デジタルによる社会変革が進む令和の時代においては、DX推進に貢献できる人材が不可欠と言えます。中でもデジタルによって計測される多様なデータを分析しクレンジングすることで、ビジネス展開をサポートするデータアナリストは重要な職種でしょう。そして、データアナリストが重宝される傾向は、今後ますます増加するはずです。需要の増大が期待されるデータアナリストを目指す方に向けて、職種の本質や今後の需要、資格の必要性を解説します。
データアナリストとは
データアナリストとは、文字通り「データの分析」を専門とする職業です。収集した情報を分析するプロフェッショナルのことを指します。分析した情報で仮説を立て、クライアントの悩みや課題への解決策を提案するなども行うため、高度な分析技術やスキルが求められます。
データアナリストが主に取り扱うのは「ビッグデータ」です。ビッグデータは、売上データや顧客データなど従来から活用されているデータ以外にも、気象データやSNSの書き込みなど多種多様なデータを対象とします。ビッグデータの最大の特徴は、膨大なデータ量です。テラバイトは当たり前で、時にはペタバイト(ギガバイトの百万倍)単位のデータ量に達する場合もあります。
約6割の経営者がデータアナリストの採用を希望
出典:株式会社アイデミー「データ活用人材の採用」に関する意識調査
株式会社アイデミーが経営者を対象に実施した「データ活用人材の採用」に関する意識調査では、データアナリストやデータサイエンティストの採用に課題を感じている経営者が47.7%にのぼることが分かりました。
また、未経験者であっても実力があればデータアナリストやデータサイエンティストを採用したいと言う割合は61.1%にもなります。一方でデータアナリストやデータサイエンティストの採用に課題を感じていない(全く感じていない、あまり感じていない)経営者は、25.2%でした。「データアナリストやデータサイエンティストの採用を行っていない」と答えた経営者は27.1%。データ系の職種の採用には、全体的に未だに大きな課題を抱えていることが分かります。
さらに調査内容を見ると採用の課題も浮き彫りになっています。「データを専門的に扱える人材が少ない」「採用コストが高い」「採用担当者がデータサイエンスを理解していない」などが課題と言えるでしょう。
前述の3点を課題とする経営者の割合は、いずれも半数以上でした。なお、自社でDXを推進してから採用したい人材の要件が変わってきたと感じる経営者も増えています。同調査を総合的に判断すると、社会一般的にデータを取り扱う職種のニーズが増加傾向にあると言えます。
データアナリストになる前に知っておきたいこと
データアナリストはコンサル型とエンジニア型という大きく2つに分類できます。それぞれの型に必要な知識・スキル、就職先、おすすめの資格などを包括的に紹介します。特にコンサル型とエンジニア型のどちらかを選ぶかによって、役割やスキル、就職先も変わるので、どんなタイプの人が向いているのかをまず検証しましょう。
コンサル型とエンジニア型の違いとは?
コンサル型
コンサル型は、企業などに具体的な問題点を指摘し、経営上の市場傾向などから経営に関しての有益な情報提供を得意とします。コンサル型のデータアナリストは、コンサル企業やマーケティング企業所属が一般的です。そして、企業から依頼を受けると業務をこなします。
具体的には企業から提供された情報やデータをもとに分析して、課題を見つけて対策を提案する流れです。データ分析に関する知識やスキルが求められます。
エンジニア型
エンジニア型はコンサル型よりもテクニカルな部分を重視します。データマイニングや機械学習など、膨大なデータを処理して分析を行うことで事業や経営に貢献する役割があります。また、エンジニア型のデータアナリストは、Webメディアやゲーム制作を手がける企業をサポートの割合が多い傾向になります。
コンサル型と同様にデータ分析の知識やスキルが必要で、さらに機械学習などの高度な解析技術が求められます。
データアナリストに必要な知識・スキル
膨大なデータを整理整頓するのがデータアナリストの仕事です。したがって、対象データの重要性を素早く見分けて無駄なデータを省く能力や、正しい因果関係や論理に基づきデータを分類できるロジカルシンキングが求められます。
データアナリストの実務に必要なのは、「IT」「データベース」「統計学」に関する基本的知識・スキルです。前述のようにコンサル型とエンジニア型では、それぞれの業務の特性に応じて必要となる知識・スキルの傾向が異なります。
コンサル型の場合、ただデータを分析に加えて具体的な問題解決策を提示する必要があるため、ロジカルシンキングや仮説思考、マーケティングに対する深い理解が不可欠です。一方のエンジニア型の場合、高度な分析作業を行うため、統計解析、時系列分析、機械学習、データマイニング、ビッグデータの分散処理に必要なツール(HadoopやMahoutなど)に関する知識が求められます。
データアナリストの平均年収
求人ボックス 給料ナビによるとデータアナリストの年収は672万円という数値が出ています。職種の給与水準としては比較的高めだと言えるでしょう。当然、所属する企業や役職などによって上下しますが、ボリュームゾーンは515〜607万円です。
データアナリストとデータサイエンティストの違い
データアナリストと関連性がある職種に、データサイエンティストが挙げられます。ともにデータを扱う専門家という点で明確な区分は実は曖昧ですが、データサイエンティストは、データアナリストのより上位の職種として扱われることが多い傾向にあります。データを集約して処理するだけの人材ではなく、そこから有用な知見を引き出し、企業の意思決定に活かすことがデータサイエンティストには求められます。
データアナリストは、統計学などを用いてデータを分析や可視化を行います。取り扱うデータは膨大で、種類も多種多様です。最終的にビジネスの意思決定を行える形にして提案を行うことが目的と言えます。
一方のデータサイエンティストは、主に機械学習を用いてデータを分析します。機械学習を活用して将来を予測するほか、音声や動画などの分析にも取り組みます。他にもデータクレンジングと言って、データを分析に使えるように欠損値や異常値を除去する手腕が必要です。
データの専門家はなくなるより重宝される時代に
【データアナリスト 需要 必要性のまとめ】
- データアナリストの重要性を認識する経営者は多い
- コンサル型とエンジニア型で働き方は大きく変わる
- キャリアパスとしてデータサイエンティストの道も
特にDX推進が加速している状況では、よりデータの必要性が増しています。そのため、データ系の専門職は、淘汰されるよりも今後は重宝されることが予想されます。データアナリストを志す場合は、その後にデータサイエンティストへのステップアップというキャリアを見据えることが重要です。
データの専門家であるデータアナリストと比較して、ビッグデータを扱い企業の意思決定に貢献するなど、より上位レベルの仕事がデータサイエンティストには求められます。