近年では、自社ブランドや企業理念を視覚的に伝える際に「ロゴ」を活用している企業がほとんどだと言えるでしょう。シンボルマーク、ロゴマークなどによって自社のブランドや製品・サービスを印象づける狙いがあります。ロゴマークが浸透することで企業の存在の認知やブランディングにつながり、ユーザーへの信頼性が高まるなど多くのメリットがあります。
有名企業や有名ブランドのロゴマークならば、誰でも容易に思い出せる点からも、その利点を想像できるでしょう。ロゴは企業にとって不可欠だと言えるでしょう。そんな企業戦略においても重要なロゴですが、一般的には静止画をイメージされる人が多いかもしれません。しかし、最近では動きや音を取り入れた「モーションロゴ」の人気が高まっています。映像・動画クリエイターとして4~5年のキャリアを持つ方向けに、モーションロゴとは何か、導入にどんなメリットがあるのかを中心に解説します。
ロゴが動くことによって生まれる「ストーリー」
企業やブランドなどさまざまなシーンで活用されているロゴは、近年で進化を遂げています。その最たる例がモーションロゴの存在です。1~2秒の短時間で展開されるアニメーションであるモーションロゴは、時間軸がプラスされることが静止画のロゴとの決定的な違いとなります。デザインの他に動きや音の要素によるクリエイティブや、ブランドや商品への的確な訴求によってストーリーが生まれるなどの特徴が挙げられます。
今流行りのモーションロゴとは
モーションロゴとは、1〜2秒程度の短い時間で展開されるアニメーションで表現されたロゴです。グラフィックデザインに動きを加え、ロゴやテキスト、イラストが動くことで静止画では表現できないイメージや情報の伝達を可能にしました。モーションロゴは企業ロゴに応用したり、ブランドロゴに採用したりする他にも、TVCMやWeb広告、Webサイト、SNS投稿などのさまざまな場面に活用できます。
静止画に動きや音を加えたアニメーションとしての魅力
アメリカの調査会社「フォレスター・リサーチ社」のジェームズ・マクベイ博士の発表内容によると、画像は文字の7倍、動画は文字の5000倍情報を伝えられるそうです。つまり、画像の700倍以上の情報が動画にはあると考えられます。それだけにモーションロゴには、静止画ロゴにはないさまざまな魅力があります。数秒程度の短いアニメーションですが、時間軸があることで通常のロゴとは異なりストーリーが生まれる点が特徴です。
具体的な場面を想像すると、異国の言語が分からない時にジェスチャーで伝えて通じる場合があります。モーションロゴは言葉や文章の壁を越え情報を伝達。1~2秒間の短いアニメーションの中に動きや音を加えることで、静止画のロゴにはないストーリー性をもたらします。まるで漫画からアニメーションが飛び出すかのように、躍動感のあるイメージを伝えられるのは大きな魅力だと言えます。
モーションロゴ作成のヒントは「言語化」
静止画のロゴのデザインにおいても多くの意味やコンセプトが込められています。そこにモーションロゴとして、さらに動きや音を新たに加える際にはサービスやブランドが抱えるストーリーを的確に把握することが第一となります。そのためには、モーションの流れを言語化してテキストで書き起こすことが大事です。
モーションに意味を加える「言語化」の重要性
ロゴデザインを作成する際、デザイナーがその意味やコンセプトに関しての説明文を追記するのが一般的です。言語化することでより明確なイメージを想起しやすくなり、無駄な内容を削ぎ落とすことが狙いとなります。モーションロゴについてもその考えは同様です。言語化することでモーション1つ1つに意味を持たせます。
たとえば、クライアントから「かっこいいモーションロゴにしたい」とリクエストがあっても、かっこいいに関する解釈は人それぞれです。人気格闘家のように筋骨隆々のかっこよさもあれば、戦隊モノのようにさまざまなアクションから敵を倒すかっこよさもあります。そのため、「かっこいい」や「かわいい」などの印象を語った言葉に込められた意味合いやエッセンスを深く探っていく必要があるのです。
動きの意味やカラー・構成のワケも1つひとつ言語化する
