この記事では、カメラを使った仕事を目指す方に向けてカメラマン・フォトグラファーの仕事内容・業界動向・求人を紹介します。
カメラマンをサポートする、クリーク・アンド・リバー社のエージェントとデスク担当者による監修つきです。
これから本気でカメラマンを目指したい方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事では写真撮影をおこなうクリエイターを「カメラマン・フォトグラファー」と定義して内容を記載しています。
カメラマン・フォトグラファーとは?その違いは?
日本では写真を撮る人を「カメラマン」と呼ぶことが一般的ですが、最近ではフォトグラファーとも呼ばれています。
つまり、カメラマンとフォトグラファーに明確な違いや定義はありません。
ちなみに、英語圏では以下のように使い分けられています。
・フォトグラファー:新聞や雑誌など写真の撮影技師(例:報道用の写真撮影・グラビア撮影)
・カメラマン:映画やテレビの撮影技師
つまり英語圏では、動画を撮影する人をカメラマン、静止画を撮影する人をフォトグラファーと呼ぶようです。
本記事では写真の撮影技師を「カメラマン・フォトグラファー」と定義し、仕事内容をご紹介します。
カメラマン・フォトグラファーの仕事内容
カメラマン・フォトグラファーのおもな仕事内容は「商業写真」と呼ばれる商品の広告用写真の撮影です。
商業写真の中でも「ブツ撮り」は典型的なカメラマン・フォトグラファーの仕事です。
「ブツ撮り」とは洋服や食品など、広告媒体に掲載するための写真を撮影することです。飲食店などで、商品をパンフレットや広告媒体に載せるための写真撮影がその例です。
一方、すべてのカメラマン・フォトグラファーがクライアントに雇われて写真撮影をおこなっているとも限りません。いわゆる「芸術写真」を中心に活動しているカメラマン・フォトグラファーもいます。芸術写真の目的は被写体の宣伝ではなく、広義には芸術作品としての写真を指します。
また、かつてはフィルムを使ったアナログタイプのカメラが当たり前でしたが、現在の主流はデジタルカメラです。デジタルカメラが浸透するにつれ、撮影だけでなく、写真の加工スキルも試されるようになっています。
カメラマン・フォトグラファーのキャリアパス
カメラマン・フォトグラファーのキャリアパスには、さまざまな道筋があります。
もっとも多いのは、アシスタントとして下積みしたのち、企業に入社もしくはフリーランスとして活躍する道でしょう。
プロのカメラマン・フォトグラファーにアシスタントとして弟子入りし、修行します。
修行してスキルや知識が充分についたのちに企業に入社したり、フリーランスのカメラマン・フォトグラファーとして活躍したりする人が大半です。
アシスタントとはいえ、専門的な知識は必須条件です。専門学校に通ったり、独学で学んだりして、即戦力として期待される実力をつけておきましょう。
また、最近ではSNSを活用して作品を発表し、自分のスキルや想いを発信するカメラマン・フォトグラファーも増えています。
SNSは世界中の人に情報を発信できる上、コメント欄やDMを使えば簡単に問い合わせできます。実際にSNSを使って仕事を獲得するビジネスマンも多く、カメラマン・フォトグラファーも例外ではありません。
参考:独学2年でフリーランスカメラマンになった27歳が語る、「写真で生きていくための差別化」とは
また、仕事の獲得には人脈も必要です。そのためには、学校でスキルを磨き、先輩や講師との関係性を築いておくことも有効でしょう。
次章では、カメラマン・フォトグラファーになるための主な3つの方法を紹介します。
カメラマン・フォトグラファーになるには?【勉強方法3選】
カメラマン・フォトグラファーとして活躍するためには、撮影や編集の高度な技術が必要です。そのため学校で写真についてひと通り学んだ後に、カメラマン・フォトグラファーとして働く人が大半でしょう。
学校卒業後は、カメラマンのアシスタントとしてスキルを積む方法や、カメラマンとして企業に入社する方法が一般的です。
ここからは、カメラマン・フォトグラファーになるための主な方法を、3つご紹介します。
学校で学ぶ
撮影やカメラ関係の専門学校や大学に通い、カメラマン・フォトグラファーを目指すキャリアパスです。
まったくのカメラ初心者でも入学可能で、写真撮影の基礎知識や実践的な撮影技術を学べます。社会人として重要なビジネススキルも習得でき、卒業後の就職や独立をバックアップしてくれるでしょう。
