フリー音源・BGMとは

フリーBGMとは、フリー音源とも呼ばれ、ダウンロード・使用を自由に行える音楽素材を指します。

動画が単調にならないようにするために、フリーBGMの利用をする方は非常に多いです。

しかし、フリーBGMの使い方に制限があることを把握していない方が少なくありません。

フリーBGMも著作権を完全に放棄されているわけではないので、使用方法を誤れば著作権法に抵触する可能性があります。

フリーBGMを利用する際は、ダウンロードサイトや音源ごとの規約を必ず確認してください。

動画制作においてフリー音源・BGMを使うメリット

費用がかからない

フリーBGMの最大のメリットはなんといっても無料で利用できることです。

近年は動画の制作者が増えたことで、フリーのBGMも充実してきています。

音源のクオリティについて心配な方がいるかもしれませんが、そちらに関しても十分期待できます。

実際に、登録者数が1万人を超えるようなチャンネルでもフリーBGMしか使用していない場合もありますし、チャンネルのメインテーマとして使われることも多い「2:23 AM 」やゆっくり解説動画などでよく使われる「なんでしょう? 」なども実はフリーのBGMです。

無料で手軽に高品質なBGMを利用できるのが、フリーBGMの最大のメリットです。

著作権関係のトラブルが起こりにくい

音源や画像など、他者の制作物を利用する際に必ず問題になるのが著作権侵害です。

フリーBGMのダウンロードサイトも、完全に著作権を放棄しているわけではありませんので場合によっては、著作権侵害のリスクがあります。

利用規約は必ず確認してください。

とはいえ、フリーBGMのダウンロードサイトの利用規約はとてもシンプルなものが多いです。

確認しなければならないのは、サイトや音源によって記載内容が異なる以下の4点です。

(1)著作権表記:動画内や概要欄に著作者や提供者を記載する必要がある。
(2)使用目的:商用での利用に制限がある(広告収入が見込まれるアプリや動画内で利用を含む)
(3)使用料金:有料でのみ商用利用可、音質・使用時間の制限、など
(4)改変:歌詞やリズムの変更など

この4点さえ確認しておけばトラブルに巻き込まれることはほとんどないでしょう。

簡単に音楽効果を使用できる

フリーBGMを使うことで、動画に簡単に音楽効果を付けることができます。

視聴しているほとんどYouTube動画にはBGMやSEが挿入されています。

ホラー映像は音声なしでは怖くないと言われるように、BGMやSEは動画の印象を大きく変える要素です。

バラエティ番組のシーンごとに視聴者の印象を調査した結果、適切なBGM・SEの有無が「面白さ」や「安堵感」に平均で40%以上の差が生じると述べる論文もあります。

(参考:テレビ番組における笑いを演出する効果音及び音楽の効果 – メディアと情報資源- 2015年3月

有効に使用できれば動画の印象を大きく変えることができるBGM・SEですが、フリーBGMのダウンロードサイトでは、「楽しい」「悲しい」などの印象ごとに分類している場合が多いです。

自分が演出したい効果に合わせた音源に簡単にたどり着くことができるのもフリーBGMを利用するメリットです。

動画制作においてフリー音源・BGMを使うデメリット

オリジナリティを出すのが難しい

フリー音源・BGMも楽曲数が増えてきてはいますが、すべてが質の良いものとは言えません。

また、誰でも利用できるものですので、他の動画投稿者と被ることも少なくありません。

動画の冒頭や末尾に流すBGMはチャンネルのイメージとして視聴者に覚えられることが多いので、楽曲購入したり楽曲を提供してもらっていたりするチャンネルに比べてオリジナリティは出しづらくなってしまいます。

自分の求めている楽曲が手に入るとは限らない

フリーBGMを利用する際は、ダウンロードサイトに公開されているものから選ぶしかありませんので、自分の求めている楽曲が手に入らない場合もあります。

サイト内の音源は、人気のあるジャンルを除けば、作曲者や運営者の好みによってジャンルが偏ってしまうこともありますので、使用シーンやジャンルに合わせて、複数のダウンロードサイトをチェックして音源を確保しておきましょう。

楽曲における著作権とは

ここまでに何度か触れてきた著作権について一度整理しておきましょう。

著作権とは、著作物を作った人に与えられ、自身の著作物を第三者が利用することを制限できる権利です。

楽曲における著作物・著作権は、著作権法において以下のように定められています。

・著作物

「思想又は感情を創作物に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

(著作権法-第2条第1項第1号)

