ゲームをはじめ、インターネットを軸に多様な技術領域・ビジネス領域において事業を展開する総合IT企業である株式会社エイチーム。本社は名古屋にあり、ほか大阪、東京、福岡、ベトナムと拠点があります。今回は、エイチーム 取締役 兼 エンターテインメント事業本部長の中内之公さんに、福岡オフィスについてお話を聞ききました。
福岡はとにかく個性と熱がすごい──。ゲーム好きなスタッフが集い、「福岡で働きたい」と熱望する声も多い福岡オフィス。けれども福岡色を強く打ち出すのではなく、「ほかの拠点と距離を感じないようにしています」と言います。エイチームならではの働き方と、ゲーム制作の未来への展望を伺いました。
取締役 兼 エンターテインメント事業本部長
オンラインエンターテインメントの企画・開発・運営を展開する企業にて経営者として幅広い経験を持つ。2009年9月当社に入社後は、エンターテインメント事業の責任者を務め、フィーチャーフォン中心の事業をスマートデバイス向けにいち早く転換させ、グローバル展開を推進するなど、エンターテインメント事業の飛躍的な成長に貢献。
福岡と世界をつなぐ、エイチームの働き方
――福岡はゲーム会社が多い印象です。実際のところ、福岡のゲーム事情はどうですか?
制作会社さんは少しずつ増えているみたいですね。もともと家庭用ゲーム機の受託をされる会社が増えて、その後にソーシャルゲームが過熱したことで福岡で採用する制作会社が多くなった印象です。
私たちも福岡で採用を始めて、実際にお会いしてみると優秀な方がたくさんいることがわかりました。当初は名古屋にある本社や大阪オフィスへのUIターンの方の応募を想定していたのですが、「福岡で働きたい」という声が多くて、福岡にオフィスを出すことに決めたんです。とたんに、入社希望者が増えました。きっと地元愛が強い人が多いんでしょうね。東京で働いている方でも「福岡に転勤したい」と言う人もいて、私もその気持ちはわかります。食べ物は美味しいし、東京や大阪と比べて物価水準も低いし、若い人がすごく多くて活気がある。いい街ですよね。
結果的に、オフィスができたことで「将来は福岡で働きたい」という希望も相談できるし、九州全体や中国地方の方ももっと採用していきたいですね。
――福岡オフィスは会社のなかでどのような事業を担っているんですか?
まず「福岡オフィスは福岡のメンバーを中心に新しいゲームをつくろう」という目標から始まりました。というのも、自分達で作るから、良い作品でも悪い作品でも責任を持って面倒がみられる。たとえば「異なる拠点で作ったプロジェクトを福岡で運用する」というのは僕はちょっと違うと思うんです。
ただ最近はプロジェクトが大規模化して、拠点をまたいでひとつのプロジェクトに取り組むケースが増えてきています。そのため、人によっては福岡オフィスにいながら名古屋で開発しているタイトルの仕事をやっている人もいます。
そもそも福岡だけが独立した組織ではなく、福岡にいても東京にいても名古屋にいても同じ組織の中のメンバーなんです。グラフィックであれば、グラフィックグループの中の福岡メンバーです。今オフィスは名古屋・東京・大阪・福岡・ベトナムにありますが、場所による働き方の違いはないんですよ。
――どうやって距離を感じさせない働き方を実現しているんでしょう?
コミュニケーション面でのロスはなるべく防ぐようにしています。たとえば、上司は名古屋の本社や東京オフィスに常駐していることもあるので、福岡オフィスに出張することもあります。もちろん僕も定期的に行きます。勤務地は違っているけれど、よく顔を合わせるのでお互いに誰に何を言えばいいかわかる。また、福岡オフィスのスタッフが名古屋の本社に出張することもあるので、拠点が離れていてもスタッフ同士は直接よく顔を合わせる機会があります。
くわえてビデオ会議システムも導入しています。本社、名古屋・大阪・福岡・ベトナムがリアルタイムで繋がっています。するとすごく近い存在に感じるし、スタッフからも「もっと数を増やしてほしい」という要望があるんですよ。でも、映像でリアルタイムに繋がっていても、実際に会わないと人間ってやっぱり距離がある。だから定期的にリアルで会うようにしています。
あと、オフィス内の環境や設計はできるだけ似た構成にしていますね。すべてのオフィスにおいて、同じデスク・イスを使用し、同等のグレードの環境で働くことができます。オフィス環境面だけでなく、出張や転勤をしても違和感がない環境を再現するように心がけています。やっぱり、人が資本ですから。
――どのオフィスもフラットにされているということですが、福岡オフィスならではの特徴はありますか? たとえば働いている方の傾向など……
そうですね……けっこう濃いゲーム好きな人が多いですよ。東京や名古屋は濃い人もいればビジネスライクな人もいるんですが、福岡はゲームやアニメがすごく好きな人が多い印象があります。たぶん、東京だとゲーム会社がたくさんあるけど、福岡には数が少ないしコンシューマー系が中心だったので、そこに就職しなかったすごくゲーム好きの人がたくさんいるんじゃないかな。だから、職場の熱はすごいんです。
一生涯ゲームと添い遂げる覚悟
――中内さんはエイチームではエンターテインメント事業を担当されていますが、ゲーム制作の魅力は?
