テレビショッピングなどで知られる通信販売会社「ジャパネットたかた」などを擁する、ジャパネットグループ。TVや新聞、Webなどさまざまな媒体でメディア展開を行うジャパネットグループのクリエイティブを一手に担っているのが、グループ会社であるジャパネットメディアクリエーションです。
マークアップエンジニアとしてスキルを磨いてきた申東玉さんは、ジャパネットメディアクリエーションへ転職後、入社4ヶ月ながら新たなキャリアプランを見出したと言います。申さんがこれまでに感じてきたマークアップエンジニアならではのやりがいと課題、新たな目標について伺いました。
韓国生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、Webデザイナー兼コーダーとして主に運用案件の更新に携わる。運用案件のみならず制作案件が増え、よりマークアップの比重が多くなったことをきっかけにマークアップエンジニアとしてキャリアパス変更。さらにマークアップ/フロントエンド制作会社に転職、コーポレートサイト、ブランドサイトなどを中心にマークアップエンジニアとして制作の経験を積み、2019年、株式会社ジャパネットメディアクリエーションに入社。
映画業界志望から一転、Web業界へ。ユーザーの最前線でやりがいを感じながらスキルアップ
――まず始めに申さんがマークアップエンジニアになった経緯を教えてください。
元々は大学の専攻が映画ということもあり、卒業後にWebではなく映画配給会社への就職を考えていました。ですが当時、同時に進めていた映画情報サイトの更新作業がきっかけで「Web制作をもっとやってみたい」と思い直し、すでに映画配給会社への内定が決まっていたのですがお断りをして、独学でWebの勉強を始め、Web業界へ就職しました。
はじめはWebデザイナー兼コーダーとしてのキャリアをスタートしたのですが、運用よりも制作の仕事が増え、マークアップエンジニアの仕事がメインになっていきました。
――そこで申さんの、マークアップエンジニアとしてのキャリアが始まったというイメージでしょうか?
そうです。ディレクターが案件をまとめてWebデザイナーに伝え、Webデザイナーがデザインし、そのデザインをマークアップエンジニアがPCやスマートフォンなどのブラウザで見えるようにコーディングするという一連の工程の中で、一番最後の作業であるコーディングを担当するのがマークアップエンジニアです。制作工程ですべて詰まったものをユーザーにお届けする、という意味でユーザーに一番近い役割だと感じました。
私にとってその過程が、喜びや達成感につながっていた、というのもキャリアをマークアップエンジニアに特化しようと決めた理由のひとつです。Webデザイナーは空間を想像しながらデザインを作りますが、マークアップエンジニアはコードを更新すれば自分の作ったモノを可視化できます。
デザインはデザインですごく楽しかったのですが、「マークアップエンジニアはユーザーにとって一番近い存在である」という点に魅力を感じ、マークアップエンジニアとしてスキルを磨くことを決めました。
しかし、残念ながら最初に入社した会社の方針が変わって制作を外部に委託するようになってしまって。もっと制作をやりたいと、マークアップ専門の会社に転職しました。
――転職先で本格的にマークアップエンジニアとしてのスキルを積まれたということですね。
はい。その会社では業務の8〜9割が制作、1〜2割が運用でしたので、かなりの数の案件を担当することでマークアップエンジニアの業務に専念できましたし、専門性の高いメンバーが集まった職場でしたのでマークアップに関する最新の情報には敏感でした。
そのため、制作に関するスキルは磨けたという実感があったのですが、次に「どうキャリアを積んでいくか」を考えた時、「もっと上流工程で色々なことを経験したい」という思いが湧いてきました。そこで自社サービスのマークアップエンジニアとして仕事をしたいと、ジャパネットメディアクリエーションへ入社しました。
ブランド戦略から参加、他の社員と意見を交わし、キャリアの視野が広がる
――ジャパネットメディアクリエーションを転職先として選んだ決め手はなんでしょうか?
決め手は主に2つです。ひとつは、「多岐にわたる業務を経験できるので、大きな刺激を受けられる」ことです。
ジャパネットグループには「自前主義」「チャネルミックス」という事業方針があり、グループ会社の映像(CM・VTR・番組)制作、Web・紙媒体の広告制作など、あらゆる媒体に関わる制作物を、インハウスエージェンシーであるジャパネットメディアクリエーションで自前で担っています。そのため、私の所属している広告企画制作課では、TVCMや紙媒体、Webの広告制作や販促物、社内で使用するツールなど本当に制作する内容の幅が広いです。
これまでずっとWebの業界で仕事をしてきましたが、今はTV番組や広告においても制作の裏側を見ることができます。こういう経験ができる会社って他にはあまり聞いたことがないので、「チャネルミックス」を掲げている弊社ならではの貴重な機会だなと思っています。
もうひとつの決め手は「ワークライフバランスが良い」こと。弊社は週2回ノー残業デーがある上、年間の残業時間が法定を大きく下回っており、働きやすい環境だと思います。私はもちろん仕事が大好きなのですが、一方で仕事とプライベートのメリハリも重視していたため、上記の2点を踏まえて今の会社を選びました。
――仕事面において、転職前と転職後で大きく変わったことはありましたか?
