザーにとって使いにくいサービスとなっている場合は、そのサービスが上記の5つの項目を満たしているかを確認してみるといいでしょう、

まとめ

ユーザビリティテストを実施するメリットは、開発したシステムやサービスを客観的な視点から評価できること、そして改善点を見つけやすくなり、システムやサービスの品質を高められることです。

開発者自身が優れたサービスを開発できたと自負していたとしても、実際にそのサービスを他者が利用してみると、改善すべき点が見えてくるでしょう。

ユーザーの立場に立ったユーザビリティの高いサービスを開発するためにも、ユーザビリティテストは確実に実施しましょう。