プログラミング関連の仕事をしている方はもちろん、PCやスマホ、タブレットを扱っている方であれば「文字コード」について、一度は触れたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
文字コードにはさまざまな種類がありますが、そのなかでももっとも有名なのがUnicodeの「UTF-8(ユーティーエフエイト)」です。
UTF-8は、汎用性が高く、特に理解しておきたい文字コードの1つであり、基礎知識を習得しておいて損はないでしょう。
そこでこの記事では、文字コードの仕組みや、UTF-8の特徴やメリットを紹介していきます。
UTF-8(ユーティーエフエイト)とは?
UTF-8(ユーティーエフエイト)は、Unicode文字をエンコードする方法の一つで、世界中のさまざまな言語の文字を統一的に扱うための符号化方式です。
UTF-8は、ASCIIコードとの互換性が高く、ASCIIで定義された文字をそのまま使用できるよう設計されています。
この互換性により、既存のシステムやソフトウェアとの統合が容易であり、世界中で広く採用されています。
さらに、UTF-8は可変長のエンコード方式であり、1~4バイトで文字を表現します。
これにより、英数字などの基本的な文字は1バイトで効率的に表現され、多言語の文字も適切にエンコードできます。
この柔軟性と効率性から、UTF-8はウェブ開発やデータ交換の分野で標準的な文字コードとして広く利用されています。
また、UTF-8は世界中のほとんどの言語に対応しており、文字化けのリスクが低いという利点もあります。
そのため、国際化対応が求められる現代のソフトウェア開発において、UTF-8の採用は非常に重要です。
そもそも文字コードとは
文字コードはPC上で文字を扱うために、それぞれの文字や記号に割り当てられた、固有の番号のことを指します。
PCはデータを数値でしか認識できないため、文字に関しても数値で認識させる必要があります。この変換を担っているのが文字コードであり、PCにおいて文字コードは必須の要素となります。
文字によってコード番号が違うため、それぞれの文字や記号に対応した文字コード指定が必要です。
PCが世界中で利用されるようになってから、文字コードは約100種類以上にも増加したといわれています。
その他の代表的文字コード
UTF-8の他にもいくつか代表的な文字コードが存在します。
特によく使用されるのは主に下記の4つです。
- JIS
- Shift_JIS
- EUC
- Unicode
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
JIS(ジス)
JIS(ジス)は、JIS(日本工業規格)が定めた情報交換用の文字コードのことです。また、下記のような文字の種類もJISのなかに含まれます。
- ASCIIコード
- ひらがな
- 漢字
- カタカナ
なお、JISは電子メールを日本語で送受信する際の標準規格となっています。また、インターネット上においても標準的な文字コードです。
Shift_JIS(シフトジス)
Shift_JIS(シフトジス)は、SJISとも呼ばれているMicrosoft社が開発した文字コードです。世界的標準であるASCIIコードの文字に、日本語を追加した文字コードになります。
日本語を扱う文字コードとしてMS-DOSやWindows、MacやUNIXなど幅広く利用されています。また、Shift_JISは、JIS規格によって定められたJISコードの改良版です。
EUC_JP
EUC_JPは、Extended Unix Codeの略称で日本語UNIXが使用している文字コードです。単に「EUC」と表現されることもあります。
おもにUNIX系のOSで日本語表示したい場合に利用されます。なお、WindowsやMacなどのウェブブラウザ上でも表示することが可能です。
Unicode(ユニコード)
Unicode(ユニコード)は、WindowsやJava、XMLなどで使用されている文字コードです。
他の文字コードとは少し性質が異なります。
Unicodeは別名「符号文字集合体」とも呼ばれています。これは、日本語や英語、ロシア語やギリシャ語、その他の記号などを集め、それぞれにコード番号を指定して利用しやすくしたものです。
Unicodeで管理されている文字を利用するにはエンコーディング作業をおこなって、それぞれの文字をPC上で使えるように数値変換する必要があります。
よく、Unicode=UTF-8であると誤解されがちですが、あくまでUnicodeの種類の1つとしてUTF-8が存在しているということになります。
UTF-8の特徴と利点
UTF-8の特徴と利点は、主に下記の3つです。
- ASCII文字コードとの互換性
- 広範な文字コードのサポートと文字化けの軽減
- 多くのPC環境への対応
- UTF-8のデータ効率性
それぞれ順番に解説します。
ASCII文字コードとの互換性
UTF-8は、世界的に基本的な文字コードであるASCIIと互換性があります。具体的には、ASCIIの文字はUTF-8でも同じ1バイトのコードで表現されます。
そのため、多くのソフトウェアで文字コードの変更を必要とせずに使用可能です。
ASCII文字コードしか扱えないシステムでも、大きな変更なしにUTF-8を利用できる点は大きな利点です。
多くのPC環境への対応
