新しいサービスを創造していく中で、ユーザーの生活・感情を起点としてビジョンを描き、プロトタイピングを重ねながらその体験をブラッシュアップしていく、「デザインシンキング」の重要性は高まっています。
今回イベントを主催したアクセンチュア・デジタルは、デザインシンキングを用いたユーザー体験の設計や、モバイル技術、IoTを用いた新サービスの創造を行っている組織。イベントの中ではそのスキームを用い、約50名の参加者と10名のメンターで未来のサービスのプロトタイプを創り上げました。
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感覚的に伝わるか。心を動かされるか。
オープニングは、デジタルでの顧客体験デザインを行うインタラクティブグループ統括、黒川順一郎氏の講演。ユーザー体験を設計する際の「直感的な評価」の重要性について言及しました。
「サービスの価値はユーザーに“どんな体験を与えるか”で決まる。故に、感覚的に理解しやすい仕様か、心を動かされるコンテンツかなどの直感的な評価が重要である。」と、当日のワークショップのポイントを話しました。
▲黒川順一郎氏「今は“機能”ではなく、“体験”を買う時代である」
「試す」ことで生まれる、本当にいいサービス。
講演2人目は、モバイル技術やIoTを活用したソリューションを提供するモビリティーサービスグループを統括する丹羽雅彦氏が登壇。
スピーディな試作を繰り返すことで理想のサービスを創り上げていく「プロトタイピング手法」について語りました。「大切なのは作って触ってみること」と話し、アイディアを素早く具現化し、評価することの重要性を説きました。
▲丹羽雅彦氏 実案件で作ったアプリのプロトタイプデモ。半日のディスカッションののち、5日間で作成したとのこと。
アクセンチュアのサービスデザインメソッドで、未来のサービスを創る。
この日のワークショップは1日かけてのサービスデザイン。
各チームで議論し取り組むテーマを1つ選び、そのテーマに即したサービスを考案し、プロトタイプの作成までを行いました。
工程は、アクセンチュアのサービスデザインメソッドに従い、下記5段階より進行。
(1)ペルソナ設定
(2)インサイト抽出&コンセプト設計
(3)ジャーニーマップ作成
(4)UI設計
(5)プレゼンテーション
それぞれの工程を各チームとメンターで行い、オリジナルのサービスを創り上げていきました。
▲当日のテーマリスト。「実案件に限りなく近いテーマを作成した。」と黒川氏。
(1)ペルソナ設計
まず行ったのはペルソナ(ユーザーの具体像)の設定。
名前やビジュアル、1日のスケジュールや価値観、テーマに対してどう思っているかを決めていきます。一見、サービスに関係のないような設定も、ターゲットユーザーの人間性や、志向を共有していくのには重要な情報です。
最後にペルソナのキャッチコピーを決め、チーム内での認識を整えます。
(2)インサイト抽出&コンセプト設計
次は設定したペルソナのインサイト(潜在意識)を探る作業。
ユーザーの視点から既存サービスを見つめ、その2者間にどんな関係性があるかを読み解いていきます。
その上で、既存サービスに対して感じる満足、不満を洗い出し、今まで提供できていなかった新しい価値を見出すことで、サービスのコンセプトをつくっていくワークです。
(3)ジャーニーマップ作成
サービスコンセプトを元に、ジャーニーマップ(サービスの提供プロセス)を作成。ここまで来るとサービスの大枠が完成してきます。
1日の行動プロセスごとに、ペルソナが享受している利益(ゲイン)、我慢している不利益(ペイン)を明らかにし、理想の体験をデザイン。
その体験がサービスの骨子になります。
(4)UI設計
個人単位でのブレストからスタート。サービスのUI案の作成を行います。
重要なのは「試しに作って、感覚的に判断する。」こと。質よりも量が求められます。
次に、実際の使い心地をイメージ。どのUI案が最も感覚的にわかりやすいか、心を動かされるかを判断し、改良を加えていきます。
この時点で、テーマ選定からわずか4時間。出されたUI案は数百枚に上りました。
(5)プレゼンテーション
最後は作成したモックを用いて、参加者全員に対してプレゼンテーション。
ペルソナの体験を紙芝居、寸劇で表現するチーム、実際にUIを作成し本格的なモックでプレゼンに挑むチームなど方法は様々でした。
発表の方法や内容を含めて、オーディエンスの体験をどう“デザイン”するかが問われました。
発表を受けて、アクセンチュア黒川氏、丹羽氏は、ハイレベルかつ多様なアウトプットに刺激を受けた。とコメント。
イベント後、参加者の感想では、
「アイディアの創出を短時間で行ったので大変勉強になりました。」
「同じテーマでも様々なアウトプットがありとても興味深かった。」
など、ワークショップのフレームワークや、多様な参加者、アクセンチュアのメンターとの議論への満足を口にしていました。
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