同じIT分野でありながら、ともすればまったく別の業界と考えられがちなゲームとWeb。しかし実際は、ジャンルをまたいで活かすことができる経験やスキルがたくさんあります。今回は、両方の業界を経験し、現在は株式会社ゆめみでフロントエンドエンジニアとして活躍する川勝利幸さんにお話を伺いました。

株式会社ゆめみ マーケティングソリューション事業部 川勝利幸さん
2007年、「パソコンを使った仕事に就きたい」との思いからWeb制作会社に就職。飲食店を中心とした情報サイトの構築・運営に携わる。2012年、大手ソーシャルゲーム会社へ転職。サーバサイドエンジニアとしてゲームの保守・運営を担当する。2016年、ゆめみへ入社。フロントエンジニアとして、クライアント企業と一体になってECサイトなどの構築・運営を行っている。

株式会社ゆめみ マーケティングソリューション事業部 川勝利幸さんインタビュー

――現在までの足取りを教えてください。

最初にWeb制作会社に入ったのは、23歳のとき。当時は、HTMLやスタイルシートの知識がほんの少しあるぐらいで、JavascriptやPHPは入社後に独学で勉強しました。
それでもなんとかやっていけたのですが、「本当にこのやり方が正しいのだろうか」という気持ちが次第に膨らんできました。

そこで、「世の中のスタンダードを知りたい」という思いから、大手ソーシャルゲーム会社へ転職しました。ソーシャルゲームからWebへ戻ることにしたのは、3年あまり働いてみて、改めて「自分はどちらの世界が好きなのか?」を考えたからです。
SNSをはじめ、日頃自分が利用するサービスを見つめ直すと、Webサービスの方がたくさん使っている。それに、「便利だな、おもしろいな」と感じていることも多い。
そこで、それらを「作る側」にもう一度なりたいと思い、転職を決めました。

――2つの業界を経験して感じる共通点と異なる点は?

ソーシャルゲームと言えども、結局はWeb上で動いています。ということは、使う技術は同じなのです。まったく違ったものに見えるソーシャルゲームとWebですが、企画が固まって以降は、それを仕様に落とし込み、最後はコードを書く。このプロセスや実際に手を動かす作業は同じです。
また、「知りたい情報や技術を自分で探し出し、見つけたら試してみる。試行錯誤しながら技術を身につける」という、エンジニアとしての姿勢も共通していました。
このことに気がついたとき、「やっていけそうだ」という気持ちになれました。

ソーシャルゲーム特有の点は、規模の大きさです。新規イベントをリリースした日などには、凄まじいアクセスがあります。気を抜くと本当にサーバが落ちてしまうんです。Webサービスでのアクセスの集中ぶりとは規模感がまるで違いました。
ただ、この経験をしたことが、サーバの安定稼働に対する備えという技術面での成長や、「少々のことでは動じない」というメンタルの強さにつながり、今に活きています。

社風や仕事への姿勢もそれぞれに特色があるように思います。ソーシャルゲーム業界は、「どうやってユーザーを楽しませようか、驚かせようか」ということをメンバー全員が常に考えている。ある意味、エンターテイナーなんです。
対するWeb業界は、「お客様の要望や思いを実現するには、どうすればいいだろう」ということを大切なポイントにしている。そこには、サイトのおもしろさはもちろんですが、サイト訪問者にとっての使いやすさや、サイト管理者にとっての使いやすさなど、たくさんの要素が含まれます。
お客様にとっての「パートナー」としての役割が大きいのが、Web業界だと感じています。

――Web業界への転職と会社選びの経緯を教えてください。

日常的に触れる機会のより多いWebサービスに、改めて携わりたいと思ったことは先ほどお話した通りです。それに加えて、「クライアントから仕事を受注している会社で仕事がしたい」という思いもありました。

ソーシャルゲーム会社は“自社サービス”として提供している所が多く、自分もそういう環境で働かせてもらいましたが、そこが魅力であり、働きやすさの土台になっているという意見もあります。ただ、エンジニアとしてのキャリアを考えたとき、自社サービス“以外”のサービス、すなわちクライアント企業の要望に応じてサービスの構築や運用・保守を行う仕事を経験しておくことも必要だと考えました。

