Webデザインの世界にも毎年移り変わるトレンドがあります。最新のWebデザイントレンドを把握しておくことで、デザインの幅が広がる上、クライアントに対して第一線で戦うプロフェッショナルの印象付けができ、信頼も厚くなるでしょう。
この記事では、2025年に注目したい10のWebデザイントレンドについて、それぞれ紹介していきます。
参考になるサイトも紹介しているので、これからWebデザインの世界に足を踏み入れる駆け出しの方から、ベテランの方まで、ぜひ参考にしてください。
Webデザインのトレンドと最新技術を採用する意味とは
Webデザインのトレンドや、最新技術を採用する意味についてまずは整理していきましょう。
Webデザインのトレンド、最新技術を知っておくメリットとしてはおもに下記の3点があげられます。
- 1.デザインの幅が広がる
- 2.クライアントに信頼される
- 3.ユーザーの理解度や興味関心を促進できる
それぞれ深掘りして見ていきましょう。
メリット1.デザインの幅が広がる
新たな知識やトレンド、技術を知ることで、Webデザインの幅が広がるでしょう。
実際の制作現場で採用する、しないはおいておいたとしても、デザインの幅を広げておけばいざという時に役立つはずです。
また、新たなアイデアは多くの場合、既存技術同士のシナジーによって生まれます。
新しい技術や知識、トレンドを知っているのと、知らないのでは“創造力”にも大きな差がうまれるでしょう。
メリット2.クライアントに信頼される
最新の情報やトレンドをしっかりおさえていることで、クライアントからの信頼を勝ち取ることができます。
ユーザビリティが優れていて、トレンドをおさえたWebサイトをデザインすることで、コンバージョン率や認知度の向上といった、クライアントの目標を達成しやすいことに加えて、最新の情報もしっかり頭に入っていることで、第一線で戦っているプロだという印象付けができるでしょう。
メリット3.理解度や興味・関心を促進できる
Webサイトに訪れたユーザーの理解度や、興味・関心度を促進する効果が期待できます。
今まで見なかった技術やデザインを見て「おっ」と感じるのはWebデザイナーに限ったことではありません。
もちろん読者は基本的にプロではないため、はっきりと言語化はできないかもしれませんが、良い意味での違和感を多くのユーザーが感じとるはずです。
結果としてコンバージョンにも繋がりやすいと言えるでしょう。
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2024年のWebデザイントレンド傾向の振り返り
昨年2024年は、AIとの共生によるデザイン革新が目立ちました。Adobeの調査によると、デザイン業務におけるAIツール利用率が前年比60%増加し、レイアウトの最適化や動的なデザイン調整が一般的になりました1。
また、没入型インターフェースの台頭が顕著でした。3Dエレメントとフラットデザインの調和、ジェスチャーベースのインタラクション、視差効果を活用した奥行き表現などが多く見られました1。
スクロールに関しては、スクロールテリング手法がさらに進化し、よりダイナミックかつ没入型のエクスペリエンスを提供するようになりました2。画面横スクロールのデザインも増加し、ストーリー性や滑らかなシーン遷移を実現する効果的な手法として注目されました4。
総合的に、Webサイトやアプリの世界観により深く入り込めるデザインが主流となり、動画や全画面表示、大胆なスペース使いによって没入感を高める傾向が強まりました4。これは、サイトを一つのコンテンツとして捉え、ユーザーが体験や世界観に入り込みたいという心理に応えるものとなっています。
2025年のトレンドカラー
1953年創立以来、国内のカラートレンド情報を発信し続けている「一般社団法人 日本流行色協会」の発表によると、2025年の象徴色は「ホライゾングリーン」であるとされています。
この色は、混沌とした時代を冷静に読むまなざしや、その先にある希望のイメージを表現しているとのことです。
一方、世界的なトレンドとしては、PANTONE社が発表している「Color of the year」が参考になり、2025年の色は「Mocha Mousse(モカムース)」としています135。この色は、調和と温かみを表現し、複雑化する世界の中で内なる平和とバランスを求める消費者の願いを反映しているとされています。
これらはあくまでトレンド予測ではあるものの、こういった権威ある組織が発表したトレンドは実際に現場で採用されやすく、結果として実際にトレンドになるということも多いでしょう。日本と世界で異なる色が選ばれていることから、地域ごとの文化や社会情勢の違いが色の選定に影響を与えていることがうかがえます。
