沢村 一樹さん演じる相良 浩介先生が、堂上総合病院の医師たちと対立を繰り返しながらも病院の再生に尽力していく本格医療ドラマ『DOCTORS』の第3弾(1月8日木曜夜9時スタート)。同ドラマのゼネラルプロデューサーを務める三輪 祐見子さんに、本作のみどころや、ドラマ制作の際に心に留めていることなど…お話を伺いました。

 

■ 小学校のクラブ活動で、生中継に挑戦!

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テレビの仕事に携わりたいと思った原点は、小学校の放送クラブでの活動です。先生が朝礼でお話している様子を生中継で配信するような、当時としては画期的なクラブでした。その生中継をしたことで、放送そのものにとても興味が湧いて、テレビの仕事をしたいと思うようになりました。

ドラマ作品で、最初に好きになったのは『3年B組金八先生』です。その後はその時々の山田太一さん脚本作品からトレンディドラマに至るまで、ずっと好きで見続けていて、ドラマ志望で入社することになりました。

ドラマの制作に携わるようになってからも、『3年B組金八先生』が好きだったことで、いつか教師ものも作ってみたいなぁと思ったり、『岸辺のアルバム』のような、ホームドラマへの想いもあったり…自分が見てきた作品から受けた影響はあると思います。

医療ドラマについても、制作に携わるようになってから、ずっと手掛けたいと思っていた分野でした。

テレビ朝日は刑事ドラマがとても多いですが、医療ドラマは『DOCTORS』が始まった2011年までの10数年間、制作していませんでした。なので、始めた頃は結構手探りでしたが、米倉涼子さん主演の『ドクターX』も人気を集めて、今や2大巨塔みたいになっていますね(笑)もともと興味のあった医療の分野なので、制作していても、とても充実感があります。

 

■ じわじわと面白さが伝わって視聴率にも繋がった『DOCTORS』シリーズ

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通して携わっている『DOCTORS』シリーズは、2011年10月期にパート1が放送され、2013年7月期のパート2では最終回で最高21.7%の視聴率を記録しました。ファン層の広がりが視聴率にも現れている要因は、第一に、福田 靖さんの非常に濃密な脚本にあると思います。その面白さがじわじわ伝わって視聴率に繋がったかなと。

ベースにある脚本の面白さに加えて、役者の皆さんが役を膨らませて演じることで生まれる相乗効果も要素のひとつです。劇中のキャラクターがだんだん一人歩きしていった結果、どんどん視聴率も伸びてきて、ファン層も厚くなっているという、シリーズものとして嬉しい状況になっています。

シリーズものの制作にあたって、時間経過は意識して作るようにしています。『DOCTORS』では堂上総合病院という設定が一緒なので、同じことをやるとやはり古い感じが出てしまうので。

それに加えて”お茶の間感覚”を取り入れる意識はあるかもしれません。今回の『DOCTORS 3』では高嶋 政伸さん演じる森山 卓先生がタレントドクターとして忙しくなっている、という設定があるのですが、最近、テレビを見ていると医療バラエティーも多く、コメンテーターとしてお医者さんが参加しているケースも多いので、そういうところは意識するようにしています。今回は高嶋さんが痩せたので、タレントドクターの設定でも合いそうかな、と思ったこともありますが(笑)『DOCTORS 2』の終盤で患者想いの良い先生になったかと思いきや、また道を踏み外しそうになって、そうそう簡単に人は変わらないな(笑)と。でも、少しずつ良い方向に進んでいて、そういうところを続けて描いていっています。

 

■ 高嶋 政伸さんと沢村 一樹さんの、明確なキャラクター分け

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高嶋さん演じる森山先生の悔しさを表現する演技が、インパクトの強さで話題を呼びましたが(笑)それは脚本の福田さんも「まさか、こんな風になるとは思わなかった」とおっしゃるほどの予想外のものでした。

