マーケティング手法の一つであるコンテンツマーケティングは、近年、日本でも急速に広まりつつあります。

しかし、名前は聞いたことがあっても、具体的にどのようなものなのかを知らない方もいるのではないでしょうか。

情報が溢れかえっている現代においては、一方的に情報を伝えるのではなく、ユーザーの必要とする情報を発信することが大切です。

この記事では、コンテンツマーケティングについて、需要が高まった背景やその必要性から、メリット、実際の成功例まで詳しく解説していきます。

コンテンツマーケティングが普及した背景とは

コンテンツマーケティングとは、価値のあるコンテンツを発信してユーザーを惹きつけ、最終的に商品やサービスの購入をしてもらうためのマーケティング手法です。

これまでは、オンライン上で広告を配信して、ユーザーに一方的にアプローチをする、アウトバウンドマーケティングが定番でした。

しかし、コンテンツマーケティングは以下に挙げる理由によって、注目されるようになりました。

ユーザーの広告疲れ

コンテンツマーケティングが広まった背景の一つに、ユーザーの広告疲れが挙げられます。アウトバウンドマーケティングは、ユーザーが知りたい情報ではなく、企業の伝えたい情報を一方的に配信するのが一般的です。

しかし、ユーザーはテレビCMやオンライン上のポップアップ広告など、日々数え切れないほどの広告を目にしています。

興味のない広告ばかりを見せられて、うんざりしているユーザーは少なくないでしょう。

企業が伝えたい情報は、ユーザーが欲しい情報とは限りません。ユーザーが何を必要としているかを理解し、ニーズを満たすための情報発信が重要となります。

広告出稿より費用を抑えられる

コンテンツマーケティングの場合、広告と比べて、コンテンツの作成にほとんど費用がかかりません。また、発生する初期費用は大体レンタルサーバー代とドメイン代のみで、1万円もあれば始めることができます。

これは、広告にあまりお金をかけたくない企業にとって、大きなメリットでしょう。

ただし、広告のようにすぐに目に見える効果が出るものではありません。

効果が出るまでに時間と手間はかかりますが、ユーザーが求めている質の良いコンテンツを発信し続けることで、長期的な集客ができるようになっていきます。

スマートフォンの普及

スマートフォンの普及にともない、SNSの利用者は増えてきました。現在、なんらかのSNSを利用している人は、7割以上だといわれています。

スマートフォンの普及によって、ユーザーは好きなときに好きな情報を得られるだけでなく、価値あるコンテンツを気軽にシェアできるようになりました。

また、公式アカウントを作成して、情報を発信する企業も増えています。

このことからわかるように、SNSの影響力は近年ますます大きくなっており、ビジネスを行なううえで欠かせない大切な要素だといえるでしょう。

実現までに解消したい不安材料

制作体制について
コンテンツマーケティングはビジネスにおいて効果的な手法ではありますが、実現するにはいくつかの課題をクリアしなければなりません。

ここでは、取り入れるうえで直面しうる課題を3つ紹介します。

戦略を組める人材がいるか

コンテンツマーケティングは、ただ単にコンテンツを作成して発信すれば良いというものではありません。

優良顧客にまで育てるために必要なコンテンツの内容やタイミングなど、ユーザーに何をどう発信するかを考えることが大切です。

そこで、一人の架空の人物を詳細に設定(ペルソナ設定)し、ターゲットの人物像への認識を統一させる 、顧客が購入に至るまでのプロセス(カスタマージャーニー)を考慮に入れる など、戦略を立ててコンテンツを作成できるかが鍵となります。

まずは、戦略を組める人材がいるかどうかが重要となるのです。

リソースの確保は可能か

ユーザーの興味を引くコンテンツを作るためには、想像以上に時間と手間がかかるものです。文章の構成や画像選定、編集・校正など、完成までにかかるステップは多くあります。

コンテンツマーケティング部など専門の部署が社内にあれば良いですが、そうでない場合は別の業務との兼ね合いを考えながら、作業していかなければなりません。

コンテンツを定期的に配信し、管理していくための人員を確保できるかが課題となります。

外注方法が正しいか

効率良くコンテンツマーケティングを実現していくためには、外注するのも一つの方法です。しかし、外注を利用する際には外注先としっかりとした打ち合わせが必要です。

作成するコンテンツについて、事前の打ち合わせで依頼先との認識のすり合わせなどがされていないと、企業の良さを表現できるコンテンツに仕上がらない恐れがあります。

また、依頼する側に知識がない状態の外注先にそのまま丸投げしてしまうと、納品されたコンテンツの良し悪しが判断できません。悪徳業者と契約してしまい、質の悪いコンテンツに気付けないこともあります。

最低限のSEO知識を持ち、外注先をしっかりと見極めて利用するようにしましょう。

コンテンツマーケティングを取り入れた事例

ここでは、実際にコンテンツマーケティングを取り入れて成功した事例を紹介します。ファンを増やすための戦略のヒントが満載なので、ぜひ参考にしてみてください。

また、コンテンツを読む前から、どのような記事かを理解できるような写真の使い方にも注目です。

北欧、暮らしの道具店

コンテンツマーケティングの事例1
1つ目の成功事例は「北欧、暮らしの道具店」という、株式会社クラシコムが運営するメディア型ECサイトです。

商品の特性や使用感など、写真を使って魅力を伝えています。一つの商品に対して、さまざまな角度から撮った写真を複数枚掲載しているので、商品に対してのイメージが沸きやすくなります。

また、コラムでは、スタッフの私服コーディネートや愛用品などを紹介しており、ユーザーの共感を得やすい情報を発信しています。

A Tropical Garden

コンテンツマーケティングの事例2
2つ目の成功事例は、観葉植物のレンタルやグリーンディスプレイ制作を手がける、井上熱帯園株式会社のWebサイト「A Tropical Garden」です。

植物の育て方や門松の飾り方のルールなど、植物に興味関心を向けるコンテンツが豊富にあり、83記事のうち、51記事が検索順位1位に表示される サイトに成長しています。

その成功の秘訣は、商品を売ろうとするのではなく、ユーザーのニーズを満たすことを考えたサイト運営です。サイト内に購買を強く促すような表現はなく、ユーザーからのコメントにも、一つひとつ丁寧に返信をしています 。

まとめ

コンテンツマーケティングは、顧客の育成や購買行動に効果的ですが、実現するためには現状の不安材料をすべてクリアにする必要があります。

最近は、コンテンツマーケティング部門での求人が出てきており、企業も本気で取り組み始めてきていることがわかります。

このことからも、コンテンツマーケティングのスキルを持つ人材を求める企業が、今後さらに増えてくると考えられるでしょう。

今回の記事で紹介したように、情報が溢れ、ユーザーが必要な情報を取捨選択する現代において、以前とは情報発信のあり方が変わってきています。

これからのマーケティングには、ユーザーの視点を意識したコンテンツマーケティングが、ますます重要になるでしょう。