動画編集は市場規模が拡大していることもあり、仕事として需要が高い傾向にあります。では、実際に動画編集を仕事にする場合、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
今回は、動画編集の仕事に求められるスキルを目的別に解説。おすすめの動画編集ソフトについても紹介します。
本記事を読めば、どのようなスキルを習得すればいいのか分かりますので、参考にしてください。
動画編集・映像制作の仕事の特徴
撮影した映像を編集・加工するのが動画編集や映像制作の仕事です。
制作する映像コンテンツはテレビCMやプロモーションビデオ、YouTubeなどのSNSに掲載する動画などさまざまなものがあります。
具体的な仕事の流れは次のとおりです。
- クライアントの希望をヒアリング
- ヒアリング内容をもとに制作するコンテンツの企画・構成を提案
- クライアントの承諾後に必要な映像の撮影
- 撮影した動画の編集、演出効果の追加
- レンダリングをしてクライアントに納品
幅広いスキルが必要になる仕事で、経験を積んでいくと動画編集者としての判断や感性を生かせる業務を担当することが多くなります。
入社直後はサブとしてメインの編集者のもとに配属され、アシスタントの役割を担います。その後、さまざまな経験を積んでメインの編集者に昇格することを目指すのが一般的です。
動画編集を仕事にするメリット
動画編集を仕事にするメリットは次のとおりです。
- 市場が拡大している
- 手に職が付けられる
- 副業として始められる
- 独立できる
- 自由な働き方ができる
株式会社サイバーエージェントの調査によると、2022年の国内動画広告市場は前年比1,396億円増の5,601億円となっており、2025年には1兆円規模に達すると見込まれています。
動画広告市場が拡大するということは、動画制作・編集に対するニーズも伸びると考えるのが自然といえます。
また、動画編集はスキルであり、習得することで手に職を付けられるのがメリットです。
加えて、高いスキルを習得すれば動画編集者としての市場価値が高まり、多くの案件を獲得できるようになります。
仕事として考えた場合、副業から始められる他、スキルや実績次第では独立も可能。フリーランスとなれば、時間に縛られない自由な働き方ができるでしょう。
動画編集を仕事にする際の注意点
動画編集を仕事にする場合は以下の注意点があります。
- スキルの習得に時間がかかる
- 独立するか就職するかによって求められる能力が異なる
- 初期投資に費用がかかる
- 納期や対応に追われることがある
- 初めのうちは収入が安定しない
動画編集を仕事にするには、動画編集ソフトの操作スキルを身に付ける必要があります。
基礎的な編集方法も把握しなければならないので、スキルの習得に時間がかかりやすいでしょう。
また、副業や独立、就職・転職など、動画編集スキルを習得する目的によって、求められる能力が異なります。
なぜ動画編集スキルを身に付けたいのかを明確にし、そのためには何を学ぶべきか把握することが大切です。
さらに、動画編集ソフトや対応可能なスペックのパソコンを用意しなければならないため、初期投資に費用がかかりやすいといえます。
どの程度の費用が必要になるのか、事前に確認した上でスキルを習得するべきかどうか検討しましょう。
他にも、納期やクライアントなどからの要望の対応に迫られるケースが多いのも、動画編集者が苦労する点といえます。
仕事として動画編集に携わる場合は、タスクやスケジュールの管理、対応力を身に付ける努力が必要です。
最後に、副業やフリーランスとして活動する場合、初めのうちは収入が安定しにくいといえます。
不安定であることを割り切って経験を積む方向にシフトしたり、複数の案件をこなせるようになって収入を増やしたりする必要があるでしょう。
動画編集の年収の相場
動画編集者の年収の相場は300万円から400万円といわれています。
平均するとそれほど高くないものの、スキルや実績、フリーランスとして独立するなど、状況次第では高収入を目指せる可能性があります。
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動画編集に向いている人
動画編集に向いている人の特徴は次のとおりです。
- 作品づくりに没頭できる
- 自己管理ができる
- 地道な作業を継続できる
動画編集に自分の感性を盛り込むのが楽しいと感じられる人は、作品作りに没頭できるものです。面白みを持って動画編集に取り組める人は、向いているといえるでしょう。
また、動画編集には納期が設定されており、スケジュールを管理しながら編集を進行させる必要があります。
そのため、自己管理が得意な人に向いている職業といえます。
さらに、動画編集はパソコンに向かって淡々と行うことから、地道な作業を継続できる人は動画編集への適性が高いでしょう。
動画編集に必要なスキル
ここからは、動画編集に必要になるスキルを紹介します。
- カット
- テロップ挿入
- BGM挿入
- 色調補正
- ノイズ除去
- エフェクト挿入
それぞれのスキルがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
カット
カットとは、動画素材の不要な部分を削除する編集方法です。
動画編集の基礎的なスキルで、視聴者にとって必要な部分を残して映像をつなげるためにカットが行われます。
カットには、動画の冒頭と最後を整えるトリミングと、動画途中の不要分を取り除く分割の2つの作業があります。
動画をひと通り確認してカットする必要があるため、時間のかかる作業です。
作業自体は単純なものですが、映像コンテンツの内容に影響するため、欠かせないスキルといえます。
テロップ挿入
動画編集にはテロップ挿入のスキルも必要です。
テロップ挿入とは、動画内にタイトルや字幕などのテキストを入れ込む作業です。
動画の内容や雰囲気に合わせて、文字の大きさやフォントなどを調整する必要があります。
最近では動画をスマートフォンで視聴するケースも増えているため、読みやすい色を使ったり、短い文章にしたりするなど、視聴者が見やすいコンテンツにするための工夫が求められます。
BGM挿入
BGM挿入も動画編集に必要なスキルです。
BGM挿入とは、動画内にBGMや効果音などの音響効果を加える作業のことです。
動画の雰囲気に合う音楽や効果音を選んだり、動画内の人物やナレーションの声を邪魔しないようにバランスを取ったりする必要があります。
色調補正
動画編集には色調補正スキルも求められます。
色調補正とは複数の機材で撮影された映像の色味やコントラストを調整したり、映像にフィルターを実装したりする作業です。
カメラの性能や光量の違いなどによって、撮影された映像の色味は変わります。編集によって映像をつなげた際、不自然にならないようにするために色調補正を行います。
他にも、動画の雰囲気を明るくしたい場合にはオレンジ色、暗くしたい場合には青色に色調補正する場合もあります。
ノイズ除去
ノイズ除去スキルがあれば、視聴者が見やすい映像作品を制作できます。
ノイズ除去とは動画内に発生した映像ノイズや音声ノイズを取り除く作業です。
ノイズ除去はノイズを目立ちにくくすることが目的であり、補正しすぎると編集した動画が不自然になることもあります。
そのため、視聴者が自然に動画を視聴できる範囲でできるだけノイズを除去する動画づくりが求められます。
エフェクト挿入
動画編集にはエフェクト挿入のスキルも必要です。
エフェクト挿入とは、動画内で強調したい場面や、雰囲気を洗練させたい場合に演出効果を加える作業のことです。
効果的なエフェクトは動画を見やすくしますが、過剰にエフェクトを挿入すると動画が見づらくなり、強調したい部分が分からなくなります。
そのため、程よい効果にとどめるためのバランス感覚が重要です。
動画編集でフリーランスとして独立したい場合に必要なスキル
動画編集スキルを生かしてフリーランスとして独立したい場合は、次に挙げるスキルが必要です。
- マーティングスキル
- 営業スキル
- コミュニケーションスキル
それぞれのスキルについて詳しく見ていきましょう。
マーティングスキル
動画編集で独立したい場合は、マーケティングスキルが必要になります。
フリーランスとして高単価の案件を獲得するには、ユーザーのニーズを満たす動画制作が求められるためです。
ペルソナ設定やターゲット設定によって制作する動画のゴールを設定し、どうすれば視聴数を増やせるかという視点を持って動画を制作・編集できれば、ディレクターやコンサルティングといった立場で仕事ができる可能性があります。
独立できるレベルになるには、ターゲット層が求めていることや最新のトレンドを把握することが重要になるでしょう。
営業スキル
フリーランスの動画編集者として活躍するために欠かせないのが、営業スキルです。
案件の獲得や報酬アップのために積極的に行動しなければならないためです。
経験や実績が伝わりやすく自己PRに活用できるポートフォリオを制作したり、クライアントや採用担当者の目にとめりやすい営業文を作ったりできれば、自分を売り込みやすくなります。
また、SNSやブログなどを通じて継続的に発信することで、動画編集者としての自分をアピールできるでしょう。
また、条件の良い仕事を受注したり、こちらの意見を納得してもらえるように交渉できるスキルも重要になります。
コミュニケーションスキル
動画編集者として独立するためには、コミュニケーションスキルも求められます。
請け負う案件はチームで行う場合がほとんどで、
案件が大きいほど関係者も多くなり、さまざまな要望をくみ取りながら業務を行います。
場合によっては、クライアントと直接やり取りする場面もあるでしょう。
そのため、問い合わせへのレスポンスの早さや言葉遣い、誠実な対応といったコミュニケーションスキルを磨いておくことをおすすめします。
動画編集スキルの習得方法
動画編集に必要なスキルを習得する方法は次のとおりです。
- 独学で学ぶ
- スクールで学ぶ
ここからは、各方法の特徴やメリット、デメリットを解説します。
独学で学ぶ
動画編集スキルは独学でも習得できます。