『DOCTORS』最初のシーズンの第1話で悔しさを表現するのに台本に「ん」が4つ書いてあったんですよ。そこで高嶋さんは、なんで「ん」が4つなのかな、どう演じれば良いのかなというのを寝ずに考えたそうで、それがだんだん今の形に変化していって。なので福田さんも最初はどういうつもりで「ん」を4つ書いたのか分からないのですが、高嶋さんがそれを自分のものにしていったというか(笑)本当は悪役キャラなのに、憎めないおぼっちゃまキャラにだんだん成長していって。ただの悪役じゃない、非常に生っぽいというか、むしろ森山 卓ちゃんファンが多くなるような状況にまで発展して。傍目で見ていても「すごいなぁ」と思っています(笑)

そこの部分は演出に加えて、高嶋さんの役との向き合い方が大きいと思います。実際に放送されている以上のテンションで演じている時もあるし、それ以下の時もあるし、それは監督の絶妙な切り取り方ですね。

一方、主役の相良先生(沢村 一樹さん)は飄々とそれに惑わされずにぶれないでいるという…お互いがきちんと領域を守って演じているので、明確なキャラクター分けができているのだと思います。

さらに、キャストもスタッフもほぼ変わらずにシリーズを重ねているので、現場には、何か問題があっても全員で考えるというようないいチームワークができていますね。

 

■ 「ちょっと明日がんばろうかな」と思えるような、優しい気持ちになれるドラマ作り

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現場のチームワークも変わらず良い雰囲気で制作が進む中でも、やはり医療ドラマは命を扱う作品なので、丁寧に作らなくては、という想いは常に持っています。殺人事件が起こる刑事ドラマも同じ想いで…人の生き死にを扱っているということに、真摯に向き合いながら作るようにしています。

ドラマは、陰惨な事件や悲しい出来事も起きる日常の中でのフィクションなので、ほっとできたり夢を与えられたりする場でありたいと思っています。なので、誰かを傷つけたり、誰かが悲しくなるようなドラマは作らないようにしているつもりです。「ちょっと明日がんばろうかな」とか「隣にいる人に優しい言葉をかけてみようかな」と思えるようなドラマを今までも作ってきたつもりですが、これからも作っていきたいと思っていて、それを信条にしています。

これから映像制作に携わりたいという方には、映像制作が好きという気持ちを何より大切にして欲しいです。その想いがあれば、例え寝なくても頑張れると思うんですよ。眠い時は辛いですが(笑)頑張れるモチベーションが既にあるから、続けていればきっとチャンスは巡ってくると思うので。映像はどれが良い、悪いというのは基本的にそれぞれの好みで、正解のない世界です。だから、「これが良いと思う」という自分の感覚を信じるしかないと思うので、それを大切に持ち続けていって欲しいですね。


『DOCTORS 3 最強の名医』

テレビ朝日系列 毎週木曜夜9時~放送

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出演:

相良 浩介/沢村 一樹
森山 卓/高嶋 政伸
宮部 佐知/比嘉 愛未
相原 亜美/黒川 智花
田村 戸紀子/宮地 雅子
ほか
脚本:福田 靖
演出:本橋 圭太、常廣 丈太ほか
ゼネラルプロデューサー:黒田 徹也(テレビ朝日)、三輪 祐見子(テレビ朝日)

 

■三輪プロデューサーが語るみどころ

前回の『DOCTORS 2』から1年半経って、今回の冒頭、病院を揺るがす大事件が起こります。野際陽子さん演じる院長の交代に繋がるかもしれない事件が起こり、それに伴う病院崩壊の危機から話が始まります。全ては相良先生(沢村 一樹さん)の企みかもしれないし、もしかしたら相良先生のそれを逆手に取った作戦なのかもしれないし…そのピンチをどう切り抜けるかというところには組織ものとしての面白さもあります。その辺りも楽しみに見ていただけたら、見応えがあると思います。

■オフィシャルサイト

http://www.tv-asahi.co.jp/doctors/

(2015年1月18日更新)