2013年8月10日より公開の映画『ワールド・ウォーZ』のプロデューサーであるデデ・ガードナーさんに、作品への想いやクリエイターへのアドバイスなど、お話しを伺いました。
映画『ワールド・ウォーZ』について
『ワールド・ウォーZ』は、“最期”の世界戦争を描いたパニック・エンターテインメント。
人間を凶暴化する未知のウイルスが全世界的に流行し、それはやがて大都市にも壊滅的な打撃をあたえるに至ります。アメリカ、フィラデルフィアに住む元国連調査官のジェリー(ブラッド・ピット)は、妻と2人の娘たちを守りながら、必死に安全な場所を見つけ出そうとします。
そんな彼に下された、国連からのミッション――感染を断つためのワクチン開発への協力。
家族と離れることを懸念しながらも、人類を救うために行動することを決意したジェリーの姿を描きます。
原作は、マックス・ブルックスによって2006年に発表された、感染による終末後を描いた小説「World War Z: An Oral History of the Zombie War」(日本では「ワールド・ウォー・ゼット」として2010年発売)。小説ではカオスとなった世界を生き残った者たちの記録がそれぞれ一人称で語られます。プロデューサーのブラッド・ピット、デデ・ガードナー、そしてジェレミー・クライナーはこの小説をゲラの段階で読んでいて、この作品にとても惚れ込んでいたそうです。
「物語を信じることができた」原作
原作は、世界を舞台にしているところなど、今の世界のあり方と照らし合わせて考えても、リアリティがあって、すごく人間的な話だと思いました。物語の始まりに「序」という章があって、その中でこの物語を通して歴史が記録されている、ということが記されています。それには、私も本当の話だと信じてしまうようなリアリティがあって…映画人はそうして物語を信じるんですよ。この物語の導入が、この物語を書く理由のような形で書いてあったことに、映画人としてとても惹かれました。
実際の撮影現場では…
イスラエルのシーンでは、1000人以上の人たちを集めて、数日間にわたる撮影が行われました。暑いし、安全じゃないし(笑)という状況の中で、シーンもきちんと撮りたいけれど、エキストラの人たちにも、ちゃんと「大丈夫ですか?」と気を配らないといけないし、それはやっぱり私には大変なことでもありました。でも、周りの人にも助けてもらって撮影を進めていくことができました。
そうして撮影を進めた数々のシーンの中で、個人的に好きだなぁと思うシーンもあります。それは、韓国に向かう飛行機内のシーンで、生物学者が「ウイルスが自然の中でどう振舞うか」という話をするところです。
とは言っても、完成した作品は、大きなスペクタクルだし、小さなシーンでも重要な情報が含まれている時があって…だから、どれも見逃せないものに仕上がっているし、映画として全部気に入ってほしいと思っています。
映画に対する想いは「子グマを見守る母グマのような気持ち」
映画のプロデューサーとしての仕事で大切なのは、物語が好きであること、人が好きであること。あとは、体力かな(笑)。一つのアイデアや本からスタートして、長い時間が掛かるので、企画やプロセスの間、ずっと、そこに込められた想いに忠実でなければいけないと思うので。
例えば、私が2011年に携わった「ツリー・オブ・ライフ」とこの作品を比べて考えると、スケールも作り方も、全てが違いますが、それぞれの作品に私の全力を尽くしたことは同じです。みなさんに見せるまで、作品を守るというのがプロデューサーの仕事だと思います。
いつも、私の映画に対する想いは「母グマ」の気持ち。子グマを守るような気持ちで接しているんじゃないかなと思いますよ。
「これを作らないと自分自身の意味がない」と思えるような、やりたいものを作り続けること
ものづくりをする時に、心がけているのは「後悔しないこと」。どうしても、うまくいく映画とうまくいかない映画があるでしょう?公開されて、ずっと後になって、みんなに認めてもらえる映画もあります。私が関わった作品でいうと「ジェシー・ジェームズの暗殺」(2007年)のように、時間が経ってから、みなさんが褒めてくれるものもあります。でも、その物語が好きで、強い想いを持って作っていれば、あとはその想いに周りの評価が追いついてきてくれれば、というだけなんですよね。
なので、これから映画製作を目指すような方にも、好きなものを作って欲しいです。人気が出そうとか、観客がいっぱい来そう、とかではなくて、自分が「これを作らないと自分自身の意味がない」と思えるような、やりたいものを作り続けること。それが全て、100パーセントそうだと思います。
『ワールド・ウォー Z』8月10日(土) 全国超拡大ロードショー
マーク・フォースター監督作品
ブラッド・ピット
ミレイユ・イーノス
ダニエラ・ケルテス
マシュー・フォックス
原作:マックス・ブルックス
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン、J・マイケル・ストラジンスキー、ドリュー・ゴダード、デイモン・リンデロフ
製作:ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、イアン・ブライス
衣装デザイン:マイェス・C・ルベオ
音楽:マルコ・ベルトラミ
配給: 東宝東和