ゲームというエンタテインメントを通じて世の中を変える“Game Changer”として、国内にとどまらず世界に感動体験を提供し続ける『セガゲームス』。時代を象徴する新しい遊びを提供し、様々なアミューズメント機器を通じて多くのムーブメントを創出する『セガ・インタラクティブ』。セガグループは、家庭用ゲームからオンラインゲーム、ゲームアプリやアーケードゲームにいたるまで、これまで数多くの画期的なエンタテインメントコンテンツを世に送り出しています。
なかでも、実在する繁華街をモデルにした架空の街を舞台に、男たちの生き様を描くアクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズは、リアルな世界観に加え迫力のある人間ドラマが共感を呼び、累計出荷本数が650万本を突破した人気タイトルです。
■ クリエイティブな仕事がしたい
幼い頃はゲーム機やPCといったものがまだ無い時代で、漫画をよく読んでいたものの、本はあまり読みませんでした。その割に文章を書くことが好きで、作文や読書感想文を書くのは嫌いじゃなかったですね。それが今となって、ゲームのシナリオ制作に応用されている気がします。
学生時代は絵を描いたり工作をしたり、映画を観ることが好きだったので、美術系の大学へ進学して、グラフィックデザインを勉強しつつ、映画の授業を専攻していました。卒業後は映画の仕事に就きたかったのですが、当時は日本の映画産業がちょうど谷底の頃で、映画業界の就職先が一切なかったんですよ。
大学在学中にファミリーコンピュータが発売されて、すごく欲しかったけれどお金が無かったので、当時付き合っていた彼女がプレゼントしてくれて嬉しかったですね(笑)。マリオシリーズなど、人気タイトルを一通り遊び尽くしたことをきっかけに、「ゲームも面白そうだな」と思ったんです。
当初ゲーム業界で働く気はなかったのですが、美術大学に進学する時点で、人と同じような人生を歩む気もなくて、“クリエイティブな仕事がしたい”という思いでセガというゲーム会社に応募してみたんです。ゲーム制作については何も知らなかったので、「どうせ受からないだろう」と思っていたら、何故か内定をいただけて驚きましたね。ただ、コンピューターのコの字も知らなかった分、入社してからは苦労の連続でした。
■ 別の業界に転職する機会を常にうかがっていた
セガに入社後は業務用ゲームのチームに配属され、グラフィックデザイナーとして上から指示された仕様に対して、指定された時間内にドット絵を描いて、採用されると画面に出してもらえる、その繰り返しでした。
それまではキーボードを打った事もなければ、ゲーム業界の用語も分からないので、当初「人事部は見る目がない」と、周りから非難されて辛かったです。先輩も、今のようには優しく教えてくれないので、質問をしても「わかるだろ?」の一点張り。まるで親方と弟子のような関係で、先輩の仕事を見て自分なりに仕事を覚えていきました。
出だしから非難されてしまうと明るい未来なんて描けるはずもなく、「自分はゲーム業界には場違いだ」という疎外感が消えなくて、ずっと辞めるつもりでいました。ゲーム業界に入ったこと自体、一種の挫折でしかなかったので、別の業界に転職する機会を常にうかがっていましたね(笑)。
でもバブルが崩壊し景気が悪くなっていった時期だったので、辞めるにも転職先が見つからず、「しばらくはここで働くしかないかぁ…」という諦めの気持ちでいたのですが、景気も変われば環境も変わるもので。表現手法が2Dから3DCGへと移り変わると、照明を焚いてカメラを回すという、映像業界を知っていれば当然の手法が、2Dしか知らない方々には逆に浸透していないんですよ。「大学時代に学んだ映像の知識が活かせるチャンスだ」と思い勇気を持って、3DCGのプロジェクトに参加したい意思を伝え、そこで初めて「お前、使えるじゃないか」と言ってもらえるようになったんです。
それまでは鬱積した感情を抱き続けていたのに、褒められたらやっぱり嬉しいし、立場が逆転して待遇が良くなっていくことは快感ですから、辞めたいという気持ちも次第に薄れていきました。
毎日数字を管理し、1000人を超える部下を従えて、20年も同じ会社に在籍するなどという現在の状況は当初は考えもしなかったし、数学も苦手で経済のことも全く知らなかったのに、管理をしている訳ですから。特にゲームというエンターテイメント業界は、先がどうなるかが分からないので、面白いものです。
■ 日本人に向けたゲームコンテンツの再構築をする
今から20年程前は、世界のゲームの年間売上ランキングに日本の数あるゲーム会社がランクインしていて、世界的にも確固たる地位を築いていました。3月12日に『龍が如く0 誓いの場所』がリリースされて、初作からちょうど10年目を迎えましたが、企画立案をした12年前というと、日本のゲーム市場が苦境に立たされている時期でした。
