3Dデザインに関する仕事をしたいと考えていても、実際にどんな種類の仕事があるのかわからないために求人が見つからず、転職意思が固まらないという人もいるでしょう。しかし、3Dデザインに関わる職種や業界は調べてみるとたくさんあり、希望する業務内容の仕事に出会える可能性は日々高まっています。早いうちにイメージを固め、必要であれば資格取得などの準備をしていきましょう。ここでは3Dデザインとはどんなものか概要をまとめつつ、3Dデザインに関わる仕事の需要や将来性、3Dデザインが活躍する業界の特徴や具体例について紹介します。
3Dデザインとは
3Dとは「three-dimensional」の略語です。その言葉が意味する通り、3Dデザインとは3次元のように見えるデザインのことを言います。立体的に形状をデザインし、物が飛び出してみえたり、そこに奥行きがあったりするかのようにみえるデザインが3Dデザインにあたります。例えば、アニメやゲームソフトのキャラクターや背景などは3次元のCG(3DCG)データで作られることが増えてきました。3DCGで形状を作れば、立体的に動かしたり、360°自由に回転させたりすることができます。
3Dデザインの需要と今後
3Dデザインの現在の需要
3Dデザインの需要はアニメやテレビ番組、映画・映像系の制作会社をはじめ、パチンコ業界、ゲーム業界、広告業界など多岐にわたります。特に募集が多いのはスマートフォン向けゲームを開発する業界ですが、建築業界や広告業界でも需要があります。3Dデザインの仕事は普段は地道にパソコンに向かい、納期前には追い込みがあることもあるでしょう。技術を要する職種で人手不足の傾向があるため、需要があるだけでなく未経験や転職者にもチャンスがあります。
3Dデザインの今後の将来性
3DCGの技術は日常生活の至るところに活用されているため、今後もさらに需要が増えていく将来性のある業界です。希望する業界で採用を狙う場合は、自分のスキルをアピールするために実績や保有資格、得意なこと、これからできるようになりたいことなどをまとめたポートフォリオがあると良いでしょう。また、新技術を常にキャッチアップしていく意欲も大切です。
3Dデザインが活躍する業界の種類
3Dデザインが活用されるのは今知っている分野だけではないかもしれません。どんなところで3Dデザインの技術が求められているかを知っておけば、早い段階で希望職種に就くための準備ができます。ここでは3Dデザインが活用されている業界や活用事例をピックアップして紹介します。
映像業界はゲーム・アプリ・テレビ・アニメ・映画などジャンルがさまざま
映像業界ではいろいろな分野で3Dデザイン技術が活用されています。
- 映画・映像分野:現場で撮影をしたあとに画像を編集するポストプロダクションの部門で特殊効果などが盛り込まれます。また、Pixarを始めとするアニメーション映画の現場でも3DCGを用いてキャラクターや町並みなどを表現する手法として活用されています。
- ゲーム・アプリ業界:キャラクターや背景、モーションなどの部分を3Dデザイナーが制作します。
- テレビ・アニメ業界:作品により3Dを使い番組や作品を制作します。
この業界では、キャラクターなどをCGに起こすモデラ―、モデラ―が作ったCGモデルに表情や動作条件を設定するリガー、CGモデルにアニメーションをつけるアニメーター、人間や動物の動きをつけるモーションキャプチャスタッフ、火や水、爆発など特殊効果を映像化するエフェクトアーティストなど多くの技術者が関わっています。これらを支えるエンジニアやプロジェクトマネージャーなどの職種のスタッフたちと共に協力しながら仕事を進めていきます。
広告業界はさまざまなメディアでデザインできる
広告代理店や広告制作会社では、企画された広告内容をグラフィックに落とし込むのに3Dデザインが活かされています。新聞や雑誌ポスターなどの紙媒体のほかWebやモバイル端末向けにデザインすることもあります。
パッケージやロゴマークなど商品のデザインに関わりたい場合は、メーカーの広報宣伝部門に就職するのがおすすめです。
また、グラフィック広告を手掛けるプロダクションやCM制作会社、Web制作会社などでも3Dデザインに関わる仕事ができる可能性があります。実績を積み上げてフリーランスで活躍している人もたくさんいます。
AR・VR業界は今後大注目の業界!
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)は注目度の高い分野です。モデリングやモーションエフェクトなどを制作する3DCGデザイナーなどが活躍しています。また、近年ARやVRは、新しいもの好きやコアゲーマー以外の一般層にも急速に利用が拡大しています。ゲームや映画、仮想空間でのライブをはじめ、自動車の設計や産業用デバイス、旅行やブライダルの下見など、ARやVRを活用した体験型のコンテンツが拡充されつつあります。希望する業界で募集がないか見ておくとよいでしょう。
好景気が続く土木建築・電気設計業界
建築業界や、自動車、航空、機械、家電業界などでは早い段階から3Dデザインが活用されてきました。特に建築業界は好調で年収も増加傾向です。東京オリンピック以後もリニア新幹線や地震災害への備えなど、インフラ整備に関わる技術者が求められています。橋や道路、ビルなど大型構造物や機構が入り組んだ複雑な構造物を設計する場合は、自由に拡大縮小ができて、それぞれの設計図面と連携が取れる3DCADが欠かせません。土木、電気業界の3DといえばCADが一般的でしたが、昨今3D技術はCADだけではありません。
建設はCADだけじゃない!最新テクノロジー「BIM」
BIMとはBuilding Information Modelingの頭文字です。3Dデザインデータの上に、今までは表などデータベースで取り扱っていたコストや仕上げ、管理すべき属性情報を直接盛りこんだデータベースのことで、施工にとどまらず建設物の維持管理まで一貫したデータが活用できます。例えば、作成した部品にメンテナンス期間の属性情報を盛り込んでおけば、保守の担当者がBIMデータから点検すべき場所や手順を同時に確認できます。ときにはデータ上で構造を分解したり部品の裏を見たりできるため、非常に効率的です。
3Dデザイン習得がおすすめ
3Dデザインに関わる仕事は新しいデザインを創造するクリエイター以外にもたくさんの職種で求人があります。また、土木建築、電気業界をはじめ3D技術者を求める業種は幅広く、募集が多い傾向があります。AR、VR、BIMなど、今後新たに3Dデザインを活用しはじめる企業、業界も増加傾向です。デザインに興味があるなら、2Dデザインにとどまらず3Dデザインを習得しておくと良いでしょう。3Dデザインの技術があれば、それだけたくさんの業界で活躍できる可能性が広がります。
まとめ
3Dデザインに関する需要や、今後の将来性について紹介しました。3Dデザインには、多くの業種があり、映像、広告、AR・VR、土木建築、電気など多岐にわたります。特に建築分野ではBIMが注目されています。どれも将来性や需要が高く、年収アップが期待できる業界です。グラフィックデザイナーとして就職を希望しているのであれば、今後の将来性を考慮して、ぜひ3Dデザインにかかわる技術習得を検討してみましょう。