VRの技術は、ここ数年で格段に進歩してきました。昔はアトラクションや専用施設のみでしか体験できなかったものが、現在では家庭用ゲーム機としてでも楽しむことができるようになっています。
なかでも2016年は“VR元年”として話題となり、ブームとして牽引した立役者は「PlayStation VR」と言っても過言ではないでしょう。話題に劣らない高クオリティのコンテンツを端末の発売と同時に続々と市場に投入しました。今回は話題となったVR作品や、そうしたコンテンツを生み出す業界注目のトップクリエイターをご紹介します。
過去話題になったVRコンテンツ
Sonyが開発したPlayStation VR(以下、PS VR)が、家庭用VRゲーム機としては一般的で有名です。2016年の10月に販売が開始されてから全世界で普及数が6000万台を超えるなど、世界的に大きな反響を呼びました。
日本においては、このPS VRがVRコンテンツの先駆けと言っていいでしょう。ゲームだけではなく、CGムービーや360度実写映像など、多数のコンテンツを持っているのがPS VR対応コンテンツの魅力です。さらには「シネマティックモード」という機能も備えており、VRヘッドセットに映し出される仮想空間内の巨大スクリーンでゲームだけではなく、YouTubeなどのコンテンツを2Dで楽しむこともできるのです。
話題になったソフトは「サマーレッスン」(※1)。夏の海辺にある古民家で、金髪女性に日本語を教えるというゲームです。精巧に描かれた古民家のセットのほか、実際に彼女とコミュニケーションが取れるので、まるでその場所にいるかのようなリアリティのある疑似体験ができます。
※1 サマーレッスン|バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
また、世界で見るとHTC ViveもVRの先駆け的存在です。HTC ViveはVR向けに開発されたヘッドマウントディスプレイで、ワイヤレスコントローラーなどと併用することによって、体験者が実際にバーチャルの世界に入り込んでいる感覚をより高める仕様になっています。
このHTC Viveで楽しめるコンテンツの中でも注目されたのが「Mars2030」です。火星を探索できる仮想現実シミュレーションゲームで、宇宙飛行士として火星を横断しながら、地質学のサンプルを集めていくというもの。この時、火星移住化計画を提唱する企業や火星を舞台にした漫画などが流行っていたこともあり、その話題性が注目されました。(※2)
※2【Social VR Info】NASAも協力して制作 VR火星探索『Mars 2030』がPCとPSVRで7月12日にリリース
「Off-Road Paradise」は、まるで車の中にいるかのような感覚のまま、運転を楽しめるゲームです。細部まで表現された車両と走行空間で、臨場感があって、よりリアリティのあるエンターテイメントとなっています。(※3)
※3【自作パソコンdeゲーム野郎】HTC VIVE購入レビュー。VR体験しまくって気付いたデメリット。
これから話題になりそうなVRコンテンツ
VRの普及と共に、VRを専門に扱ったアトラクション施設も多数出てきています。なかでも特に話題なのが、東京・渋谷にできた『VR PARK TOKYO』と東京・新宿にできた『VR ZONE SHINJUKU』です。どちらも施設のオープンの際には芸能人を起用し、テレビで報道もされるなど、大きな反響を呼び話題になりました。
VR PARK TOKYOのアトラクションには、ヘリに乗り高所で銃撃戦を繰り広げるガンアトラクションや、今まで画面を見て操縦するだけだったカーレースアトラクションをVR化したものなどがあります。また、その世界に入り込むような体験ができるVRの技術を最大限活かしたホラーアトラクションもあります。マウントディスプレイを装着すれば、そこはまさに恐怖の館。その中を自分の足で歩いて進んでいく恐怖感はリアルなお化け屋敷と比較しても遜色ないリアリティを誇っています。このほかにも、新アトラクションは随時更新されており、VRを使ったフィットネス体験などもあります。
一方、ネットカフェなどでもVRコンテンツが配信されています。なかでも話題なのが「進撃の巨人VR」です。VRゴーグルを装着することで、進撃の巨人の世界を実際に体験できるような迫力が味わえると人気になっています。DVDの初回特典として、期間限定で上映されていたこの進撃の巨人VRの映像が付いてくるなど、進撃の巨人ファンとしては必見のVRコンテンツとなっています。
有名VRクリエイターを紹介
ここからは、話題作の制作にかかわっているクリエイターを紹介していきます。まず、VRクリエイターとして一般的にも有名になったのが、ビジュアルデザインスタジオWOWに所属しているクリエイティブディレクターの浅井宣通さんでしょう。
彼はVRコンテンツの制作にも関与していますが、そもそも有名になったのはプロジェクションマッピングです。今まで平面が当たり前だったプロジェクションマッピングを3D化して立体的に楽しめるようにしたのはとても斬新でした。この先駆的なアイデアなどがVRコンテンツ作成にも活きているのでしょう。
また、株式会社桜花一門の代表取締役でもある高橋建滋さんも有名です。
VR界でもトップクリエイターとして頂点に君臨し、魅力的なコンテンツを生み出すだけでなく、JapanVRFestを主催したりなど、VRの普及にも大きく貢献しています。VRと聞くとゲーム機というイメージがまだまだ強いですが、実際には医療の現場や教育の現場など、さまざまな場所で応用が可能です。他分野への普及も積極的に行っている1人です。
これから先、どんなことが実現する?
今後、VRはどのような方向に展開をしていくのでしょうか。
業界関係者いわく、今後は操作性などを向上させていくことにより、さらにバーチャル体験にリアリティを持たせることが期待されているようです。
具体的には、Oculusから出ているVRシステム『Rift』のコントローラーOculus Touchなどがあげられます。Oculus TouchはHTC Viveのライバルとも言われており、他のVRシステムにはないデザインと機能が話題になっています。他のコントローラーと最も違う部分は、指の動きに重点を置いていることです。ゲームのなかではボタンを押したり、何かを掴んだりするシーンでも、今までは手全体を動かす感じでリアリティがありませんでした。しかし、指の動きを感知することにより、よりリアリティを感じることができるようになっています。(※4)
※4.【VR Inside】Oculus Touchレビュー:推奨されたセットアップ環境で使えばVR史上最高のコントローラー
このように、今後はVRシステム自体の画質や精度ももちろんそうですが、それと合わせてコントローラーの操作性が大きく進化していくものと考えられます。
(CREATIVE VILLAGE編集部)