Webデザインの最新トレンド/技術10選
以上の内容を踏まえて、2025年注目のトレンドを見ていきましょう。
トレンド1.AIを用いたデザイン
AIを用いたデザインは、人工知能技術を活用してデザインプロセスを効率化し、創造性を拡張する革新的なアプローチです。画像認識、予測・推論、自然言語処理などの機能を駆使し、デザイナーの作業を支援します。
AIは大量のデータからパターンを学習し、新たなデザインを生成したり、ユーザーの嗜好に合わせたデザインを提案したりすることができます。これにより、デザインの質が向上し、時間短縮や効率化が実現します。
具体的には、ウェブサイト制作、ロゴデザイン、パッケージデザイン、3D設計など、幅広い分野で活用されています。AIツールを使用することで、デザイナーはより創造的な作業に集中でき、生産性が向上します。
ただし、AIはデザイナーの代替ではなく、むしろ補完的な役割を果たします。デザイナーとAIの共存が、最も価値ある方向性であると考えられています。
トレンド2.ミニマリズム 2.0
ミニマリズム2.0は、従来のミニマリズムを進化させた新しいデザインアプローチで、極端な簡素化を避けつつ、機能性と美しさのバランスを追求します。
このスタイルでは、モノトーンだけでなくビビッドな色彩が取り入れられ、洗練された色使いが特徴です。
また、微妙な質感を加えることで視覚的な興味を引き出し、文字のデザインや配置に細心の注意を払うことでタイポグラフィが重視されます。
さらに、余白を戦略的に使用することで情報の優先順位を明確にし、視線の流れをコントロールします。
小さな動きを取り入れたマイクロインタラクションも重要で、これによりユーザー体験が向上します。ミニマリズム2.0は、シンプルさを保ちながらもより豊かな表現と機能性を実現する現代的なデザインアプローチです。
トレンド3.没入型3Dとモーションデザイン
没入型3Dとモーションデザインは、デジタル体験をより魅力的で没入感のあるものにする先進的な技術です。
3Dアートは、VRやAR技術と組み合わさることで、観客に物理的な空間を超えた没入感を提供します。
一方、モーションデザインは静止画に動きや音声を加え、情報伝達力の高い映像表現を実現します。
これらの技術を組み合わせることで、ユーザーは作品の一部となり、まるでその場にいるような感覚を味わえます。
例えば、インタラクティブな要素やアニメーションを含む「動き」をデザインに採用することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、情報の流れを自然に見せることができます。
さらに、サウンドデザインとの連携により、空間音響や3Dオーディオなどの技術を活用して、より深い没入感を生み出すことが可能になります。
これらの要素が融合することで、従来のデジタル体験を超えた、新しい表現の可能性が広がっています。
トレンド4.AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の融合
ARとVRの融合は、現実世界と仮想世界を高度に統合する技術として注目されています。この融合はXR(クロスリアリティ)やMR(複合現実)として知られ、両技術の長所を活かしつつ、より豊かな体験を提供します。
具体的には、現実空間に仮想オブジェクトを配置し、それらが相互作用する環境を創出します。例えば、実際の部屋に仮想の家具を配置したり、空間に絵を描いたりすることが可能になります。
この技術は、エンターテインメント、教育、設計、仮想会議など幅広い分野で活用されています。ユーザーは、現実と仮想の境界が曖昧になった空間で、物理的な環境とデジタルコンテンツを同時に操作・体験できるようになります。
ARとVRの融合は、私たちの日常生活やビジネスの在り方を大きく変える可能性を秘めており、今後さらなる発展が期待されています。
トレンド5.インクルーシブデザイン
インクルーシブデザインは、多様な背景を持つ人々をデザインプロセスの初期段階から積極的に巻き込む手法です。従来のデザインで排除されがちだった人々、例えば障がい者、高齢者、言語や文化の異なる人々のニーズを考慮し、より包括的な製品やサービスを生み出します。
この手法の特徴は、特定のユーザーの課題解決を出発点とし、そこから得られた洞察を幅広い層に適用することです。結果として、多様なニーズに対応したバリエーション豊かな製品が生まれる可能性があります。
具体例として、iPhoneの音声読み上げ機能、多様な肌色に対応したバンドエイド、握力の弱い人にも使いやすい洗剤ボトルなどが挙げられます。これらは、特定のユーザーのニーズに応えつつ、より多くの人々にとって使いやすい製品となっています。
