AIの需要の高まりやテクノロジーの世界での活躍が期待できることから、データサイエンティストを目指そうと考えている人もいるでしょう。しかし、データサイエンティストは今後なくなる職業とも言われているようです。
この記事では、実際にデータサイエンティストとして働いている人、これから目指そうとしている人に向け、データサイエンティストの将来性について解説します。市場での需要を知って、キャリアプランの参考にしてください。
データサイエンティスト・データアナリスト・データエンジニアなどに特化した転職を目指すなら、こちらをチェックしてみてください。
なくなる職業?「データサイエンティスト」とは?
IT技術の進化により企業には膨大なデータが蓄積されるようになりましたが、そのままでは使えません。データサイエンティストは、そのような膨大なデータ(ビッグデータ)を分析し、組み直して、ビジネスに活用できるようにするのが主な業務です。
データサイエンティストの仕事
データサイエンティストは実際にどのような仕事をするのでしょうか。以下で詳しく説明します。
データ収集・フォーマット化
まずは、必要なデータを収集します。インターネットの普及により、膨大なデータが溢れていますが、それらは統一されていないことが多いです。そのため、収集した一貫性のないデータを扱いやすいようにフォーマット化します。
ビッグデータの活用
収集・フォーマット化したビッグデータを分析・解析していきます。その後、分析したデータをもとにして、ビジネスにどう活かすのかといったビジネス戦略を立てます。
データサイエンティストが活躍する場
データサイエンティストは、さまざまな分野で活躍が期待されています。特に、業務に大量のデータを必要とするような企業ではニーズが高いです。広告会社や不動産業などマーケティングに力を入れている企業、上場企業やグローバル企業などデータに価値を見出している企業では高い需要が見込まれます。
データサイエンティストに必要なスキル
データサイエンティストの重要なスキルは、大きくわけて5つあります。それぞれ詳しく説明します。
ビジネスマインド
データサイエンティストにとって最も重要とされているのが、ビジネススキルです。データを活用してビジネス戦略を立てることや、新たなビジネス価値の創出などが求められるため、ビジネスマインドを持っている人が向いています。また、業界や市場への理解、専門的な内容をほかの社員へ説明するスキルなども求められます。
統計学とアルゴリズム
ビッグデータを分析・解析するためには、統計学とアルゴリズムの知識は欠かせません。また、機械学習などの知識は自身が持っているだけでなく、ほかの社員やクライアントにリスク等を説明できなくてはなりません。特に、相関関係と因果関係の混同は、大きなリスクをもたらす可能性があるため、明確に説明できるスキルが求められます。
ソフトウェア工学
データサイエンティストには、ソフトウェア工学の知識や技術も求められます。実際にプログラミングを行うこともあるため、ソフトウェア工学を学んでおくことが重要です。また、統合開発環境の使い方や、APIの作り方などを習得しておけば、よりスムーズに業務が進められるでしょう。
ソフトスキル
ソフトスキルとは、いわゆるヒューマンスキルのことです。データサイエンティストは他の部門と協力して仕事をすることが多く、コミュニケーションスキルは、技術的なスキル同様に重要です。同僚や仕事を通じた仲間とよい関係を築くことで、会社の業績のアップや生産性の向上などが期待できます。
ITスキル
ビッグデータを分析し活用するためには、プログラミング言語や情報処理の知識といったITスキルも必要です。ビッグデータを処理するため、オープンソースソフトウェアなどの知識も求められます。
データサイエンティストを目指すには?
データサイエンティストになるために必要な資格や検定などはありません。もちろん、役立つ資格はありますが、資格がなくてもスキルがあれば問題ないでしょう。基本的には、知識やスキル、実務経験などが重視される仕事です。そのため、統計解析の専門家やエンジニア、ビジネスアナリストやマーケタリーアナリストなどから転向しやすい職業です。
また、データサイエンティストのお仕事は高収入を得られることも。フリーランス求人でどのくらいの報酬がもらえるのか?詳しくは、【データアナリスト】【データサイエンティスト】のフリーランス求人特集をチェックしてみてください。
データサイエンティストのニーズに関与|データサイエンスの歴史とは?