・著作権

「文化の発展に寄与することを目的に、人々が著作物を構成に利用できるように配慮しつつ著作者の権利を保護するために認められた権利」

(著作権法-第1条)

その他、著作権法において重要な単語として、「著作隣接権」「著作者人格権」があります。

・著作隣接権

著作物の創作者ではないものの、著作物の伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に認められた権利

・著作者人格権

自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利

著作権については、写真やイラストで馴染みのある方が多いかもしれませんが、音楽素材も写真やイラストと同様で、手元にあるCDの楽曲を無断で使うといった行為は著作権を侵害する可能性があります。

(参考:著作者にはどんな権利がある? – CRIC公益財団法人著作権情報センター
(参考:著作権法 – e-eov法令検索

違反した場合の罰則規定

著作権を侵害した場合は、10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金となります。

楽曲の改変について(著作者人格権)

フリーBGMを含む楽曲には著作者人格権がありますので、著作者の許可なく内容改変すれば、著作権侵害になる可能性があります。

この点は特に把握していない方が多いのですが、歌詞の変更だけでなく、リズムのアレンジでも楽曲の改変として問題になります。

知らずにやってしまっている方も多いので、注意しておきましょう。

著作権侵害の訴訟事例

YouTubeの動画内での楽曲利用によって著作権侵害としては、2014年のミシェル・ファン氏の訴訟が有名です。

ミシェル・ファン氏はアメリカのメイクアップアーティストとしてYouTubeにて動画を投稿し当時数百万人のチャンネル登録者がいました。

彼女は、複数のアーティストの楽曲50曲を無断で使用したとして、Ultra Music社に15万ドルの支払いと自社レーベル楽曲の使用差し止めを求められました。

この訴えに対し、彼女は許諾を得たうえでの使用だったと主張し、最終的には示談となりました。

示談の内容や権利侵害の審議は不明ですが、この事例は、日本の法律で言えば著作隣接権の侵害に当たります。

日本で、楽曲を使用する場合もこのようにレコード会社と権利もめることは考えられます。

ミシェル・ファン氏が楽曲の使用許諾を受けた正式な書面を提示できれば、この訴訟の結果も変わっていたかもしれません。

楽曲の使用の際は、契約書類の管理などにも気をつけなければなりません。

BGMの効果的な使い方は?

BGMはただ使えばいいというものではありません。

駅で列車の発着を知らせるベル音楽を聴くと自然と記憶することがあると思います。

これは、BGMによる刷り込み効果で、繰り返し同じシーンで同じ音楽を聞くことで視聴者に印象付けるという手法です。

(参考:音楽の反復聴取が知的作業に与える影響 – 首都大学東京大学院 人文科学研究科 人間科学専攻 心理学分野

この手法は、チャンネル登録者が100万人を超えるYouTuberのBGMも多用しています。

以下ではYouTubeで頻繁に使われているBGMをご紹介しますが、どれも一部を聞いただけで特定のYouTuberが思い浮かぶもののはずです。

チャンネル内でのルール沿って使用することで、フリーBGMでも十分にチャンネルの差別化することができます。

人気のYouTuberが使っている音源は?

