ついに、MCU映画が帰ってきた!
約1年の公開延期を経て映画『ブラック・ウィドウ』が全世界で公開されました。
今回集まったのは、アメコミ映画をこよなく愛する現役の3DCGクリエイター3名。
新作公開を勝手ながら祝して、MCU&DC映画について語り合います!
アイアンマンやキャプテン・アメリカなど、マーベルコミックスを原作とするヒーロー映画シリーズ。
全ヒーローが同じ世界に存在するという設定を映画でも再現しており、世界観や雰囲気に統一感がある。
スーパーマンやバットマンなど、DCコミックスを原作とするヒーロー映画シリーズ。
キャラクターの知名度を武器に、様々な作風での作品が展開されている。
※編集部より:アメコミ愛にあふれる参加者の主観的な意見や空想が多々含まれていることをご了承ください。
【ダイジェスト版】1分動画でお届けします!
話すひと
ワタナベさん
40代/3DCGデザイナー/DC好き
ハタナカさん
30代/3DCGデザイナー/MCU好き
イナバさん
20代/3DCGデザイナー/DC好き
オガワさん
30代/Webディレクター 兼 インタビュアー/MCU好き
※以下、敬称略
どの作品が好き?DCの名作、ダークナイト
――DCコミックス推しであるワタナベさんの好きな作品は何でしょうか?
ワタナベ やはり『ダークナイト』(2008)ですね。あれってとても意地の悪い作品じゃないですか。民主主義や正義感ではヴィランに勝てないって、普通のヒーロー物の映画ではなかなか描けない。
劇中で、人質を2つの陣営に分けて爆弾スイッチを押させるってシーンがあるんですけど、私たちにとっては当たり前の民主主義について、改めて考えさせられますよね。
――なるほど。
結末で、人質たちの命を救ったのは犯罪者であるはずの1人の囚人の善意でした。
最後に物を言うのは、集団の決定ではなく個人の正義感であるというメッセージが好きですね。観るのに体力を使う作品であるのは間違いないですが。
…ということで、どう考えてもMCUよりもDCの方が面白いです(笑)
一同 (笑)
――僕はどちらかというとマーベル派なので、少し意地悪なことを言います(笑)『ダークナイト』は2008年の作品ですが、裏を返せばDCは10年近く革新的な作品を出せていないということなのでしょうか。
ワタナベ 結局のところ、作っている人ですよね。『ダークナイト』はクリスファー・ノーラン監督がぴったりハマったので。
MCUでは今はプロデューサーのケヴィン・ファイギが上手くハマっているし、監督としてはルッソ兄弟のような新しい才能も発掘できています。
DC側にもパティ・ジェンキンスという監督が出てきたので、これからもっとそういう方が現れてくれると嬉しいですね。
――同じくDC派のイナバさんはいかがですか?好きな作品とか。
イナバ 私は『シャザム!』(2019)が本当に面白かった。DCコミックスの原作も読んでいるので、シャザムが映画化されるのずっと待っていました。めっちゃ大好きです。ストーリーの意外性は特になかったのですが、コミックスに準拠してすごくまとまっているお話でした。
ハタナカ 僕は『シャザム!』は予告の段階が興奮のピークで、めっちゃ楽しみに観に行ったら「あ、うん」って感想でした(笑)
ワタナベ そもそも『シャザム!』は、ホームランを打ちに行っている作品じゃないから(笑)期待していなかったらヒットが出たという感じです。
ハタナカ なるほど、みんなちゃんと映画の規模にテンションを合わせて観ているんですね(笑)僕はどちらかというとマーベル推しで、一番好きなのは『アベンジャーズ1』(2012)です。あとは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)が好きですね。ピーター・パーカー役のトム・ホランドがめちゃくちゃ可愛い!
イナバ 可愛いですよね。映画も面白いです。
ハタナカ あの子(可愛すぎて)ヤバくない?
ワタナベ 仕事で若手をマネジメントする立場になるとより一層、若い子が頑張っているのが可愛く見えますよね(笑)「がんばれー!!」って。
ハタナカ ああ、もしかしたらそういう心境もあるのかもしれません。
DCはユニバース化に苦戦している?
――DCなら『アクアマン』(2018)などの個々のキャラクターに焦点を当てた単独作は面白いと思いました。一方マーベルでいうアベンジャーズのように、DCコミックスのスーパーヒーローたちが結集する『ジャスティス・リーグ』(2017)はあまり良い評価を聞きません。DCのファンとしてはどんな気持ちですか?