昨今ではデジタルデバイスが普及し、誰でも簡単に写真を撮影できるようになりました。そのため、独学でカメラマンを目指すことも可能です。しかし写真の基礎知識が培いづらく、コミュニティも築きづらいため、仕事の受注量が少なくなりやすいというデメリットがあります。
専門学校
早く現場でカメラマンとして仕事をしたい方や、大学に入学するための学費を抑えたい方には専門学校がおすすめです。
ここで株式会社クリーク・アンド・リバー社に在籍する、元カメラマンも在籍していた専門学校を一覧でご紹介します。
東京ビジュアルアーツ
特徴 | マスコミ・映像学科やヴォーカル&ミュージシャン学科、特殊メイク学科の学生とコラボレーションして創作活動を進めることが可能。 |
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卒業後の進路 | 株式会社ライトアップ/株式会社六本木スタジオ/株式会社アマナフォトグラフィーフューほか |
公式HP | https://www.tva.ac.jp/ |
日本写真芸術専門学校
特徴 | 受賞実績に基づいた教育プログラムと54年続く業界の繋がりから、充実した就職サポートが可能。 |
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卒業後の進路 | 株式会社イイノプロ/株式会社資生堂ほか |
公式HP | https://npi.ac.jp/ |
養成講座
クリーク・アンド・リバー社ではカメラマンデビュー講座「HOTATE」を開催しています。
講座のコンセプトは「本気で・(カメラで)食べてく・テクニック」。
完全無料。未経験者歓迎です。
2022年11月現在応募を締め切ってしまっていますが、現場経験が少なく、今後プロのカメラマンとして生きていきたい方は、ぜひ次回の開催を楽しみにしていてください。
大学
カメラだけではなく、芸術を含む幅広い知識を吸収したい方は大学への進学がおすすめです。
そこで以下ではカメラマン・フォトグラファーになるための大学をご紹介します。
日本大学
特徴 | 「表現技術を学ぶ実習」「制作のための技術理論」「表現や研究を行うための表現理論」で構成されたカリキュラム。撮影技術だけではなく、幅広い分野の芸術教養と知識を身に着けた写真家の育成を行っている。1年次から4年次にかけて実習と理論を学び、習得する。 |
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卒業後の進路 | 株式会社朝日新聞出版/株式会社アマナ/株式会社イイノメ・メディアプロ/エイベックスグループ・ホールディングス株式会社/株式会社ADKインターナショナルほか |
公式HP | http://www.art.nihon-u.ac.jp/education/department/photography/ |
東京工芸大学
特徴 | 写真表現の土台となる基礎から正統的に学べるカリキュラム。「写真表現理論」「コマーシャル」「ドキュメンタリー」「アート」という4つの専門領域の中からそれぞれ専門性を追求する。 |
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卒業後の進路 | 株式会社秋山写真工房/株式会社アフロ/株式会社アマナデジタルイメージング/イイノ・メディアプロ/株式会社一蔵ほか |
公式HP | https://www.t-kougei.ac.jp/gakubu/arts/photography/ |
武蔵野美術大学
特徴 | ケミカルフォト・デジタルフォト・ドラマ・映画・ドキュメント・アニメーション・3DCG・メディアアート・サウンドアート・インタラクティブアート・イメージフェノメナンなどを総合的に学ぶ。 |
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卒業後の進路 | 同印刷/枻出版社/ADKクリエイティブ・ワン/ボール/AOI Pro./博報堂プロダクツ/ピラミッドフィルム/アドブレーン/ピークス/太陽企画/ロボットほか |
公式HP | https://www.musabi.ac.jp/course/undergraduate-ctsi/ias/ |
アシスタント