データサイエンスの歴史は、3つの区分に分かれます。
これは、データサイエンティストのDominik Haitz氏により区分されました。
1つ目は、ビッグデータとビジネスの関連性が薄かった2010年以前です。
2つ目は、ビッグデータが注目を集め始めた2010年代、3つ目はAIとディープラーニングが流行した2010年後半から現在までとなります。
データサイエンティストの需要
(画像引用:マーケ系ミドルは平均年収753 万円 データ系求人は 7.5 倍に | 日経クロストレンド)
ディープランニングの精度を上げるためには、ビッグデータが必要不可欠です。
データサイエンティストはビッグデータを扱うことができるため、高い需要があります。実際に日経クロストレンドの調査によるとデータサイエンティストの求人数は右肩上がりに増加しており、2017年4~6月と2019年4~6月を比較すると、7.5 倍にもなっています。
また実務経験があったり深い知識を持っていたりするデータサイエンティストは不足しがちなため、獲得競争が激化しているのが実情です。
「データサイエンティストはなくなる」とされる理由とは?
このように高い需要を誇るデータサイエンティストですが、今後なくなるともいわれています。これには、どのような理由があるのでしょうか。
AIの進化
AI技術は日々進化を遂げており、膨大なデータの収集や分類、それに基づいた未来予測などが可能です。もちろん、AIの予測が全て正しいとは限りませんが、技術の進化に伴って、さらに高精度なAIが登場する可能性もあります。そのため、今後はデータサイエンティストの仕事が減ってしまうことが危惧されています。
職種の定義が曖昧
データサイエンティストの定義や役割分担が曖昧なのも「なくなるのでは?」と言われる理由の1つです。データサイエンティストというインパクトのある言葉だけが独り歩きして、期待値が異常に高まってしまったのです。
そのため、クライアントの期待と実際の人材が持つスキルが一致しないという問題があります。また、データアナリストやデータエンジニアなどとの役割分担が曖昧で、どのような職種なのかわかりにくいのも問題点です。
人員余剰
データサイエンティストはニーズに比べると、実際に働けるスキルを持った人材が少ない職種です。そのため、人材育成が加速しています。人材育成が急速に進むことで、今度は人材が余剰になる可能性があります。また、人材育成がしっかり行われることでスキルの高い人材が育ち、スキルの低い人材が淘汰される可能性も高くなります。
なくなることはない?データサイエンティストの市場予測や将来性とは?
ここでは、データサイエンティストの今後の市場予測や将来性について解説します。
データサイエンティストの市場予測
昨今、日本でもデータサイエンティスト育成の機運が高まっています。複数の大学でデータサイエンス学部も創設されましたし、2013年には「データサイエンティスト協会」が発足し、カリキュラムの作成や評価軸の設定などが行われました。アメリカの法人では、アメリカのデータサイエンス修士号を取るためのカリキュラムもスタートしています。
データサイエンティストの将来性
現在、ビッグデータ市場は拡大傾向にあるため、データサイエンティストの需要はまだまだ高いでしょう。AIの進化によって仕事の減少が危惧されていますが、AIができない領域の仕事もあります。
たとえば、理論考案やモデル作成、新たな定義づけなどはAIの苦手分野です。
AIがデータサイエンティストの仕事の全てを担うことは難しいので、需要がなくなる可能性は低いといえます。
データサイエンティストとして生き残るためには?
データサイエンティストとして働き続けるためには、どのようなポイントを押さえればいいのでしょうか。以下で、具体的なポイントを解説します。
インプットとアウトプットを欠かさない
データサイエンティストとして働き続けるためには、日々の学びが重要です。情報やスキルのインプットは欠かさないようにしましょう。新しい技術や情報をしっかりとインプットし続けなければ、時代に取り残され、淘汰されてしまいます。
一方で、第三者に向けてきちんとアウトプットすることも重要です。アウトプットするためには、分析や調査などが必要になるため、スキルの向上が求められます。
AIを使いこなす
これからはAIを使いこなすことで、データサイエンティストの需要を高められます。データの収集や分類、未来予測などは人よりもAIのほうが優れています。これに真っ向から対抗しても意味がないので、AIの得意分野を理解して上手く使いこなせるようになりましょう。AIとデータサイエンス、双方の知識を持つことで、必要とされる人材になれます。
まとめ
ビジネスにおいてビッグデータが大きな意味を持つようになり、データの分析を行うデータサイエンティストのニーズも高まっています。「今後はなくなる職業」と言われることもありますが、日々のたゆまぬ学習やAIの活用によって将来性は十分見込めるでしょう。データサイエンティスト・データアナリスト・データエンジニアなどに特化した転職を目指すなら、こちらをチェックしてみてください。