・いつもの風景(HIKAKIN、はじめしゃちょー、など)
https://youtu.be/bmQRL_UPs4Y
ダウンロードページ

・Cat life(水溜まりボンド、鈴木ゆゆうた、など)
https://youtu.be/KdGlOAQ9OHs
ダウンロードページ

・おなじみの風景(べるくら企画、おるたなchannel、など)
https://youtu.be/rF394yrRiDM
ダウンロードページ

・とある日常(きまぐれクック、まひとくん、など)
https://youtu.be/acQEwxZM7uI
ダウンロードページ

・ほんわかぷっぷー(きまぐれクック、フジ工房、など)
https://youtu.be/YvX9stltotY
ダウンロードページ

・かえるのピアノ(東海オンエア、しばなんチャンネル、など)
https://youtu.be/bogzWYYz91U
ダウンロードページ

・Recollections(東海オンエア、まあたそ、など)
https://youtu.be/_0TPOmXsuKs
ダウンロードページ

・If I had a chicken(キヨ。kouichtv、など)
https://youtu.be/4F7F1z9imvQ
ダウンロードページ

おすすめフリーBGMダウンロードサイト

効果的なBGMの使用方法がつかめたら、実際にダウンロードできるサイトを探すことになります。

ダウンロードサイトは、ジャンルの網羅性が高いものから、曲数は少ないが特定のジャンルに特化しているものなど様々です。

また、著作権に関する取り決めもサイトによって異なるので、それぞれしっかりと確認して利用してください。

YouTube オーディオライブラリ
YouTube オーディオライブラリ
「YouTube オーディオライブラリ」はYouTubeが公式に公開・運営している、BGMや効果音などを無料でダウンロードできるサービスです。
YouTubeにログインしている状態であれば誰でもアクセスできる手軽さが人気で、有名なBGMも数多く配布されています。

著作権表記 一部必須
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 表記無し

DOVA-SYNDROME
DOVA-SYNDROME
「DOVA-SYNDROME」2000点以上の楽曲を配布しており、無料のダウンロードサイトの中では質・量ともに最も高いといわれています。
有名なYouTuberも多く利用しており、「あの人が使っていたあの曲が使いたい」というときに最初に探すサイトです。

著作権表記 推奨
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 可能

MusMus
MusMus

著作権表記 推奨
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 可能

「MusMus」は音楽素材の他、写真やイラストなども配布しており、信頼性の高いダウンロードサイトです。
楽曲の使用目的や改変も自由で特にニコニコ動画の配信者なら必ず知っているといわれています。

ニコニコモンズ
ニコニコモンズ
「ニコニコモンズ 」は、ニコニコ動画が提供している素材ライブラリーです。
商用利用可能か否かの 利用規約は素材ごとに異なるので要確認ですが、利用者が多く幅広いジャンルの音源が揃っています。

著作権表記 素材ごとに要確認
使用目的(商用利用) 素材ごとに要確認
使用料金 無料
楽曲改変 素材ごとに要確認

著作権フリーBGM配布サイト HURT RECORD
HURT RECORD
「HURT RECORD 」は2000点以上の音楽素材を配布しているサイトです。
高品質な音源が様々なジャンルで揃っており、BGMだけでなくSEも豊富です。

著作権表記 推奨
使用目的(商用利用) 可能(要メール)
使用料金 無料
楽曲改変 記載なし

甘茶の音楽工房
甘茶の音楽工房
「甘茶の音楽工房」は様々なアーティストが楽曲を作成し、配布しているサイトです。
500点以上の楽曲が「明るい」「コミカル」などにジャンル分けされており、目当ての音源を探しやすくなっています。

著作権表記 推奨
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 可能

魔王魂
魔王魂
魔王魂は、ポップなBGMからロックやテクノ系までオールジャンルが揃っているのが特徴のサイトです。
効果音素材も豊富に揃っているいるので人気のダウンロードサイトです。

著作権表記 推奨
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 可能

SHW
SHW

著作権表記 不要
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 可能

『SHW』は和風のBGMが配布されているサイトです。
音源数はやや少なめですが、緊迫した雰囲気の印象に残る音源が多く、ゲーム実況などでの使用におすすめです。

D-elf.com
D-elf.com
D-elf.comはクラブ系EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)、イベントのオープニングや動画のバックミュージックに使いたいアップテンポな楽曲を多く配布しているサイトです。
その他にも「明るい」「オルゴール」など多くのジャンルの楽曲を扱っており、幅広い需要にこたえることができるサイトです。

著作権表記 推奨
使用目的(商用利用) 可能(商用利用は有料)
使用料金 無料(商用利用は1曲3000円)
楽曲改変 可能

効果音ラボ
効果音ラボ
効果音ラボ は、2400音以上の音源を掲載したフリー効果音サイトです。
品質にこだわっており、テレビなどのプロの音響現場でも使われています。

著作権表記 不要
使用目的(商用利用) 可能
使用料金 無料
楽曲改変 可能

まとめ:YouTube・動画の音楽にフリー素材を活用してみよう

人気の曲や有名な曲は使用許可を得るのに膨大なコストと時間がかかります。動画投稿が一般的になった昨今、商用利用できる著作権フリーのBGMや効果音、動画素材を購入できるサイトは増加しています。
ぜひ、自分の動画に合った音楽を見つけて、YouTube動画制作を行ってみてはいかがでしょうか。

映像・エンターテインメントコンテンツの著作権についてはこちらでご紹介しています