なぜ一時期は日本がゲーム業界をリードしていたかというと、昔はゲームハードのノウハウが日本にあったからだと思うんです。それが、時代の流れとともにノウハウも各国に吸い取られてしまい、日本のゲームの居場所がなくなってしまった。自国の人が本当の意味で楽しめることを考えたら、その国の人が手掛けたコンテンツに、他国のものが勝てるはずがないんですよ。
「ゲームは世界各国共通だ」と教えられてきたものの、海外での売上はやっぱり重要ですし、売掛金が思うように回収できない。経営層は当然慌てるので、負けていられないとチャレンジを繰り返しても歯が立たず、ことごとく失敗していたんです。各ゲーム会社の業績が伸び悩み、セガも窮地に立った時、「もっとやるべきことが他にあるんじゃないか」と思い、すべてのことを疑いゼロから見直すことに決めたんです。
そもそも海外で暮らした事もないのに、取材に行って資料だけを集めて、海外が舞台のゲームを作るとしますよね。でも、できあがった作品にやっぱり違和感を感じてしまうものなんですよ。映画でも同じことが言えて、海外で撮られた日本が舞台の作品も、日本人が観るとどうもしっくりこない。したり顔でそんな作品をつくるなんて、むしろやっちゃいけないことなのではないかと思い始めました。
たまたま時代の波に乗れただけで、僕ら日本人にはモノを作り上げる力がそもそも欠如していたんじゃないかと。それならば海外市場は一度捨てて、日本人に向けたコンテンツの再構築をしようという決断に至りました。
■ ターゲットを絞る分、きっちりと刈り取ってみせる
ゲームというのは、どれだけ遊べるかといったものですから、まずはアクションさせないといけないし、エネルギッシュなものでないとユーザーにも受け入れられない。またゲームのネタを考えた時に、マス市場で認知が高い割に誰もやったことのないものというのは、必ずヒットするという確信が、僕の中にあったんです。でも認知度が高いものって、大抵は誰かが既に唾をつけていますからね。あまり残っていないのが実状なんですよ。
それなら、Vシネマや任侠モノといった、いわゆる“裏社会”はみんな知っている。でも、ゲーム市場では当時まだ誰も手を付けていなかった。確立されたジャンルに対しては、マーケットというのがそれぞれ存在するため、その企画を思いついた時点で外れることはないという自信がありました。
海外では売らない、子どもは見ちゃダメ、女の子は相手にしない。ターゲットは大人の日本男性だけに絞るけれど、その分きっちりと刈り取ってみせますと。とはいえ、上層部を説得することは大変でしたね。
一風変わった作品というものは、チープな内容だと奇異な対象にしか見えないので、まずは本格的に取り組み、可能な限りお金をかける。その“異質感”で売りましょうと提案しました。本来、人は変わったものにお金をかけないものですし、道の隅に転がっているようなものを、あえて道のど真ん中に置いてみる。「訳のわからない変なものが、何で表にあるんだ」という時点で、興味が湧きますよね。
ユーザーが抱く、潜在的な欲求にマッチしたのか定かではありませんが、結果『龍が如く』はヒットし、現場も久しぶりに元気や活気を取り戻しました。ゲームにおいて、新たなジャンルの開拓をしたかったという思いもありましたが、それ以上にセガという一企業の開発員としても、社員のモチベーションを上げたかったんですよね。自分の道理に外れたことはしなかったので、「やっぱり攻め方次第で結果はついてくる」と、痛切に感じました。
【 商 品 概 要 】
商品名 : 龍が如く0 誓いの場所(好評発売中)
対応機種: PlayStation(R) 4/PlayStation(R)
価格 : 8,190円(税別)※ダウンロード版同額
著作権表記:(C)SEGA
公式サイト:http://ryu-ga-gotoku.com/zero/
ポータルサイト:http://ryu-ga-gotoku.com/
日本中が狂喜乱舞していた時代。 「龍」の伝説は、ここから始まった。
架空の巨大歓楽街を舞台に、愛・人情・裏切りなど様々な人間ドラマを描くことで、これまでゲームが決して踏み込むことの出来なかったリアルな現代日本を表現し、シリーズ累計出荷本数が650万本を超えるヒットを記録した『龍が如く』。
その最新作となる『龍が如く0 誓いの場所』が、PlayStation(R) 4とPlayStation(R) 3で登場。映像、ストーリー、バトル、やり込み要素など、全ての面においてシリーズ最高傑作のクオリティで贈る、極上のエンターテイメント作品。
1988年12月。空前の好景気に沸く歓楽街、東京・神室町では、大規模再開発計画の利権を手にするため、数多の組織が動き出していた。しかし、所有者不明のたった一坪の土地の存在が、開発計画を難航させていた。
通称「カラの一坪」。土地を巡る争奪戦は、やがて東西の巨大極道組織をも巻き込む一大抗争へと発展し、ある二人の若き男たちの運命を大きく揺り動かしてゆく―。
いま、一つの時代が終わりを告げ、二つの伝説が始まろうとしていた。
(2015年5月18日更新)