モーションロゴを作成する際、映像・動画クリエイターはその動きやカラー・構成にも意味を持たせることが重要になります。「なぜこの動きなのか」「なぜこのカラーなのか」「なぜこの構成なのか」など、その背景を1つひとつ言語化することで伝えたいことがより明確になるはずです。しかし、自分が伝えたいことを単につなぎ合わせて言葉にするだけでは、ユーザーの心を惹き寄せることはできません。ロジカルな設計をもとに流れを生み出し、通常のロゴでは表現できない想いをストーリーにして、表現することを意識する必要があります。
モーションロゴを通して何を伝えたいのかを深く検討・理解したうえで、最適なビジュアル表現や構成を検討しましょう。核心の部分をしっかりと押さえておくと、モーションロゴで表現したものと伝えたいメッセージのズレがなくなるでしょう。
SNSなどの短尺動画との相性から市場価値も上昇中
近年、TikTokやInstagramのリールなど短尺動画が人気を博しているだけに、SNS展開などを見越したモーションロゴの制作を行うことは非常に市場価値が高いと言えます。静止画のロゴでは表現しきれなかった想いをストーリーとして表現したうえで、積極的にマーケティングへの活用も検討しましょう。モーションロゴはSNSなどの短尺動画との相性が良いと言えます。
モーションロゴはTikTokやInstagramとの親和性も高い
TikTokはこれまで主なユーザー層は10代でしたが、20代以上のユーザー層も増加傾向にあります。広告を強制視聴しなくても済むことや、TikTok経由の消費金額が高いこと、SNS特有の情報拡散力が高いことなどのメリットからマーケティングに活用されています。TikTokはエンタメ要素が強かったものの、最近はユーザーの日常生活などに役立つ情報配信も目立つなど発信のバリエーションも増加。それだけにモーションロゴを効果的に活用することで、ユーザーの支持を獲得できるチャンスがあるでしょう。
また、Instagramは写真や画像などの投稿がメインですが、リール機能で最大60秒の短尺動画の作成が可能です。編集も簡単に行えることから閲覧だけではなく、短尺動画を投稿するユーザーも多くなっています。Instagramのリール機能も、TikTokと同様の性質からモーションロゴとの相性が良いと言えるでしょう。
動画広告や動画看板などでも活用が期待されるモーションロゴ
モーションロゴの市場価値の高まりはSNS界隈だけではありません。昨今、高画質で耐久性の高いモニターが比較的安価で普及していることも活用のチャンスと捉えられます。企業が動画広告や動画看板を導入するケースがあり、モーションロゴを取り入れつつ効果的に宣伝をするケースが増加中です。耐久性の高いモニターであれば屋外への設置もしやすく、通常の看板と異なり広告内容の変更もスムーズに行えます。
動画広告は公共交通機関(電車内など)の広告、ビル広告、街中の公共物などにも採用されて、Web広告においても動画広告が積極的に使われています。日常生活の多くの場面で短尺動画が取り入れられるようになっているため、モーションロゴの市場価値はますます向上するでしょう。
今後、モーションロゴは企業ブランドのスタンダードに
【モーションロゴ 視覚効果についてのまとめ】
- 静止画のロゴにはないストーリー性が最大の魅力
- ロゴに込められた想いの理解には「言語化」が重要
- 時流を意識し、市場価値の高いモーションロゴを
モーションロゴは、静止画のロゴやグラフィックだけでは表現しきれないストーリー性の高さが最大の魅力です。1つひとつのアニメーションに想いや意味を込めることで、ユーザーをより惹きつける作品に仕上がります。
ユーザーに魅力を感じてもらうには、ロゴに込められた意味をまず言語化して解釈しましょう。数秒間のアニメーションで何をユーザーに伝えたいのか、テキストに起こすことで顧客の想いを形にしやすくなるはずです。
また、近年ではTikTokやInstagramのリール機能、Web動画広告など、さまざまな場面で短尺動画が配信されています。モーションアニメとの相性を踏まえて、さまざまな媒体に応用することを顧客にもぜひ提案しましょう。時流を意識して市場価値の高いモーションロゴ制作に取り組んでみてください。