従来のマスメディアを中心としたマーケティングだけでなく、昨今では、Webやスマートフォンを中心としたデジタル領域でのマーケティング展開が活発化してきています。中でもデジタルから得られるデータ活用は大変注目されてます。
長年、マーケティング領域の最前線で活躍し、2006年からいち早くデジタルマーケティングの可能性を見出し、探求してきた、Supership株式会社の中村大亮さんに、デジタルマーケティングに注力してきた経緯と、今後の展望について伺いました。

「Amebaブログ」がデジタルマーケティングの可能性を見出したきっかけ

大手日用品メーカーに入社後、まずは営業としてキャリアをスタートしました。その後、マーケティング部門に移って主力製品のマーケティング活動全般を担当しました。
2000年代前半当時はまだ、「4P製品・価格・プロモーション・流通」を組み合わせ、TVCMや店頭でのプロモーションを中心に展開するマーケティング活動が主流でした。

そういう活動を続けている中で、自分の転換点になったのは2006年にブログに出会ったことでした。
当時は、「Amebaブログ」が誕生して間もない頃で、著名人ブロガーが続々と誕生したり、大手自動車メーカーが商品開発ブログを始めたりと、これまでにない新たな潮流が生まれた頃で、私自身、大きな衝撃を受けた記憶があります。

特にネットを介して、不特定多数のユーザーと双方向でコミュニケーションがとれるようになったことで「これまでできなかったことができるようになる」と、デジタルマーケティングの可能性を感じて、そこから本格的にデジタルマーケティング領域に注力するようになりました。2006年に最初に勤めたメーカーを退社した後は、WEBメディアなどほかの企業で様々なトライを積み重ねてきました。

「非デジタル領域」をブレイクスルーすることが、デジタルマーケティング活用のハードル

実はその後、それまで学んできたデジタルマーケティングのノウハウを実践していこうと、再び新卒入社したメーカーの宣伝部のデジタル担当として「復帰」しました。
そこで常々思っていたのは、デジタルツールやデータをもっと非デジタル領域で活用出来ないか、その方がインパクトあるのではということでした。「非デジタル領域」で着目したのは、データを営業支援領域で使えないかでした。
一般的にどこの会社でもそうだとは思いますが、宣伝部と営業の距離感もある上に、当時は個々の営業メンバーが持つ独自の営業ノウハウを活かすやり方が中心でしたので、特にデジタルやデータを活用した営業活動に対しては、やや懐疑的な雰囲気がありました。

ですので、デジタルマーケティングを「非デジタル領域」において、どうやって営業活動に活かしてもらうかを進めるにはいくつかのハードルがありました。
私の場合は、DMPをもとにデータ分析を行い、そこから販促活動に効果的なプロモーションをプランニングして、営業メンバーに対して地道に提案しました。
その結果、提案前に比べて明らかに売上がアップすることもありました。「目に見える実績」を積み重ねることで信頼を得られ、それからは営業のメンバーもデータを尊重してくれるようになりましたね。

最近の販売現場では、流通側がデジタルやデータを活用した販促を積極的に活用している一方で、メーカー側がその流れに追いついていない実態があると思います。メーカー自体もデジタルマーケティングは実施しているので、もっと販促領域を意識する必要があるかもしれません。

国内有数のデジタルマーケティングのポテンシャルを持つ会社へ

2017年、まだ誕生して間もないSupershipにジョインしました。
入社した最大の理由はデジタルマーケティング分野において国内有数の大きなポテンシャルを持っていると感じたからです。

Supershipはベンチャー企業ですが、パートナー各社を含めた膨大なデータを保有していることや、DSP/SSP共に自社で開発したアドプラットフォームを持っていること、スマホ領域における精度の高いデータと高度な分析技術という強みを持っていて、なおかつ少数精鋭のベンチャーマインドとして「足りないものや無いものは『自前で作る』文化と技術」があるところに、大きな魅力と可能性を感じました。

これまでは事業側でデジタルマーケティングの可能性を追求してきましたが、私自身は統計学を学んだこともなければ、データ分析の専門家でもありません。
その時「データをもとにマーケティング効果を最大化した提案ができるパートナーがいれば、顧客を知ることが出来る。もっとお客様の課題を解決出来る」と思うことが多々あったことも、Supershipを選んだ大きな理由でもあります。

一方、Supershipは豊富なデータや強みは持っているけれど、それをこれからどう活用していくかが今後の課題だと思っています。
そこで、今はナショナルクライアントをはじめ、多くの顧客に対してデジタルマーケティングツールを提供するだけではなく、ツールをより効果的に活用できるような総合的なマーケティングソリューションを顧客のビジネスにマッチした形に最適化した上で、提供できるような仕組みづくりに注力しています。

データ分析にもクリエイティブ要素は満載。データに「キャラクター付け」できるようなセンスが重要

世の中には「マーケティングの専門家」と「データ分析の専門家」がいますが、実はその両者をつなぐ「翻訳家」のようなポジションを担う人材が、圧倒的に不足していると思います。
私自身、マーケティングの領域でキャリアを積んできた一方、データ分析に関しては専門家ではなく、統計学の基礎知識もない中、独学で学んできたところがあります。

これからマーケティングを目指す方にとって、データを分析できる能力は必要不可欠だと思いますが、何も分析のスペシャリストになる必要はないと思います。もちろん統計学に精通していることに越したことはありませんが。
必要なのは、データに「キャラクター付け」をできるようなセンスじゃないでしょうか。

例えば「毎週、六本木界隈で外食に5万円使う人」というデータがあった場合、データをそのまま表現するのではなく「六本木リッチグルメ族」のように、データに「キャラクター付け」をする作業を加えることで、データやデジタルマーケティングに詳しくない経営陣や他部署のメンバーに対して、よりわかりやすく伝えることができます。

この作業はデータサイエンティストのような専門家より、マーケティングの専門家の方が得意としているように思います。
データ分析は一見左脳作業に見えますが、こう考えるとデータ分析も結構クリエイティブな作業です。
マーケターとしてデジタルマーケティングを効果的に活用していくためには、データの見方や分析に関する基本的な知識と、そこにマーケタ―ならではのクリエイティブ能力を発揮することが必要です。クリエイティブ能力をデータ分析に活かすことで、まだまだその活用方法や効果を大きく広げていくチャンスがあります。

私の考えとしては、デジタルマーケティングとは、「マーケティング」という大きな枠組みの中の一つにすぎません。
ただその中で、デジタルマーケティングの重要性は今後さらに高まって、非デジタル領域も巻き込みながら広がっていくと思います。
その先頭に立って走りながら、「Supershipだからできる」「私だからできる」マーケティングソリューションを確立して、多くの顧客や社会に役立てていけたらと考えています。


Supership株式会社
「すべてが相互につながる『よりよい世界』を実現する」という理念のもと、広告事業・インターネットサービス事業・プラットフォーム事業等の事業基盤を活かした新たな価値の提供を目指すKDDIのグループ会社です。
今後、スマートフォン最大規模の顧客接点とデータ利活用により、お客さまのご期待に応える新たなサービスを提供していきます。

所在地:東京都港区南青山5-4-35 たつむら青山ビル
事業内容:インターネットサービス事業、広告事業、プラットフォーム事業、その他
代表取締役社長:森岡 康一

http://supership.jp/