動画編集に関するテキストや動画講義を購入すれば、1人でもスキルや知識を学べるでしょう。
コストカットができるのが独学で学ぶ最大のメリットです。また、自分のペースで学習したい方にも向いている方法です。
一方、独学では不明点を質問できないため、すべて自分で調べて解決する必要があります。加えて、1人で学習するため、モチベーションの持続が難しいというデメリットもあります。
スクールで学ぶ
動画編集スキルはスクールを利用して学ぶことも可能です。
スクールには通学型スクールとオンラインスクールの2種類があります。
通学型スクールは、スクールに通って講師と対面で講義を受けるタイプのスクールです。不明点を質問しやすく、生徒仲間と一緒にスキルや知識を学べます。
一方、オンラインスクールはインターネット上で講義を受けるタイプのスクールです。時間や場所を選ばずに講義に参加できる点がメリットです。
スクールで学ぶ場合のデメリットは、相応の費用がかかる点です。
また、社会人として働いている場合は、スクールに通うための時間を取ることが難しく、オンラインスクールや休日のみ開講している講座しか選べないこともデメリットになるでしょう。
【目的別】おすすめの動画編集ソフト4選
最後に、おすすめの動画編集ソフトを初心者向けとフリーランス向けに分けて紹介します。
- 【初心者向け】Final Cut Pro
- 【フリーランス向け】Adobe Premiere Pro
- 【フリーランス向け】Davinci Resolve
- 【フリーランス向け】Adobe After Effects
どのような動画編集ソフトがおすすめなのか、詳しく見ていきましょう。
【初心者向け】Final Cut Pro
画像出典:https://www.apple.com/jp/final-cut-pro/
初心者向けにおすすめしたい動画編集ソフトがFinal Cut Proです。
Final Cut ProはApple社が提供するソフトで、iMacやMacBook、iPadで使用可能。プロ仕様としても十分な機能を網羅しています。
また、使い方が分かりやすい操作性も魅力で、これから動画編集を始めたいMacユーザーの方にもおすすめです。
ソフトは買いきりとなっているため、ソフト運用のコストを抑えたい場合にも向いているでしょう。
【フリーランス向け】Adobe Premiere Pro
画像出典:https://www.adobe.com/jp/products/premiere.html
Adobe Premiere Proはフリーランス案件にも対応できる動画編集ソフトです。
多くの動画クリエイターが使用するプロ仕様の動画編集ソフトで、動画編集を手掛ける企業でも利用されています。
動画編集に必要な基本機能が網羅されており、操作性が高く使いやすいのが特徴です。
PhotoshopなどAdobe社から提供されている他のソフトともスムーズに連携できるため、魅力的な映像コンテンツを生み出しやすいでしょう。
動画編集を仕事にしたい場合は、操作スキルを習得しておきたいソフトといえます。
【フリーランス向け】Davinci Resolve
画像出典:https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/edit
フリーランス向けにおすすめしたい動画編集ソフトがDavinci Resolveです。
プロ仕様の動画編集が可能な機能性の高さに加え、各機能がページによって分けられている使い勝手の良さが魅力です。
カラー編集に強みを持っているので、撮影した映像の色味を調整するカラーコレクションや、映像に色を付け足すカラーグレーティングで、色彩にこだわった編集がしたい方におすすめです。
【フリーランス向け】Adobe After Effects
画像出典:https://www.adobe.com/jp/products/aftereffects.html
質の高い映像を制作したい場合は、Adobe After Effectsがおすすめです。
文字や図形を動かしたり、映像に特殊効果を追加できたりするエフェクト用の編集ソフトで、3D映像制作やアニメーション制作で使用されます。
Adobe After EffectsとAdobe Premiere Proは開発した会社が同じであるため、お互いの連携を取りやすいといえます。
また、Adobe Premiere Proの操作スキルがあればAdobe After Effecstも操作しやすくなる他、両方のツールを使用できることがアピールポイントとなるため、高単価の案件獲得も期待できます。
必要なスキルを身に付けて動画編集にチャレンジしましょう
今回は動画編集に必要なスキルについて解説しました。
動画編集では基本的なスキルを身に付けることが大切です。
また、マーケティングスキルを習得して市場価値が高まったり、営業スキルを習得して案件を獲得しやすくなったりするなど、別のスキルを掛け合わせることで仕事の幅を広げられます。
本記事を参考に動画編集に関連するさまざまなスキルを習得しましょう。