タイトルにあるように、未経験からゲームエフェクトデザイナーとして就業を開始したクリーク・アンド・リバー社VFX STUDIO所属のエフェクトデザイナー高森美月さん(写真左・以下、高森)と、比田井周深さん(写真右・以下、比田井)に、どの様にスキルを構築し、評価を受けるためにどんなことをしてきたか、実践的なお話を伺います。

ゲームエフェクトを本気で学べる環境

――よろしくお願いします。お二方はクリーク・アンド・リバー社のクリエイティブアカデミー出身なんですよね?入校されるまではどんなことをされていたんですか?

高森 私は美術系大学を卒業しています。学部は一応デザイン系ではあったのですが、3Dやゲーム演出などの経験は皆無でした。やはりコンテンツ、特にゲームに関わりたい気持ちが強くて色々検索をしていたら、ここのアカデミーがヒットして、無料だし、本気の人にはいい環境だと思い参加しました。

比田井 私はもっと変わっていて、普通の四年生大学出身です。所謂美術系の専門的な学習は全く行っていませんでした。完全に純粋な未経験です。実際ホテルなどで働いていましたので、ポートフォリオも何もない状態で参加しました。
ゲームが好きでゲーム会社に就職したかったんですけど、ゲーム会社は新卒以外未経験お断りで、この年から専門学校に行ってキャリアを積んでもゲーム業界に入れる可能性も薄いし…どうすればいいのか考えていた時に、クリーク・アンド・リバー社のサイトに出会いました。3Dも、ゲームエフェクトも教えてくれるところはここしかなかったし、就職率も高いし、説明会では何度も「本気の人だけ来てください」と言われ、きつそうだなとは思いましたがチャレンジしてみることにしました。

――なぜエフェクトを選択したんですか?

比田井 ファンタジー系のゲームで召喚獣が魔法を出す時の演出を自分でも表現してみたいと感じていたので、エフェクトを選択しました。将来はファンタジー系の大作に関わりたいですね。今回課題でも大作系の召喚獣をイメージして作らせていただきました。

高森 自分の大学はゲーム系に就職する生徒も多く、ゲーム会社の説明会が学校であって、その時エフェクトデザイナーという職業を知りました。演出として興味を持ったのがきっかけです。

――クリエイティブアカデミーはどんな授業を受けていますか?

高森 講義形式ではなく、基本を少し教えてもらったら課題を与えられ、その課題をクリアするとまた次の基本を教えてもらって課題をこなし…ということを繰り返してポートフォリオを作っていく作業になります。基本は先生にマンツーマンで教えてもらうんですが、スキルの補完は自分で調べたり、仲間や先輩に聞いたりすることもあって、ついていくのに必死でしたが楽しくもありました。

比田井 私の場合、高森さんが既に知ってるもの、例えばPhotoshopの基本的な使い方も知らないのでそこからになりました。課題をクリアするのは、初心者の自分にはかなりハードでしたが、必死に制作していくうちにPhotoshop、MAYA、AEの基本から、Unity、UEまで幅広く使えるようになりました。とにかく覚えることが多くて、正解がわからず迷っている時には先生に的確なアドバイスをしていただき、最短距離でスキルの取得ができたのではないかと思います。

――アカデミーにはどれくらい通いましたか?

比田井 私は入学説明会を受けてその3週間後諸々調整をして通い始めました。その後、平日8時間×3ヶ月のトレーニングでした。先生が常時いるわけではないのですが、ハイスペックのPCと関連ソフト、関連書籍があるのは助かります。2ヶ月前に入校した先輩の作品を見ると、本当にできるのか不安になる時もありましたが、そこにいる受講生はライバルではなく“切磋琢磨する同僚”という感じで、互いに高め合っていく環境でした。3ヵ月のトレーニングでしたが、自分の場合はかなり早い段階で、幸いにも社内のスタジオであるVFX STUDIOからオファーをいただき、エフェクトデザイナーとして働くことができました。アカデミーは居心地が良かったので、もっと居たかったですね。

クリエイターとしてのキャリアアップを考慮してもらえることも魅力

――アカデミーの魅力は何ですか?

高森 そもそも日本にエフェクトを教えている専門学校がないんですよ。もちろんVFXの一部として実写系のエフェクトを教えているところはありますが、所謂ゲームエフェクト、演出としてのゲームエフェクトを教えてくれるところは無いんです。そういう意味では唯一無二かと思いますし、無料だったのと短期だったのは非常に助かりました。

比田井 私は3ヵ月でプロになれるスキルが身につくのか、本当は不安を抱えてのスタートでしたが、目標も明確だし、やるしかないという強い意志を持って取り組ませてくれる環境だったのが良かったですね。普通の専門学校ではなかなかここまで追い込んではやらないと思います。やりきった感はありましたね。

――クリーク・アンド・リバー社の働き方はどうですか、今後どうなりたいですか?

比田井 潤沢にエフェクトの仕事があるので、経験を積むことができて、スキルアップが見えているのがいいですね。クリエイターのキャリアを最優先に考えているところも魅力です。
いずれはエフェクトデザイナーとして人脈形成をして、フリーランスとして指名で仕事が入るようになって、代わりのいない唯一無二のデザイナーになりたいですね。この様な発言を許してくれるこの会社に魅力を感じています。

高森 色々やらせてくれるところに魅力を感じています。多くの作品に参加させていただき、作品を見た人に影響を与えるようなエフェクトデザイナーになりたいですね。

――ありがとうございました。