校正は、文章に関わる仕事というイメージはあっても、具体的な仕事内容はよくわからないという人も多いと思います。
混同されがちな「校閲」と比較し、校正の仕事内容・年収・校正の仕事に就くために必要なスキルなどを解説します。
校正の仕事内容
校正とは「文章の誤りを発見して修正する」仕事です。類似する仕事に「校閲」がありますが、校正と校閲は作業内容が違います。
校正は、文字の書き間違いや文法上の誤り、漢字の間違いなど「文章のルールに間違いがないか」をチェックするのが主な仕事です。
対して校閲は、時代考証や事実確認など「文章の内容に間違いがないか」をチェックするのが主な仕事です。
企業によっては校閲が校正の仕事を兼ねている場合もあるので、求人内容をしっかりと確認して、作業内容を把握しましょう。
▼校正の求人一例
校正が使う「校正記号」
せっかくなので、業務の一場面にも少し触れておきましょう。
【校正記号】
校正が文章をチェックする際には、校正特有の記号を使います。例えば、削除したい文字があった時には、その字に斜め線を入れて引き出し線を伸ばし、余白に「トル」と書きます。
また、一度原稿に書いた修正事項を取り消したい時は、指示内容を斜め線で取り消した上で、原稿の該当ヵ所の余白に「イキ」と書きます。
校正の平均年収
校正の年収は、どの企業に勤めるかによって異なります。大手出版社の場合、特に校閲まで扱う部署で作業をする場合は高収入を期待できます。
校閲に力を入れている大手出版社の場合、初任給で400万円程度。経験を積むにしたがって年収がアップしていきます。部長クラスになると1,000万円の大台に乗ることもあるとされていて、執筆者や編集者なみの待遇を受けられることもあります。
一方で、小規模な雑誌社などの場合はそれほど高い給与水準にはならず、最大で500万円以下というケースもあります。校正の仕事で安定した収入を期待するのであれば、やはり大手出版社を狙うのがベストだと言えるでしょう。
もちろんそれだけ高いレベルの能力が求められますが、やりがいもありますし、仕事内容によって高い評価を受けられます。
校正の仕事に就くには
向いている人
校正は、文章を一字一句地道にチェックする仕事です。
細部まで目が行き届いて、黙々と作業をこなせる人が向いています。
また、文法や漢字の間違いを正すためには、文章表現に対する知識があることが必要です。
勉強を怠らず、正確な知識を得ようとする探求心や向上心があるのは大事な資質と言えるでしょう。
就職先
校正の仕事のほとんどは、雑誌や小説、漫画などを制作する出版社・新聞社で業務を行います。そのため、こうした会社を目指して就職活動をする必要があります。
大手クラスの出版社となるとやはり競争が激しく、なかなか簡単には入れません。
小規模な出版社などでは、アルバイトの募集をしていることもあります。まずはアルバイトで実務経験を積んで、少しずつスキルを磨いていくのもひとつの手です。
また、出版社以外にもテレビ関係の会社に勤めて番組で読まれる原稿に間違いがないかチェックする、という働き方もあります。
選ぶべき進路
言語に関する深い造詣を持っていることはこの仕事の助けになるので、文学系や言語系の勉強ができる学校が向いています。
ただし、理系の進路でも校正になれないわけではありません。
学術雑誌では高い専門知識が求められるので、自然科学や物理、数学などの専門教育を受けた人が適しているケースもあるからです。
学べる学校
校正のみを専門に扱う大学は少ないので、言語に関する総合的な教育を受けられる言語学系の学科を選択するのが良いでしょう。
専門学校には校正や校閲を主な講座として実施しているところもあります。
実務作業をするにあたってのノウハウ・使われる用語・記号・業界の実情など、より実践的なスキルを学べるメリットがあります。
日本エディタースクール
校正者に求められる知識と技能を深く・広く学ぶことができます。
じっくり文字と向き合い,基礎から応用まで,確実に校正力を身につけます。
原稿編集やDTPなど,校正者が理解しておくと役立つ技能も合わせて学習します。
校正者を目指す方に最適のコースです。
参照:日本エディタースクール(https://www.editor.co.jp/)
京都造形芸術大学 文芸表現学科
https://www.kyoto-art.ac.jp/art/department/literary/
自分自身の文章で表現する能力を磨くため、書籍や雑誌の編集を実地に学び、作家・ライター・編集者といった「文章の達人」を目指す学科。
参照:文芸表現学科|学科・コース|京都造形芸術大学(https://www.kyoto-art.ac.jp/art/department/literary/)
必要なスキル
校正の業務は、それぞれの会社で異なる手法をとっています。そのため、細かな点については実際の業務から教わることが多いでしょう。
しかし、基礎的な日本語の文法や漢字、表現についての深い知識があることはとても重要です。また、「文学ついての幅広い知識がある」「本が好きな人かどうか」なども重要視されることもあります。
必要な資格orおすすめの資格
校正には「校正技能検定」という資格もあります。日本エディタースクールが扱っている資格で、レベルや受験資格に合わせて5級・4級・3級と分かれています。この資格は校正者になるために必須ではありませんが、その人の校正レベルを客観的に見るには1つの指標となることでしょう。
https://www.editor.co.jp/exam/
まとめ
校正は、執筆者が書いた文章をチェックして、文法上の誤り・誤字脱字・漢字の間違いなどがないかをチェックする仕事です。
校正の仕事をするために必須の資格はありませんが、日本語そのものや漢字などについての深い知識があることは重要視されます。
また、学術系や美術系、歴史系の雑誌など、専門性の高い文章の校正をするのであれば、その専門分野における知識があるということも大事なポイントです。
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