Canvaでは、デザイン歴がないクリエイターであっても立派なビジュアルの制作物を作ることが可能です。デザイン初心者や経験が浅い方でもCanvaの使用経験があるのではないでしょうか。すでにCanvaを使って本格的なビジュアル制作ができた方もいるでしょう。
しかし、日ごろからWebデザインを制作しているWebデザイナーからは、Canvaはどのようなツールに見えるのでしょうか。今回はCanvaの特徴やメリット・デメリットなどを検証してみました。
Canvaはオンライングラフィックデザインツール
Canvaは個人向けならば、無制限で無料プランを使えるデザインツールです。2013年にリリースされて以降、世界中のユーザーが自由にデザインを制作し公開しています。また、Canvaは月間アクティブユーザー数が6,000万人以上、これまでに制作されたデザイン数が70億以上、使用されている国は190か国にのぼります。
無料で利用できる点では「Figma」と同様の立ち位置ですが、両者には大きな違いがあります。Canvaはグラフィックデザインの作成に適しているのに対し、FigmaはWebサイトのワイヤーフレームやプロダクトを作る際に便利なツールです。また、Canvaは登録後、すぐに使い始められます。基本的な使い方は簡単で、下記の流れに沿って制作できます。
- デザインを選ぶ
- 素材を選ぶ
- レイアウトを選ぶ
- テキストを入力する
- 共有する
一通りの編集はCanvaで用意されたデザインを活用できます。もちろん、自分で用意した写真などを取り込んで編集することも可能です。デザインの制作が終わった後は、メールやリンク、SNSなどで共有できます。
リンクで共有する際は、送った相手に編集権限を与えることで追加の編集や修正が可能です。データをそのままパソコンなどにダウンロードして、別の用途に使うこともできます。Canvaを実際に操作し編集すると分かりますが、直感的な操作で比較的スムーズにデザインが完成できます。
Canvaを使用するうえでのメリット・デメリット
WebデザイナーがCanvaを使用する際は、使いやすい面だけではなく使いにくい面も見えてきます。デザイン歴が浅いクリエイターならばCanvaは使いやすさを感じるでしょう。
しかし、熟練のWebデザイナーであれば支持されない面もあります。Canvaを使う際のメリットとデメリットをあらかじめ確認しておき、特にデメリットには対策を検討しつつ活用しましょう。
Canvaのメリット
Canvaのメリットは下記が挙げられます。
・テンプレートが豊富である
・素材が豊富である
・デバイスを問わず利用できる
・動画制作も可能である
・AI機能を使ってデザイン業務を効率化できる(>AI機能について解説した記事はコチラ)
まずデザインの初心者であってもCanvaを使うことで直感的に素早く制作できます。先述のとおり、必要な要素を選択し配置などを考えるだけでデザインが完成します。また、テンプレートや素材が多種多様にあり、デザインのコンセプトを実現しやすいです。
デザインを制作する時は、パソコンだけではなくスマートフォンやタブレットからもアクセスできます。iPhoneやAndroidなど機種を問わず利用できることで、思い立った時にデザイン制作が可能です。リンクの共有機能を使えば「休憩中はスマホ、帰宅後にパソコンで編集」など、作業効率を高めることもできます。
さらに、Canvaでは動画制作も可能です。動画編集に関しても素材を移動させるだけの比較的簡単な操作で済みます。動画の尺は60分程度であるため、さまざまな用途の動画制作ができるでしょう。
Canvaのデメリット
一方、Canvaのデメリットは下記が挙げられます。
・動作が重くなる時がある
・細かな編集や加工がしにくい
Canvaにはレイヤー機能が備わっていないため、各要素を階層で表現することができません。Photoshopなどをお使いの方がCanvaを使った時に、レイヤー機能が使えないことに不便さを感じる可能性があります。
また、オブジェクトの非表示もできないことから、不要な要素を1つずつ削除しなければなりません。この操作はPowerPointと同様でしょう。しかし、レイヤーはデザイン初心者が覚えるのは難しさがあるため、初心者ならばレイヤー機能がないことが操作性の高さにつながります。
Canvaを使用すると、動作が重くなることがあります。アプリ版(スマートフォン)では動作の重たさを感じるケースが多いかもしれません。高画質な素材を複数にわたって使うことで動作の重たさにつながっている可能性があります。
それから、Canvaは細かな加工が難しいです。たとえば、文字の細かな設定ができなかったり、イラストなどを数ミリ(数ポイント)単位で調整ができなかったりします。Canvaは細かな加工よりも、フィルターをかけることに特化しており、素材を一から作成する場合には向いていません。無料プランのフィルター機能で満足できない場合は有料版への切り替えを検討しましょう。
Canvaクリエイターという新たなジャンルも拡大中
Canvaは使い勝手の良さからWebデザインをかじったことがないクリエイターでも、導入ハードルが低いです。そのため、「Canvaクリエイター」という新たなクリエイタージャンルが誕生しました。
Canvaクリエイターは、Canvaで制作したデザインを共有してロイヤリティ(報酬)を獲得できます。中にはCanvaクリエイターとして十分な報酬を得ているクリエイターも存在します。写真やグラフィック、イラストなどデザイン全般が報酬の対象となります。得意なジャンルに特化したり、幅広く共有したりして報酬を狙えます。
Canvaクリエイターは副業からでもスタートできるため、今後も市場の賑わいが予想されます。その中で実績を残し、長い期間経験を積むと集客の必要がなくなり、収入も向上するでしょう。特に優秀な成果を収めると、Canvaアンバサダーとして、Canvaクリエイターの道のりをサポートする立場になることができます。Canvaを通じて活動の場が広がる可能性もあるでしょう。
しかし、市場が賑わうことで競合クリエイターも増えます。競合クリエイターよりも自分が優位に立つには、Canvaやデザインの基礎知識だけではなく、ブランディングやマーケティングに関する知識が求められます。特にブランディングやマーケティングは、クライアントの要望をかなえるために必要な要素です。
「Canvaクリエイターはデザインができればいい」という認識では、思うような活動ができない可能性があります。さまざまな知識をもとにデザインの完成を心がけてください。
Canvaはクリエイティブの可能性をさらに広げる
【Canva クリエイター グラフィックデザインのまとめ】
・Canvaはグラフィックデザイン制作で真価を発揮
・Canvaはデザイン歴が浅いクリエイターにおすすめ
・Canvaでのデザインで生計を立てるクリエイターもいる
Canvaはデザイン初心者であっても、直感的な操作でグラフィックデザインができるツールです。無料プランもあり、デザイン初心者も導入しやすいでしょう。Figmaなどと同様の立ち位置ではありますが、Canvaはグラフィックデザイン制作で真価を発揮します。Canvaのユーザーは世界中に存在し、Canvaクリエイターと呼ばれCanvaでのデザインで生計を立てているクリエイターもいます。今後もCanvaを使ったデザインの市場は活性化していくことが考えられるでしょう。
デザイン初心者もCanvaクリエイターとして活動できますが、十分な報酬を得たい場合は競合クリエイターよりも優位性を保つ必要があります。デザインの勉強はもとより、ビジネススキルやマーケティングなども学習して差別化できるCanvaクリエイターを目指してみてはどうでしょうか。