ワタナベ 無理してユニバース化に向かった感じはすごくありますね(笑)「DCコミックスにも、アベンジャーズの世界観が欲しい!」というのが伝わってきます。DC側にケヴィン・ファイギ※のような陣頭指揮する人がいないのが気になります。
マーベル・エンターテインメントのチーフ・クリエイティブ・オフィサー兼マーベル・スタジオの社長。『マーベル・シネマティック・ユニバース』映画の全作品でプロデューサーを務めている。
物語に統一感が出せないと、結末に向けての盛り上がりが無い作品になってしまう。そうなると厳しいと思います。なんか急いでる感があります。
ハタナカ あれは急いでるんですか?
イナバ 急いでる感じがします。とりあえずスーパーマンとバットマンの作品を出して、『ジャスティスリーグ』で他のメンバーもなんか知らんけど集まってるみたいな(笑)
ワタナベ しかも、バットマンもスーパーマンも「みんな、このキャラクターのこと大体知ってるよな?」みたいな感じで話が進むんですよ。なんか知らないけど2人喧嘩してて(笑)
僕はDC好きで事前知識もあるので大丈夫ですが、「みんなこれついて来れてるのかな?」って(笑)
イナバ DCも、MCUみたいに各キャラクターを掘り下げる単独作がまずあったらよかったと思います。キャラクターの背景にあるストーリーが十分に共有されてから、満を持して集結したらもっと盛り上がるのに…!って。
ワタナベ マーベルの方は、『インクレディブル・ハルク』(2008)のエンドクレジット後にアイアンマンが出てくる映像があったんです。当時はこれで「あ、これからアベンジャーズとして繋げていくんだな」って思いました。
そうなってくると、僕らアメコミ好きが注目するのは「マーベルがキャプテン・アメリカとマイティ・ソーをどう料理してくるのか」。
まず「あのビジュアルは受け入れられるのか?」という問題。あとキャプテン・アメリカに関しては世界大戦中のヒーローという設定が受け入れられるかどうか。映像化して世に出す難易度は高かったと思いますが、実際に公開された作品のストーリーは戦時中のキャラを感じさせないように、現代向けに丁寧に作っている印象を受けました。
――暗くなりすぎないようにうまく調整されていましたね。
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ワタナベ そうですね。個人的にはハードで本格的な戦争モノが来ると思っていたのですが。うまくやったと思いました。
ハタナカ MCU大成功じゃないですか(笑)
ワタナベ はい。大成功です。
――あれこれ言ったけど、つまりMCUは大成功ということなんですね(笑)
ワタナベ そこからアベンジャーズですからね…。あんな超大作なかなか作れないですよ。
ハタナカ アベンジャーズで一気に日本中の心を掴みましたよね。「日本よ。これが映画だ」って(笑)
ワタナベ あの大集合がMCUの醍醐味だと思うんです。他の作品を観てからあの作品を観ても良いし、あの作品をきっかけに他の作品を観ても良いようになっている。今後の映画史でもめったに起こりえないことだと思います。
――強さの違う6人が、強さが違うまま共闘する映像も斬新でした。「こんなお祭り系アクション映画が描けるのか?」って感心しました。
ワタナベ キャプテン・アメリカとか、「このキャラこのメンバーの中でやることあるのかな?」って思いませんでした?(笑)映画では指導者というか、リーダー特性を活かして何とか活躍させていましたね。
最強に思えるMCU、弱点は〇〇?
――お話を聞いていると、DCはあまりMCUのことを意識せずに『JOKER』(2019)や『ワンダーウーマン』(2017)のような作品を作り続けるのが良い気がしてきました。
ワタナベ 単独作の方が作家性の良さが顕著に出てますね。たしかにああいう1つでキレイにまとまっているのが良いと思います。
ぶっちゃけMCUも、だんだん追いかけるのがしんどくなってきませんか?(笑)
ハタナカ たしかに、僕も既に置いていかれてますもん、ドラマシリーズとか(笑)マイティ・ソーが好きなので、ほんとはロキも好きなはずなんですが(笑)
ワタナベ 最近はNetflixなどのビデオオンデマンドが流行っているので、『ロキ』とか『ファルコン&ウィンターソルジャー』をドラマシリーズで展開して、劇場では全員集合してお祭りにするという戦略は上手いと思いますね。
――MCUは映画というより、もう連続ドラマを分割して映画館で上映しているような感じがしませんか?「1作品も見逃せない」となると、まだMCU映画を観たことのない人やライト層は入っていきづらいですよね。
ワタナベ 常に話題を切らさないように作品を配信し続けているのは凄いですが、その分最初から観始めるのはどんどん大変になっていきますよね。どこかでキャスト総入れ替えとか、リブートもありえるのかも。
イナバ X-menみたいになりますねw
ワタナベ 今はケヴィン・ファイギがプロデューサーだから大丈夫だけど、そのうち次のプロデューサーに引き継がれて、ロバート・ダウニー・Jr.とかクリス・エヴァンスとか、引退した俳優がポンポン帰ってくると思うと少し萎えません?
