世界の絶景スポットを、素敵な写真とともに紹介するFacebookページ『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』を運営する詩歩(しほ)さん。Facebookでは60万以上の「いいね!」を獲得し、2013年8月に同名書籍化、2014年12月より電子書籍化と広がりを見せています。その詩歩さんに、情報発信に込めた想い、電子書籍についてなど、お話を伺いました。

もう1人の私が感動しそうなものでなければ発信しない

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Facebookページ『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』は、Web広告を扱う会社の新卒研修で制作したものが始まりでした。

大学時代に学生団体に所属していた頃から、広報としてSNSで発信する活動をしていて、どうやったら伝えたいことを上手く伝えられるかを考えるのは好きでした。その頃から、発信したものに対する反響は嬉しかったです。

新卒研修で4月に始めたFacebookに関しては、6月末までが「いいね!」数を競う期間になっていました。そこで、どうやったら「いいね!」数で一番を取れるかを考えました。

そのためには、まず更新を続けることが大事だと思ったので、自分の興味のある”旅行”をテーマにしようと思いました。そこでモチベーションを保ちながらも、コンテンツが無限にないと続けられないので、次に旅行の中でも無限のコンテンツって何だろう?と考えて、自分が知っているものよりも知らないもの、行ったことのない場所を挙げていこう、と考えました。

最後に、旅行のカテゴリのうち、SNSでバズる(拡散される)ためにはヴィジュアルの印象が強くないといけないと思った時に”絶景”というテーマに辿りつきました。

ただ、それは後から考えると…という感じで、シンプルなきっかけは入社前月に行った大学の卒業旅行ですね。その時に交通事故に遭って死にそうになる経験をしてしまい、いつ死ぬか分からないなら、せめて死ぬまでに行きたい場所をリストアップしたいと感じたことが大きいです。

タイトルもその時の想いから付けたもので、私自身が「死ぬまでに行きたい!」と思う世界の絶景を集めています。

ページを更新する時も、発信しているのは私ですが、受け取る側にも私がいるようなイメージは常に持っていて、もう1人の私が感動しそうなものでなければ発信しないですね。

Facebookページのブランディングができた1枚の写真

最初は自分が死ぬまでに行きたい場所をリストアップするために更新していったページでしたが、新卒の研修が終わる6月頃には2万人の方が「いいね!」をつけてくれていました。

それほど多くの方が見てくれているのなら、研修期間が終わっても更新を続けていこうと思った時に、今度は何を目標に続けていこうかと考え始めました。

その後、夏くらいに三才ブックスなどいくつかの出版社からも声がかかるようになって、FacebookやWebの範囲にとどまらない依頼が入るようになりました。
そのことで、新卒研修の頃には「いいね!」数を増やすのもゲーム感覚だったものが、もう少しいろいろ考えないとな(笑)と、意識が変わっていきましたね。

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そんな中、ランペドゥーザ島の写真は、ページにとって大きな存在になりました。
ランペドゥーザ島の透明度が高い海水に、ボートが空中に浮いているように見える写真には27万くらい「いいね!」がついていて、これがきっかけで有名になったと言えるくらいの重要な1枚です。

日本ではあまり知られていない場所だったので、この1枚をきっかけに「日本で知られていないきれいな場所を紹介するページ」というブランディングができたと思っています。

書籍から電子書籍へ

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2013年8月の書籍化にあたっては、Facebookページの「いいね!」の数でランキングして、上位のものを掲載しました。

なので、1人で作った書籍とは思っていなくて、その時にページを見てくれていた56万人の方と一緒に作り上げたものだと思っています。

コンセプトは「妄想旅行をしよう」でした。夜、仕事で疲れて家に帰ったOLの人に読んでもらいたいと思っていたので、軽い紙を使って、表面がてからないような印刷の方法にしています。寝転がって読んだ時に開きやすくて、重くないから手も疲れない、ライトでてからないというのを意識していて、「いつか行けたらいいな」という夢を見ながら寝てくれたら、というイメージで作っていました。