やっぱり面白いですよ。定期的な変化があるし、ユーザー様の意見がダイレクトに聞けます。ゲームファンは熱量が高い人が多いので、素直におもしろければすごく熱狂してくれて、おもしろくなければ厳しいコメントをいただく……よくありますね。それも合わせて楽しいです。現場にも若い人が多いので、楽しいですね。
でも実は、私は特に熱狂的なゲーム好きというわけではなかったんです。流行っているものを人並みにやる程度だったので、「子どもの時からものすごくゲームをやっていて大好きです!」という人をとても尊敬しています。でも「負けないぞ」という思いも強いですね。ゲームフリークでないぶん、市場の動きや、ユーザー様の反応や求めていそうなものも気になるし、視野を広げて見えるものもきっとあると思って仕事をしています。
おかげでこれまでゲームの最前線に関わらせてもらっているし、ゲーム業界はきっとこの先もなくならない。ゲームの仕事は、続けるつもりがあればずっと続けられるし、やればやるほど技術が積み重なっていくので、こうなったら一生涯、ゲームと添い遂げる気持ちですよ。
求める人材は「若手ならやる気」「中途なら技術」
――これからのゲーム業界、どんな人材が必要で、どんな人と働きたいですか?
やっぱりポジティブに挑戦する人がいいですね。開発をしていると、ネガティブな人で話が止まっちゃうことがあると思いますが、エイチームではそれがほとんどありません。できないことを話すんじゃなくて、どうやればできるのかを考える組織でありたいです。
とくに若手は、やる気があれば業務経験がなくてもいい場合は多いですよ。デザイナーなどの専門職は基礎力が問われるので専門学校を出ているなどしていた方がいいですが、企画職はあまり関係ないかもしれません。企画はゲームをやりこんでよく理解していると力になるし、プログラマーはゲームでなくともなんらかのプログラミング技術があれば、情熱でやっていける。
ただ、ある程度の年齢になってからゲーム業界に初めて入るのは大変かもしれません。とはいえ、映像のプロとかデータベースのプロとか、なんらかのスペシャリストであれば活躍できると思います。とくにエイチームの場合はスマートフォンだけでなくいろんなプラットフォームに対応するマルチデバイスのゲームを作ろうとしていますので、いろんな技術が必要になるんです。
――ひとつのゲームタイトルを広く展開していこうということですね。なぜそのような戦略なのか……これからの展望についてもう少し詳しく聞かせてください。
これからはグローバルに向けてさらに加速していきます。というのも、日本のスマートフォンゲームは開発に必要な投資額もかなり高くなっているし、ゲーム人口はこれ以上増えないかもしれません。でも、グローバル規模では増えているんです。家庭用ゲーム機も売れているし、PCのデジタル配信プラットフォームも伸びている。そのため、ひとつのゲームタイトルをマルチデバイスで配信することに挑戦していこうとしています。
たぶん、そんな展開をしようとしている企業は世界でもまだ少ないと思うんですよ。ここまで大胆に切り替えたという話もあまり聞いたことがないので、ワクワクしています。
そんな状況ですから、コンシューマーの制作をされていた方がこれまで以上にスマートフォンゲーム制作に挑戦がしやすい環境になりそうです。福岡オフィスでも、新作を作ってグローバル展開しようとしています。グローバルに向けて新しいチャレンジがしたい人は福岡にもチャンスがあります。
また、ゲーム以外にもいろんなビジネスを育てて、安定的な成長をし続けていきます。すでに大阪オフィスや東京オフィスなど、名古屋の本社以外の拠点でも複数のITを通じたビジネスの拠点になっています。ですからゲームだけでなくWebに興味がある方もいろんな可能性がある環境です。とくに今なら事業の立ち上がりから関わることができるので、意欲的な方々にとってはやりがいになるでしょう。
――“ゲーム”という枠組みだけでなく、広くグローバル社会に展開されている様子が楽しみです。ありがとうございました。
インタビュー・テキスト:河野 桃子/撮影:SYN.PRODUCT
会社プロフィール
株式会社エイチーム
エイチームグループは、ゲームをはじめ、インターネットを軸に多様な技術領域・ビジネス領域において事業を展開する総合IT企業です。本社は名古屋にあり、ほか大阪、東京、福岡、ベトナムと拠点があります。
現在は「エンターテインメント事業」「ライフスタイルサポート事業」「EC事業」、3つの事業軸でビジネスを展開しています。
エンターテインメント事業
「人と人とのつながり」をテーマに、世界中の人々にスマートデバイス向けゲームやツールなどのアプリケーションを企画・開発・運営
- 舞台少女たちによるターン制バトル!レヴュー&アドベンチャーRPG「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-」
- 全国のプレイヤーと迫力の3Dバトル 至高のハイファンタジーRPG「ヴァルキリーコネクト」
- 友達と一緒に必殺技! 新感覚リアルタイムRPG「ユニゾンリーグ」、など
ライフスタイルサポート事業
人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト、情報サイトなど、様々なウェブサービスを企画・開発・運営
- 車査定・車買取サイト「ナビクル」
- 引越し比較・予約サイト「引越し侍」
- 結婚式場情報サイト「ハナユメ」、など
EC事業
自社在庫を持ち、独自の物流網を構築。自転車をはじめ、EC化の難関である大型商材のEC化に本格参入。ECサイトを企画・開発・運営
- 自転車専門通販サイト「cyma-サイマ-」