すでに活躍しているカメラマン・フォトグラファーのアシスタントにつき、見て学びながらスキルや人脈を獲得する方法です。プロの現場に同行できるため、実践的なスキルやマナーが身に付きます。
アシスタントとして働くことも、決して簡単なルートではありません。大半の人は、専門のスクールを卒業後、フォトスタジオや広告代理店などに就職し、先輩カメラマン・フォトグラファーから指導を受けます。
ごくまれに、在学中から才能を認められて、すぐに人気フォトグラファーや人気カメラマンになる人もいます。大学には「卒業制作」があるので、先輩の現場を手伝っているうちに目上の人たちから評価され、声をかけられるようなケースです。
ただし、こうしたケースはかなり稀で特別です。アシスタントの道をめざすなら、自ら積極的に行動し、人脈を広げたり営業したりする覚悟も必要になるでしょう。
独学で学ぶ
独学であっても本職のフォトグラファーやカメラマンになることは可能です。写真やカメラに関する教本を読んで知識をつけたり、実践してスキルを身につけたりします。また、最近ではYouTubeでも本格的な動画が閲覧できます。
しかし知識やスキルが身に付いても、実際の作品を披露する場がないと仕事には結びつきません。
そのため、作品を発表する機会を自分で設ける必要があるでしょう。
個展や、グループ展を開催したり、写真集を自費出版したりして、実績を積み重ねていきましょう。こうした努力が関係者の目に留まり、実力が評価されれば仕事を依頼されるようになります。
あるいは「持ち込み」をおこなうのもひとつの方法です。自分の作品をファイルにまとめたポートフォリオを作成したうえで、デザイン事務所や出版社を訪問する人もいます。このときは、なるべく自分の作風に合った媒体を選んだ上で、アポイントをとるのがステップアップのコツでしょう。
ポートフォリオを作る
ポートフォリオとは、カメラマン・フォトグラファーが自分の実績や作品をまとめたものを指します。カメラマン・フォトグラファーのポートフォリオには、大きく分けて3つのタイプがあります。
・アルバム形式で写真を並べたもの
・1枚1枚の写真を箱に入れたボックスタイプ
・ブログやSNSなどのWEBサイト
従来のポートフォリオは、撮影した写真をアルバムや箱に入れ、ひとつの作品集としてまとめられていました。先述の「持ち込み」も、アルバムやボックスタイプを持って営業する方法です。
また最近では、カメラマンをSNSで探すクライアントも増えています。実際、SNSから仕事を受注している人も少なくありません。うまく自分をブランディングできると、SNS経由で仕事が獲得できる可能性が高まります。
作品発表ができるサービス
ポートフォリオをネット上に作成し、クライアントに見つけてもらうためのおすすめサービスを紹介します。
・Instagram
・Adobe Portfolio
・WIX
・WordPress
カメラマンがSNSで作品を発表するなら、Instagramが圧倒的におすすめです。写真を投稿するだけで世界観を演出でき、多くの人に向けて発信できます。フォロワー以外でもDMから気軽に問い合わせができるため、仕事の受注が期待できます。
Adobe Portfolioは、Adobe Creative Cloudを契約している人が無料で利用できる、ポートフォリオ作成サービスです。カメラマン・フォトグラファー向けのWebサイトが簡単に作成できます。SNSのような交流はできませんが、高画質で投稿できる点が魅力です。
WIXも無料で利用できるサイト作成サービスです。テンプレートを使えば、簡単に自分のサイトが作成できます。デメリットは画質の低さ。画質にこだわりたい人にはおすすめできません。
最後にWordPressは、Webサイトを作成できるシステムのことで、紹介した中で唯一費用がかかります。WordPress自体は無料で利用できるシステムですが、レンタルサーバーや独自ドメイン保有などに年間1万円程度が必要です。
HTMLやコーディングの知識がなくても、直感的な操作が可能。初心者でも本格的なホームページが作成できます。
非常に人気のCMSで、企業ページとして活用されている場合も多いため、情報がインターネット上に多いのもメリットと言えるでしょう。
カメラマン・フォトグラファーの年収
カメラマン・フォトグラファーの年収は、雇用先や雇用形態によって大きく差があります。
出版社や新聞社、フォトスタジオで正社員として勤務する場合と、アルバイト契約のアシスタントでは2倍以上の差があるでしょう。