なので、実際に行くところまでは想定できずにいたのですが、今まで『死ぬまでに行きたい! 世界の絶景 日本編』も含めて2冊出したことで、本を持って、本に載っている場所に行ってくれる人が結構いることが分かって来ました。

例えば、世界編の本を持って、そこの景色と一緒にtwitterに挙げてくれる人がいるというのは、すごく嬉しいことでした。

私も本を持ってその場所に行くことがありますが、やっぱり旅行中は身軽でいたいし、そうなると紙の本ってかさばるし、重いんですよね(笑)電子書籍でスマホや端末に入っていれば、海外に滞在中でも、すぐにネットで購入できるな、と思ったのも今回、電子書籍化を考えたきっかけの一つです。

電子書籍自体、あまりリラックスして見るものではないので、アクティブに動くときに片手のデバイスの中に持っていただけたらと思います。

電子書籍の可能性

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今回、電子書籍を出すにあたって、周りの人に利用状況を聞いてみたら、「値段が安いから」とか「書籍は嵩張るから」とか本のマイナスの部分を補完するために買っている人が多いような気がして、電子書籍が良いから買っている、という人があまりいないような印象でした。

それを聞いていたら、せっかくスマートデバイスで見られるのだから、例えばタッチしたらキャラクターがインタラクティブにリアクションをしてくれるとか、ジャーンと音が出るとか…デジタルデバイスならではの何かが今後、出てきたらもっと面白くなるのに、と思いましたね。

絶景をテーマに考えても、例えば海だったら波の音が聞こえてくるとか、お花畑だったらラベンダーの香りがするとか…値段の手頃さや、嵩張らないということだけではない付加価値をつけられたら、より普及するような気もします。写真がタッチして動くようなものができたら楽しそうだと思いますね。

「絶景」を切り口にいろいろなものを作り出す

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これから自分の目で見てみたい絶景もたくさんありますが、一番行きたいのは南極です。南極って想像できないんですよね。どこの国かもよく分からないし、どうやって行くかも、マイナス20℃という気温も、どんな音がして、どんな匂いがするのか、どんな人が暮らしているのか、そういう想像ができないところに行って、感じたことがないものを感じてみたいという想いがあって、その究極が南極か北極ですね。

行くのも大変な場所だとは思いますが、大変なほど絶景を見られた時の感動は大きいので。大変さと感動は比例すると思っているので、これからも頑張ってでもいろんな景色を見て、見た感想を届けていけたらと思っています。

そのようにFacebookページを通して発信することは続けていくと思いますが、最近では新たな展開もしています。例えば、Nestléさんと一緒に池袋の商業施設で期間限定の「絶景オーロラカフェ」をプロデュースしました。(現在は終了)

カナダで撮り下ろしてきた、オーロラのパノラマ映像を見ながら無料のコーヒーが飲めるというカフェで、毎日、常時40人くらいが並んでくれて大盛況でした。オーロラにしましょう、というコンセプト決めから、イスのセレクト、ロゴの決定まで、全てに携わらせてもらいました。

Webでの発信も、もちろん大切ですが広がりという意味では、やはりリアルなものは大きいと思います。実際の場で、例えばオーロラを大きな画面で見てもらったら、それは良い体験になりますし、そのように人を動かして何かを体験してもらう、ということを来年くらいからできたら良いな、と思っています。絶景という切り口でいろいろなものを作り出していきたいですね。

自ら発信すること、表現することに携わりたくて、まだ踏み切れていないという方には、まずは「やってみてから考えてみましょう」と伝えたいです。

いつかやろうと思っても、その「いつか」は来ないと思っていて。私も今年の3月末に会社を辞めて4月からフリーで働いています。

いつか会社を辞めようと思っていましたが、「いつかって来ないだろう」と言われて、それなら死ぬわけではないし、会社を辞めて独立してみようと思い切れたところはあったので、本当にやりたいことがあるのなら、「いつか」ではなくて「今」やってみてから考えても良いと思います。

電子書籍情報

『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』

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●Kindle (アマゾン)

http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00Q8LFBPO/

●Kobo (楽天)

http://books.rakuten.co.jp/rk/ae14fece4c073c4ab5e5141ea593338b/

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