エンジニアやクリエイターの中には、お客様とのやり取りを苦手としている人もいます。しかし、自分たちが提供している価値を合理的に相手に説明して納得してもらったり、相手の要望を的確にくみ取ることは、エンジニアとして重要なスキルになると思いました。そういった経験ができる会社に的を絞って探していたところ、出会ったのがゆめみです。

ゆめみへの入社は、会社の雰囲気が決め手となりました。面接時に一番率直なやり取りができ、一番笑顔が多かったのがゆめみだったのです。
ソーシャルゲーム業界にいた3年余りの間に、Webの技術は進化し、トレンドも変わっています。そこに不安を感じていることを素直に伝えたところ、「みんなでフォローするから大丈夫」との回答がありました。実際に入社してからの話になるのですが、わからないことなどはためらわずに周囲に相談できています。「失敗しても構わないから、気兼ねなしにやってみて」という職場のメンバーからの言葉は、面接のときの説明の通りです。

初めて扱うAWSについては、会社がサンドボックス的な領域を用意してくれています。そこを使って、トライ&エラーをどんどん繰り返すことができ、スキルを身につけることができています。また、そういった時間は「10%ルール」が適用されており、直接的には業務に関係していないことでも、興味があることにチャレンジしていいことになっています。

ちなみにAWSに関しては、サーバレスアーキテクチャをゼロベースで試してみようと思い、メンバーの在籍状況や空調や路線情報が確認できるWebアプリを試作しました。これには、その時点での自分のスキルを確認してみたいという思いがありました。システムを作っていく過程で、「AWSってこんなことができるんだ!」という気づきを得られたことは、実際の仕事にとても役立ちました。
このアプリは、近々アップデートを考えています。自身のスキルを磨きつつ、実際に職場のメンバーが利用しやすいものになれば、と思っています。

――これから転職を考えている人へメッセージをお願いします。

ソーシャルゲーム業界で経験したこと、身につけたことは、Web業界で働く上でも必ず役に立ちます。特に、ソーシャルゲームの開発経験で得た知見、技術はとても強みになります。どちらの業界も変化が目まぐるしいですが、最新技術の習得は入社後でも大丈夫だと思います。
ただ、トレンドへのアンテナは敏感にしておくべきです。面接などの際に、詳しくはわからなくても「聞いたことはあります」と言えるのと、「知りません」としか答えられないのでは大違いですからね。

川勝さんが語る!求人情報の注目ポイント

求人情報には、使用する言語や実務経験など、さまざまな要件が書かれています。それらを見て、企業が求める人物像や仕事内容をなんとなくでもイメージしてみるといいと思います。そのうえで自分自身を振り返り、マッチしている部分や不足している部分を考えるのです。面接では、思い描いたイメージが間違っていないかを確認するといいでしょう。募集の要件とマッチしていない部分については、「入社後に勉強します。それでもいいですか?」と投げかけてみてください。
面接は会社が人材を選ぶ場ですが、求職者が会社を選ぶ場でもあります。「互いの条件が合うなら一緒に仕事をしよう」というぐらいの気持ちで臨んでいいと思いますよ。

会社プロフィール

ゆめみが携わっているサービスは全世界で毎月5000万ユーザが利用しております。
当社は、顧客の戦略を理解した上で、サービス企画から関わり、リリース後も継続的なサービスの発展に寄与する「B and B to C」という法人向けのデジタルメディアに関連した支援事業を行なっていることが特長です。
■ 社名  :株式会社ゆめみ(英文社名 YUMEMI Inc.)
■ 所在地 :東京オフィス 東京都世田谷区三軒茶屋2-11-23 サンタワーズB棟7階
京都オフィス 京都府京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地 COCON烏丸 4階
■ 設立  :2000年1月27日
■ 代表者 :代表取締役 片岡 俊行
■ 事業内容: モバイルサービスの企画・開発・運営・コンサルティング
■ URL:https://www.yumemi.co.jp/ja

インタビュー・テキスト: 松本 守永(ウィルベリーズ)