文章や写真、音声などの投稿でクリエイターとユーザーをつなぐ「note」。
2019年9月には月間アクティブユーザー数(MAU)2000万人を超えた、人気サービスです。
cocorone編集長|IDENTITY所属|フリーランスの“SNSデザイナー”。コミュニティマガジン #SNSバルコニー 主宰。
三原琴実(写真・左)
noteディレクター。ウェブディレクターとして多数のウェブサイトの構築・運用、企業のデジタルマーケティング支援を行った後、クラウドファンディングサービスの立ち上げに参加。開発ディレクションや企画のキュレーションを行なう。2014年より現職。
本企画ではnoteをご自身のポートフォリオとして活用されているSNSデザイナー・とみこさんとnoteディレクター・三原さんから「クリエイターのnote活用方法」について伺いました。
noteを今後のキャリアに活かしたいクリエイターの方はぜひ参考にしてください。
より多くの人のライフスタイルを、豊かにする発信を
――とみこさんは職業訓練校でWeb制作について学び、Web業界に転職されたと伺いました。そのきっかけは何だったのでしょうか。
とみこさん(以下、敬称略):私は大学時代から続けていたスターバックスのアルバイトを卒業後も続ける形で、キャリアをスタートしています。スターバックスでの仕事は、一人ひとりのお客様に対して日々活力・豊かさを与えることができる、やりがいのある仕事でした。
ただ、あるとき「一度により多くの人に情報を届けて、人々のライフスタイルを豊かにしたい」と考えるようになったんです。
2014年当時は、オウンドメディアブームが始まりつつあった時期でもあり、自分の思い描く仕事をするためにWebを学ぼうと思ったんです。
それから職業訓練校(就職に役立つ知識やスキルを習得できる公的な制度)のWeb制作コースに半年間通い、PhotoshopやIllustratorなどを使ったデザイン、コーディング、WordPressを使ったサイト構築などを学びましたね。
──職業訓練校の卒業後は、Web制作会社に就職されたとのことですが、どのようなことを担当されていましたか?
とみこ:東京のお出かけ情報を発信するオウンドメディアの運用を行なっていました。2015年の夏頃、上司から「今後はSNSの時代になっていくから、個人が発信力を高めていくことが必要」と聞いて、Twitterの個人運用も始めました。
Twitterでのコミュニケーションは「一度により多くの人に情報を届けて、人々のライフスタイルを豊かにしたい」と考えて行動してきた私の強みが活かせると思いましたね。
フォロワーとのコミュニケーションがスターバックスの接客に近い感覚なんです。人と「繋がる」「関わる」という点で、オフラインからオンラインに場を移したような感じでした。
──とみこさんならではの感覚ですね。当時Twitterでは、どのような発信を行なっていたのでしょうか。
とみこ:Twitterの運用は、自分の好きなことでフォロワーを増やそうという方針だったため、初めはカフェ巡りのアカウントでしたね。例えば「今日は行ったここのお店のパンケーキが美味しかった」とつぶやいたり。
現在はフリーランスとしての働き方などについてもつぶやいたり、発信のジャンルは多少変わっているのですが、当時から今までフォローし続けてくださっている方もいます。
三原さん(以下、敬称略):「人々のライフスタイルを豊かにしたい」という軸は今もぶれていないからこそ、発信の内容が多少変わっても、ファンの方もついてきてくれているんですね。
とみこ:そうですね。昔からフォローしてくださっている方からたまにコメントをいただく際には、積極的にコメントを返すなど心がけています。
noteは”依頼者目線”で情報をまとめる
──フォロワーとの「繋がり」を大事にされているんですね。noteでの発信を始められた当時について教えてください。
とみこ:noteを始めたのは、動画メディアを運営するベンチャー企業に転職した2017年頃でした。Twitterの運用ノウハウが徐々に自分の中に溜まっていたため、それを書き残しておきたいと考えたんです。
当時は結婚を考えていた時期でもあって、自分のライフスタイルと働き方のバランスを整え、自分のペースで働けるようにしたいと考えていて。そのため、転職・フリーランスとしての独立を視野に入れて、noteを書き始めました。
初期の発信内容は、運用を始めて約半年~1年でTwitter1万フォロワーまで伸ばしたコツなど、Twitter運用に関するもの。それだけでなく、自分の軸であるライフスタイルに関する発信もしてみようと考え、おすすめのチョコレート屋さんやカフェをまとめたりしていましたね。
三原:Twitterのノウハウ発信は、だいぶ早かったように記憶しています。しかも女性目線でわかりやすく書かれていたので、印象的でした。
とみこ:そうだったんですね。当時、ビジネスとして使うSNSとしてはFacebookが主流だったように感じます。Twitter運用のコツなどのノウハウ系は今ほど発信されていなかったため、多く読まれたのではないかなと思います。
三原:文章のテイストはやわらかな書き口で、noteを始められた頃から今も変わらない印象です。
文章のスキルはどのようなところで磨かれたんですか?