以前の会社では、クライアントからWeb制作を請け負うという形が中心で、しかもコーディング専門でしたので、決められた要件をもとに作ることが多かったです。もちろんWebの幅広い知識やスキルが得られるというメリットはあったものの、意見が反映される機会が少ないと感じていました。そのため、インハウスのマークアップエンジニアである今の方が一緒にアイデアを出して決めていく感覚があります。
現在はWeb以外でも企画段階でアイディアラッシュなど意見を出すこともありますし、マークアップエンジニアとしてブランド戦略の会議にも参加しています。「自社の想い」を理解しジャパネットらしく表現することが必要になりますので、他の社員と意見や情報を交換しながら企業理念やサービスについて考えを深めているところです。
――マークアップエンジニアとして長年経験を積み重ねて来られた申さんにとって、正直それは大変なことではないのですか?
紙媒体、Web媒体など色々な分野で経験を積んできたクリエイターが集まっているため、情報交換も盛んです。たとえば紙媒体の出身のデザイナーから、私が紙について教わることもあれば、逆に私が「このホームページはPVが増えたと聞いているけれど、どう思う?」などWebについて質問されることもあります。
私たちの部署は、皆一つの媒体に特化するというよりも幅広くそれぞれの制作に意見を出し合うスタンスなので、互いに教え合う場面もよくあります。
グループ会社に関わることは、CMや企業グラフィックなど規模の大きなものだけでなく、たとえば社員が使う名刺や、ノベルティ、グループ会社であるサッカークラブV・ファーレン長崎のグッズなど、多岐に渡ります。社員は自分たちの専門分野に限らず意見を出し合いますし、それを当たり前として幅広く制作に関わっているので、大変さは感じませんね。
――なるほど。では周りの方も、これまでとは畑違いの分野のクリエイティブの制作にも積極的に意見を出しているのですね。
そうですね。メンバーは多彩で、制作会社出身のクリエイターばかりではありません。新卒としてジャパネットグループに入社した後、クリエイターとして異動してきた社員もいます。バックグラウンドは違いますが、クリエイティブ全般に関心を持った多種多様な人がチームになっているという感じですね。
――プロのクリエイター同士が分野や立場の垣根を越えて刺激し合う。お話を伺っていると、申さんにとって御社は非常に大きな成長を促してくれる環境ではないかという印象を受けます。その中で、今後はどんな目標を持って進んでいきたいと考えておられますか?
まだまだ色々とプロジェクトを立ち上げている段階ではありますが、少なくとも仕事に対する考え方はがらりと変わりましたね。
私はマークアップエンジニアとしてキャリアを積み、「上流工程に関わりたい」と今の会社に入社しています。企画段階からプロジェクトに参加し、Webだけでなく紙やTVなどさまざまな分野のクリエイターと一緒に仕事をするうちに、マークアップだけでなくWeb関連のことを幅広く社内に情報を共有できるように知識を増やしていきたいと意欲がわきました。
マークアップエンジニアとして研鑽を積み続けるのはもちろん、自社サービスの認知度アップやブランディングに貢献できるようマークアップ以外にも目を向け、視野を広げながら成長していきたいです。
インタビュー・テキスト: 小泉 ちはる(YOSCA)/撮影:TAKASHI KISHINAMI/編集:岩淵留美子(CREATIVEVILLAGE編集部)
会社プロフィール
ジャパネットグループは、関わるすべての方の「今」を楽しくしたいと考えています。
モノの向こうにある生活や変化を伝え、見る人聴く人、そして商品を手にしたお客様の「今」が豊かなものになること。
地域の魅力を広げ、感動と誇りあふれる「今」を届けること。
関わるすべての方とジャパネットがつながったとき、その「今」が楽しいものであるように、ジャパネットグループは、それぞれの「今」に挑戦し続けます。
■ 社名 :株式会社ジャパネットメディアクリエーション
■ 所在地 :【本社】東京都港区三田
■ 設立 :2015年1月1日
■ 代表者 :代表取締役社長 髙田 春奈
■ 事業内容:・メディアバイイング
・メディアマーケティング
・映像(CM・VTR・番組)制作、Web・紙媒体広告制作
■ URL:https://www.japanet.co.jp/shopping/jh/