UTF-8はUnicodeのエンコーディング方式の一つであり、世界中のほとんどの文字を表現できます。
可変長のエンコーディング方式を採用しており、英数字は1バイト、その他の文字は2~4バイトで表現されます。
これにより、多言語間でのデータ交換や表示の際に文字化けが起こりにくくなります。
プログラミングやデータ処理の際にも、文字化けのリスクを軽減できるため、作業効率の向上につながります。
ほとんどのPC環境に対応
UTF-8は、2025年現在、ほとんどのPCやスマートフォンなどのデバイスで標準的にサポートされています。
そのため、特別な設定やシステムの変更を加えなくても、デフォルトでUTF-8エンコードのファイルやデータを正しく読み書きできます。
これにより、異なる環境間でのデータ共有やウェブコンテンツの表示がスムーズに行えます。
UTF-8のデータ効率性
UTF-8は可変長エンコーディング方式を採用しており、英数字などのASCII文字は1バイトで表現されます。
一方、日本語や中国語などの非ラテン文字は複数バイトで表現されますが、必要最小限のバイト数でエンコードされるため、データサイズを効率的に抑えることができます。
これにより、ストレージの節約やネットワーク通信の効率化が図れます。
以上の特徴と利点から、UTF-8は国際化対応や多言語サポートが求められる現代のIT環境において、非常に有用な文字コードであると言えます。
なぜ文字化けは起こるのか
文字化けとは、PCが文字を読み込む際にエンコーディング(符号化)の不一致や誤りが原因で、意図した文字とは異なる表示がされてしまう現象です。
この問題は、Webサイトだけでなく、メールやデータファイル、アプリケーションなど多くの場面で発生します。
文字化けが発生すると、情報が正確に伝わらないだけでなく、業務や作業の進行にも大きな影響を及ぼします。
問題が発生した場合は、迅速に原因を特定し対処する必要があります。
なお、文字化けが起こる原因は、主に下記の3つです。
- 文字コードの種類や形式が異なっている
- 文字コードが正確に読み取れていない
- ロードが正常におこなわれていない
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
文字コードの種類や形式が異なっている
最も文字化けの原因になることが多いのが、ファイルの作成時と、読み込み時で、使用している文字コードの種類・形式が異なっているケースです。
例えば、WindowsでJISを使って作成・保存した文書を、LinuxでEUC文字コードで参照した場合などが考えられます。
ひとくちに文字コードといっても、多くの種類や形式が存在しています。先述の通りUTF-8も、Unicodeという文字コードのなかの形式のひとつです。
つまり、文字コードが合致していたとしても、それらの形式が異なっていると文字化けが発生してしまう可能性があります。
対処法として、
- 受け取り側の文字コードを制作側に合わせる
- ファイル制作側が「UTF-8」などの汎用性が高い文字コードを使用する
といったことが考えられます。
正確な対処法は、対象のファイルやケースによって様々ですが、ほとんどの文字化け原因はこの理由に起因すると考えて良いでしょう。
そのため、まずは先ほどの例であれば
「文字化け Word Linux」
上記のようなキーワードで検索し、具体的な対処法を探し、実践してみましょう。
文字コードが正確に読み取れていない
文字コードは、それぞれの文字に対して割り振られる個別の番号です。PCが認識できるのは数値のみであり、文字コードがないと文字を認識できません。
例えば、キーボードで「い」と入力すると、PCでは文字コードの表を参照し「2」と認識しているイメージです。
そのため、故障など何らかの原因で、PC上で文字コードが正確に読み取れていないと、文字化けが発生してしまいます。
ロードが正常におこなわれていない
文字コードの問題ではなく、単にPC上でロードが正常におこなわれていない可能性もあるでしょう。通信環境などの問題で一時的にロードが正常におこなわれない、ということはたまに発生します。
そのため、文字化けしていたとしてもリロードだけで解決することも。文字化けが発生してしまった場合は、まずリロードを試してみてもいいかもしれません。
UTF-8など文字コードの仕組みを理解して作業をスムーズに進めよう
【文字コード UTF-8の特徴まとめ】
- 文字コードはPC上で文字を扱うために、それぞれの文字や記号に割り当てられた固有の番号
- UTF-8は、ASCIIコードとコンパティブルが高いUnicode文字のエンコード方法の1つ
- UTF-8は既存の多くのシステムにも対応しているため、不具合も発生しにくい
この記事ではUTF-8をはじめとする、文字コードの仕組みや文字化けの原因について解説しました。
現在、約100種類以上存在するといわれている文字コード。デジタルデバイスで何らかの文字を扱うためには、必要不可欠な存在です。
文字によって参照すべきコード番号が違うため、それぞれの文字や記号に対応した文字コード指定が必要になります。
特に、UTF-8は汎用性も高いため、特徴や利点についても把握しておくとよいでしょう。
また、プログラミングやPC作業において、文字化けなどのエラーはつきもの。そのため、実際にエラーが発生した際にどのように対応するかが重要です。