正社員のカメラマン・フォトグラファーの平均年収は、400万円前後といわれています。
参考:2022年版 職種別 モデル年収平均ランキング
なお、令和3年賃金構造基本統計調査では、10人以上の企業規模で働く写真家・映像撮影者の年収の平均は、約487万円と発表されています。
営業職や専門職と比較すると、決して給与は高いとはいえませんが、安定した給与と待遇の良さが魅力的です。
企業に雇用されず、フリーランスとして活動するカメラマン・フォトグラファーの場合、地名度や人気によって大きな差が出るでしょう。
アルバイトと掛け持ちして生計を立てるカメラマン・フォトグラファーもいれば、年中無休で働くほど人気のカメラマン・フォトグラファーもいます。
人気カメラマン・フォトグラファーでは年収1,000万円を超える人もいるようです。
カメラマン・フォトグラファーの将来性
ところで、カメラマン・フォトグラファーに将来性はあるのでしょうか。せっかく学校に通って専門スキルを習得しても、活躍できる場がなかったり、縮小していくようでは、続けていくのは困難です。
結論から申し上げると、カメラマン・フォトグラファーには将来性があり、見通しは明るいといえます。
なぜなら、企業ホームページやブログなどのWebコンテンツ・インターネット広告が増えているからです。もちろん素人でも一定品質の写真が撮影できますが、やはりプロが撮影した写真は需要があります。
しかし、ただ美しい写真が撮影できるカメラマン・フォトグラファーでは不十分。他者との差別化をはかり、自分自身をブランディングする必要があります。
マーケティング力・セールス力などもブラッシュアップし、能動的に仕事を獲得しなくてはならないでしょう。
参考:【2022年版】コンテンツマーケティングの市場規模やこれからの展望を徹底解説!
カメラマン・フォトグラファーに必要なスキル
カメラマン・フォトグラファーになるには、大学や専門学校で学んだ後にアシスタントとして経験を積むことが主流です。アシスタント業務には、撮影はもちろん荷物の搬入や雑務までが含まれます。業務時間が長くなる場合もあるため、カメラマン・フォトグラファーを目指すには、適性や必要なスキルをあらかじめ知っておくことが重要です。
ただし、これらの能力は、実際に働いていく中で培われる能力でもあります。あくまで目安としてお考えください。
特に重要な3つのスキルを以下で説明していきます。
スキル1.コミュニケーション・決断力
撮影現場で構図を決める際には、提案や的確なディレクションが必要です。撮影を円滑に進めるためにも、クライアントの撮影イメージや指示を汲み取るためのコミュニケーション力が必要になります。
スキル2.パターン化する力
現場では瞬時に構図を決めたり、ディレクションしたりする必要があるため、撮影の場面によって撮影方法を効率よくパターン化する必要があります。自分の撮影パターンを増やすためには多くの現場で経験を積み、撮影パターンがいつでも再現できるような能力が必要になるでしょう。慣れないうちは撮影パターンをメモに残すとよいでしょう。
スキル3.体力/精神力
アシスタント業務では撮影以外の雑務までこなす必要があるため、長時間撮影現場にいることがあります。またアシスタント業務によっては、勤務時間に見合わない給与の場合もあるでしょう。カメラマンとして大成するためには、体力と精神力(モチベーション維持)が必要です。
カメラマン・フォトグラファーの求人例
「CREATIVE JOB」よりカメラマン・フォトグラファーの求人の一例をご紹介します。
このほかにもさまざまな地域・企業からの求人がありますので、自分のスキルを活かして仕事をしたい方や、これからカメラマン・フォトグラファーとして活躍したい方はぜひチェックしてみてください。
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まとめ
プロのカメラマンになるには、学校で技術や歴史を体系的に学び、アシスタントとして修業する日々が続きます。精神的・肉体的にもキツイ時期ですが、有名なプロカメラマンとともに仕事をすることで成長できるでしょう。
また、カメラマン・フォトグラファーを目指せる学校や講座も複数あるため、うまく活用しましょう。
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