イナバ エンドゲームが終わった辺りから、その温度感はある気がします。
ワタナベ 連作として話を繋げる意識が強すぎると、映画らしさを失うこともある。
映画作品としてお客さんにみせる以上は、単体である程度は完結していて、初見の人が入れる作品になってある必要もある。だからMCUの連ドラ状態は、これまでの映画のありかたと違ったものであるのは確かですね。
――キャラクターごとに演じる俳優も固定化していますが、これはMCUの弱点でもあるのでしょうか?俳優の訃報にもシナリオを変えて対応しなければならないほど強い結び付きですよね。
ワタナベ 公式も代役を立てないと言い切っていますね。キャプテン・アメリカ、アイアンマン、マイティ・ソーがいなくなると、ヒーローたちを率いるのは間違いなくブラックパンサーだったので、シナリオを書き変えざるを得ないと思います。
――となるとMCUはいろんな意味で2021年以降が注目ですね。それともMCUが試行錯誤する間に、DCの逆襲が始まるのでしょうか?
イナバ いやあ、始まって欲しいですけどね。『ジャスティスリーグ』に登場する主要キャラについての映画も、まだ作られていませんし。フラッシュはドラマだけですし、サイボーグも映画はまだです。
ハタナカ フラッシュの映画化か…(笑)アクアマンとかは面白かったけど(笑)
イナバ 個人的にはグリーン・ランタンの映画を待っています!
ワタナベ え?『グリーン・ランタン』(2011)の映画、もうあるじゃん(笑)
イナバ:いや…(笑)まあ、あれも面白かったですけど(笑)
スタジオメンバーで映画観賞会!クリーク・アンド・リバー社内でアメコミ好きが伝染
――DCやMCUの映画にハマったきっかけは何だったのでしょうか?
ハタナカ 僕はクリーク・アンド・リバー社に来て、ワタナベさんの机にあるフィギュアをみてアメコミ映画にハマったんです。「めちゃくちゃよくできてるなぁ、このフィギュア」って(笑)
――制作スタジオでのコミュニケーションがきっかけだったんですね。
ハタナカ そうなんです。ワタナベさんのグッズ本当にすごかったんですよ。総資産いくらだ?ってぐらい(笑)
イナバ すごかったですよね、マイフィギュア置いていた時はデスク上にぶわーって(笑)
ハタナカ 詳しい人に映画のことを教えてもらえるのは嬉しいことです。
――皆さんアメコミ映画について詳しいですけど、どのように輪が広がっていったんですか。
ワタナベ コロナ前は頻繁に映画観賞会をしていたんですよ。エンドゲーム上映会の時はすごい人が集まりました。
ハタナカ 僕もその上映会行きました。あの時はたしか14時ぐらいから観始めて、17時ぐらいからはずっと映画について話してませんでした?
ワタナベ 夕方5時ぐらいに居酒屋に飛び込んで、そこから終電近くまで語り合ってましたね。
イナバ めっちゃ話しましたね。すぐ夜中になります。
ワタナベ 作品のどこが良かったって話をよくしますね。映画の感想を聞くとその方のモノの観方が分かるのが、面白いです。たとえ自分が好きじゃないシーンでも、誰かが好きなシーンだと言ったら、次回観るときには注意深く観るようになります。それが楽しいですね。
私は大学が映画学科だったので、そこから作家論について話すようになりましたね。
――お話が尽きないですが、もうお時間となってしまいました。
3DCG制作スタジオ「COYOTE」のご紹介
本日は、クリーク・アンド・リバー社が運営するゲーム専門3DCG制作集団「COYOTE 3DCG STUDIO」のデザイナー3名にご登場頂きました。
COYOTEはキャラモデル、背景モデル、3Dアニメーション、ツール開発などの実績があり、様々なクリエイターが活躍できる環境を整えています。
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