とみこ:前職の上司のおかげだと思います。自ら取材・執筆・撮影を行い、原稿は上司に赤入れをしてもらっていたため、上司の指導が活きているなと感じますね。
──noteでの発信にあたって、特に意識されていたことはありますか?
とみこ:当時はまだnoteのフォロワーが少なかったため、記事の最後にTwitterアカウントやnoteで書いた他記事へのリンク導線をつくっていましたね。
自分が発信する他のコンテンツを読んでもらうことで自分自身や自分のnoteへのエンゲージメントが高まる効果があったと思います。また、まずは数をこなそうとも考えていて、noteの記事を月に10本ほど書くことを継続していましたね。
三原:とみこさんは、Twitter1万フォロワーを目指して1年で達成したり、noteの更新を継続されたり、しっかり決めたことを徹底して守るストイックさがありますよね。もともと、目標を達成するまで粘り強く行動する性格なんでしょうか。
とみこ:そうですね、当時はしつこく数字を追いかけていました。Twitterフォロワー数を伸ばすことに注力していた時期は、上司とフォロワー数を競ったりしていましたね。
仲間と一緒に運用をしていくと、情報共有できたり、悔しいという気持ちで前に進めたりするため、一つの方法かなと思います。
──転職やフリーランスを見据えてnoteを始められたとのことでしたが、ご自身の「ポートフォリオ」としてどのようにnoteを活用をされてきたのでしょうか?
とみこ:自分のキャリアの節目ごとで「仕事のまとめ記事」を出すようにしています。例えばnote「2018年のお仕事まとめ」では関わった媒体やPR制作について実績をまとめました。
その際、仕事をご相談いただく依頼者目線で発信することを大切にしています。Twitterやnoteでもたくさん発信しているので、この記事を読めば「なんとなくその人のことが分かる」ような状態にすることも重要です。
自分のnoteのトップからアクセスできる「仕事依頼」もたまに更新して、できる仕事の範囲や金額感を最新の情報にするようにしていますね。
- クリエイターのnote活用・3箇条
- ・記事の末尾にはTwitterや過去記事を貼り、個人へのエンゲージメントを高める
- ・継続的な記事更新を心がける(とみこさんの場合、月10本程度)
- ・発注者目線で「仕事依頼」ページに情報を集約
クリエイターが、次のステージに進むための機能・施策
──今とみこさんがお話しくださったように、noteには「仕事依頼」のタブを設定できるなど、クリエイターのお仕事やキャリアに繋がるさまざまな機能・施策がありますよね。
noteで発信されるクリエイターに向けて、現在はどのようにサポートを行われているのでしょうか。
三原:noteでは、クリエイターが活躍する機会を増やすため「継続的に創作活動を楽しむこと」を目指し、クリエイターの皆さんをサポートする施策を行なっています。施策の方向性は、noteの「機能」として提供しているものと、「編集部」としてのサポートの大きく2つです。
- noteの機能
- ・お題企画
- ・仕事依頼タブ
- ・記事リコメンド
- ・読者の気持ちを届ける「スキ」ボタン
- ・企業がスポンサードする「コンテスト」
- 編集部サポート
- ・おすすめ記事の選定とnote公式アカウントでの紹介
とみこ:私が運営するコミュニティ「SNSバルコニー」では、note編集部のおすすめ記事に選ばれると嬉しいという声が挙がっていて、それを目指して頑張ろうという方もいます。そうした一つひとつの施策でクリエイターの露出の機会を増やしていく仕組みがあるのも、noteさんの魅力の一つだと感じます。
テーマに沿った記事をまとめるnoteの機能「マガジン」。
その中で「Twitter、Instagram、noteを中心にSNSを楽しく続けるため」にとみこさんが運営するマガジンです。
※マガジンページはこちら
三原:ありがとうございます。note編集部のメンバーが記事を読んでおすすめ記事に選んだ後は、SNSでもご紹介しています
noteディレクターの仕事は、クリエイターの価値を最大化することだと考えていて。その中の一つでクリエイターの露出の機会を増やすことがあります。SNSでご紹介したり、おすすめに掲載させていただいたり。さまざまな出版社とパートナーを結んでいるため、そうしたメディアパートナーの方々に、こんな魅力的なクリエイターさんがいらっしゃいますと紹介し、書籍化につなげることもあります。
──今後noteは、特にどのような点に力を入れていきたいと考えていますか?
三原:現在noteでは、マンガやテキスト系のクリエイターさんに多く利用いただいていますが、今後はより多様なクリエイターの方にも使っていただけるよう手軽に月額課金のコミュニティがつくれる「サークル機能」など新しい機能の準備も進めています。
私たちの一番の喜びはnoteを使い続けていただくことで、クリエイターの方がそれぞれ次のステージへ進んだり、目標に近づき達成したりすること。そうした機会が増えるよう、クリエイターの活躍の場を広げるサポートをしていきたいと思っています。
取材・ライティング:佐藤由佳/撮影:SYN.PRODUCT/編集:大沢愛(CREATIVE VILLAGE編集部)