インクルーシブデザインは、単なる機能性の追求ではなく、心理的満足も考慮し、より多くの人が使いやすく、心が踊るデザインを目指しています。
トレンド6.ダークモードの進化
ダークモードは、初期のCRTディスプレイ時代から現代のスマートデバイスまで、大きな進化を遂げています。iOS18では、アプリアイコンが自動的にダークモードに適応する機能が導入され、視覚的一貫性と快適性が向上しました。
現在のダークモードは、単なる見た目の変更だけでなく、バッテリー寿命の延長や目の疲労軽減など、実用的な利点も提供しています。さらに、周囲の照明条件やユーザーの好みに応じて自動的に切り替わるインテリジェントなシステムの開発が期待されています。
将来的には、ダイナミックなカラースキームやカスタマイズ可能な暗さのレベルなど、より高度な機能が導入される可能性があります。これにより、ユーザーエクスペリエンスがさらに向上し、ダークモードはデジタルインターフェースの不可欠な要素となるでしょう。
トレンド7. スクロールテリング
スクロールテリングは、ユーザーがウェブページをスクロールすることで物語が展開していく革新的なデザイン手法です。「スクロール」と「ストーリーテリング」を組み合わせたこの技術は、テキスト、画像、動画、アニメーションなどを効果的に連動させ、没入感のある体験を提供します。
特徴として、操作の簡便さ、スマートフォンとの高い相性、コンテンツ理解の向上、世界観への没入感が挙げられます。ユーザーは複雑な操作なしに、スクロールだけでストーリーを楽しむことができます。
ただし、適切なスクロールの長さ設定や、ユーザーの現在位置を示す工夫が必要です。また、ページの読み込み時間短縮や、魅力的なストーリー構成も重要な要素となります。
スクロールテリングは、商品やサービスの魅力を効果的に伝え、ユーザーエクスペリエンスを向上させる現代的なウェブデザイン手法として注目されています。
トレンド8.サステナブルデザイン
サステナブルデザインは、環境や社会への負荷を最小限に抑えながら、持続可能な未来を実現するためのデザイン手法です。製品やサービス、建築物のライフサイクル全体を通じて、エネルギー効率、再生可能資源の利用、廃棄物の最小化などを考慮します。
具体的な例として、リサイクル素材を使用したファッションアイテム、修理可能な長寿命製品、生分解性素材の活用などが挙げられます。また、パッシブハウスのような省エネ建築も、サステナブルデザインの一例です。
この概念は、単なる環境配慮だけでなく、社会の健康とウェルビーイングの向上も目指しています3。サステナブルデザインは、気候変動への対応や将来世代のための環境保護という社会の切迫感を反映しており、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みとなっています。
トレンド9.マイクロインタラクション
マイクロインタラクションは、ユーザーのアクションに対する細かなフィードバックや、システムの状態変化を伝える小さなデザイン要素です。これらは、製品やサービスの最小単位のインタラクションとして機能し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる重要な役割を果たします。
具体例としては、ボタンを押した際の視覚的変化、通知のスワイプ操作、進捗状況の表示などが挙げられます2。これらの細かな相互作用は、ユーザーに正確な情報を伝え、操作の結果を即座に示すことで、インターフェースの使いやすさと満足度を高めます。
マイクロインタラクションの目的は、ユーザーの行動に対する明確なフィードバックを提供し、システムの状態を分かりやすく伝えることです。これにより、ユーザーは製品やサービスをより直感的に、そして楽しく使用することができます。
トレンド10.ハイブリッドデザイン
ハイブリッドデザインは、異なる要素や手法を意図的に組み合わせて、より効果的なシステムや製品を生み出す設計アプローチです。このコンセプトは、ビジネスモデル、テクノロジー、開発手法など、様々な分野で適用されています。
例えば、ビジネスエコシステムでは、異なるビジネスモデルやテクノロジーを統合し、より柔軟で革新的なソリューションを提供します。これにより、データのサイロ化解消、一元管理の実現、組織の弾力性向上などの利点が得られます。
ソフトウェア開発においては、ウォーターフォールとアジャイルの手法を組み合わせ、詳細な仕様書を作成しつつ、クライアントのフィードバックを柔軟に取り入れることができます。
ハイブリッドデザインは、複雑な課題に対して多角的なアプローチを可能にし、革新的なソリューションを生み出す効果的な手法として注目されています。