ゲーム開発にはさまざまな役回りがあるが、そのゲームが人気を得てヒットできるかどうかの根幹は企画にかかっていると言っても過言ではありません。ゲームプランナーという企画に特化した職種は、アイデアや企画力が命の仕事だと言えるでしょう。ゲームアイデアにおける司令塔的な役回りを持つゲームプランナーは、自身の企画をプレゼンする際にどんなことを意識すべきでしょうか。
ゲームの企画提案に関わって4年以上のキャリアを持つゲームプランナーに向けて、ポートフォリオにおける工夫について紐解きます。叡智を結集したポートフォリオにはどんなアイデアや夢が詰まっているのでしょうか。ゲームプランナーの企画力について迫ります。
企画提案におけるポートフォリオの重要性とは
ポートフォリオは転職の際、ゲームプランナーとしての実力を売り込む営業の際、プロジェクトメンバーに自分の実績をいち早く把握してもらう際に有効なツールです。そのためポートフォリオは、ゲームプランナーにとって企画の宝庫であり、名刺代わりと言っても過言ではないでしょう。
ポートフォリオは「分かりやすい・面白い・お金になりそう」が基本
ゲームプランナーのポートフォリオは「分かりやすい・面白い・お金になりそう」と、相手に思わせることが重要です。そのため、ポートフォリオを作成する際には、この3つのポイントを押さえるように意識しましょう。まずは「分かりやすい」「面白い」の観点でポートフォリオを作成するためのポイントについて解説します。
ゲームシステムは1ページで説明
内容の分かりやすさについては、企画書やプレゼン資料の書き方を解説した本やサイトが多数あるため、それらを活用して勉強するのがおすすめです。そのうえで、ゲーム企画のポートフォリオを作成する場合、1つのゲームシステムを説明するために使うスライドの分量は1ページが限度でしょう。説明が複数ページにまたがるシステムは、ゲームへ実装した際、複雑さが裏目に出る恐れがあるためです。また、セールスポイントを分かりやすく伝えるためにも、1枚にまとめるべきでしょう。
ただし、1ページの中に、細かい文字で詳細な説明をするのはNGです。できるだけ大きな文字を使い、多くても3~5ステップ程度で説明できるように心がけましょう。
相手が求めていることを分析
「面白そう」だと思うポイントは、人や企業によって異なるため、正解はありません。そのため、同僚などに企画の内容を見せた時に、話が広がるかどうかが1つの判断ポイントになるでしょう。また、提出する企業に合った企画であることも重要です。たとえば、ボーイズラブのゲームのみを制作している企業に対して、男性がまったく登場しないゲームの企画を提案しても、採用される可能性はほとんどありません。提案する相手が何を求めているかを分析することは、ポートフォリオを作成する際、意識するべきポイントです。
特に重要なのは利益を出せるゲームという観点
ゲームプランナーたる者、企画の面白さへの追求には誰もが余念はないでしょう。しかし、ゲームプランナー自身が面白いと思う企画であっても、必ずしも世間のニーズに合致していて売れるわけではありません。売上が伸びないゲームは、利益が上がらずサービス終了という、厳しい現実に直面するでしょう。そのため、利益の創出方法を的確にプランニングできるゲームプランナーは、各方面から評価されやすいと考えられます。
ゲームは夢や希望を重視しつつ金勘定が必要な商売
ゲームプランナーがポートフォリオを作成する場合は、「お金になりそう」と思ってもらうことが、もっとも重要です。つまり、提出先の企業に対して「どう売上を伸ばし、利益につながるのか」という部分を明確に説明しなければいけません。「ゲームで夢や希望を与える」という理念は崇高ですが、一方で金勘定ができて利益をもたらすことができるゲームプランナーが現場では確実に評価されます。
企画がお金になりそうかどうかについては、市場動向なども関係しますが、類似ゲームの出荷や売上実績などを参考に試算するのをおすすめします。その際には、市場のトレンドを意識しつつ、ユーザーの獲得数や離脱率、課金率といった、具体的なKPIで説明できる、蓋然性のある試算内容であることが望ましいでしょう。
提案先の企業や関係者の意向に合わせた予算規模の選定を
「お金になる」の判断自体が、「予算を抑えて作ってそこそこ儲かる」を是とする企業と、「予算がかかってもよいので、コンテンツを育てて、ゲームだけでなく関連商品にも手を伸ばしたい」企業に分かれる場合もあります。当然ながら企業によって予算規模は異なります。良いゲームの基準もコスパで判断される場合もあれば、莫大な予算を投下してとにかく質を追求する場合もあるでしょう、提出先や担当者の考え方による部分も大きいので、その点の目利きもゲームプランナーの素養と言えます。
ゲーム業界は多くの人に夢を与える素晴らしい仕事ですが、その中でもゲームプランナーは現実的な視点を持ち合わせることが大切です。お金ばかりを追求すると煙たがられるように思う方もいるかもしれませんが、利益を生むことができなければゲーム制作を続けられないことは肝に銘じる必要があるでしょう。
ゲームプランナーの仕事はイメージを想起させること
ゲームの構想や企画、予算感などのイメージを相手にどう想起させられるかが、ゲームプランナーの腕の見せどころです。ポートフォリオは、まさしくイメージを共有するためのツールであり、プレゼン力や相手に上手く考えを伝える力が非常に重要となるでしょう。また、企画を提出する際は、先方の規模や予算に応じて実現できそうな企画書を、複数用意しておくのが賢明です。
採用されやすい企画・評価されるポートフォリオの特徴
採用されやすい企画は、簡単に言えば「コンセプトが分かりやすい企画」だと言えます。企画を「◯◯を△△するゲーム」など、短い1つの文章で表現できることが大切です。
企画書には画面レイアウトや操作方法も記し、企画書を見た方が、ゲームの内容を直感的に分かるように心がけましょう。細かい文字まで読まない方も多いので、大きな文字と図でシンプルに表現するのがおすすめです。また、キャラクターを重視するゲームの場合は、プロのデザイナーに依頼してデザインを準備することで、より企画のイメージを相手に想起させやすくなります。
提案先企業の規模感も意識すること
提案先企業の心をつかむためには、意外性のある斬新な要素があると好ましいでしょう。ただし、斬新すぎて分かりづらい要素は、逆効果なので注意が必要です。たとえば、誰でも知っている既存のものを組み合わせることで、「○○しながら××するゲーム」など、端的に分かりやすく表現しやすくなります。何と何を組み合わせるかが、ゲームプランナーとしてのセンスの見せどころです。
また、企業の規模や風土などによっても、採用されやすい企画は変わります。たとえば、中小規模の企業に莫大な予算が必要なゲームの企画を出しても、採用される可能性は低いでしょう。提出先に合わせた、規模や予算感の企画書を用意することは基本です。
ゲームプランナーにはアイデア・企画力に加え金勘定できる能力も必要
【ゲームプランナーは伝えるスキルが特に重要】
- ポートフォリオはゲームプランナーの名刺代わり
- ゲームは夢や希望を重視しつつ金勘定が必要な商売
- ゲームイメージを共有のためにできる手段を遂行
ゲームの企画に特化した職種であるゲームプランナーには、企画を突き詰めて考えることや、新しいトレンドを追うことはもちろん、金勘定ができて利益をもたらせる素養が求められます。ゲーム好きでとにかく頑張るガッツも大切ですが、思考力・発想力・数字力が求められ、それらを結集させた総合的な企画力が何よりも重要だと言えるでしょう。
ゲームプランナーがポートフォリオを作成する場合には、「分かりやすい・面白い・お金になりそう」と、相手に思わせることが基本です。自身の実績はもちろんのこと、どの領域でどういった貢献ができるかを盛り込み、高確率で採用されるポートフォリオづくりを目指しましょう。