みなさま、初めまして!
COYOTE 3DCG STUDIOキャラセクション所属の川村です。
今回からCREATIVE VILLAGEにて連載記事を持つことになりました!
ゲーム業界と言えばみんなゲームが好きで、ゲームをしない人は採用しない、みたいな固定観念があると思うのですが、そんな事は全くありません!
最近はゲームを全くしないけどMMDやVTuberなどのコンテンツに触れて、好きなキャラを自分で作りたい!とゲーム業界の門を叩く人が増えてきたと感じており、私の所属する会社ではそういったクリエイターを支援する取り組みを始めています。
CG・ゲーム業界のプロを育成するCREATIVE ACADEMY
これから自分でモデルを作りたい!という方や既に独学でキャラモデルを作っている方、またゲーム会社に転職を考えている人向けに
- ゲームモデルの設計
- ゲームモデルとVRCアバターの違い
- キャラモデルの作り方
実際に私自身がVRCアバターを制作しながら、ゲームモデルのノウハウを説明できればと思っています。
それではよろしくお願いします!
クリーク・アンド・リバー社/COYOTE 3DCG STUDIO
キャラモデラーとしてゲームを中心にモデル制作を行っており、ゲーム開発の仕様設計、スケジュール、品質、外注管理まで幅広く担当。
現在はCOYOTE 3DCG STUDIOのキャラセクションリーダーとして、モデル制作の傍らチームマネジメントやプロジェクト管理なども兼任するプレイングマネージャーとして活躍中。代表作:ガールズ&パンツァー。
各コンテンツの違い
キャラモデルを制作する上でそれぞれのコンテンツで何が違うのかを纏めていきます。
ここではゲーム、VRC、映像の違いを取り上げます。
まず大きく違うのはモデルの表示の仕方にあります。
ゲーム/VRC
- リアルタイムで表示
- 任意で動かすことが出来るが、仕様に制限が多い
映像
- プリレンダで予め出力して表示
- 最終的に映像にする為、仕様に制限が少ない
映像業界からゲーム業界に転職される方も多いですが、最初に制限の多さにびっくりされる方も多いです。
映像は最終的にレンダリングさえ出来れば良いので技術的な制限は少ないですが、
ゲームは制限をかけないと動作が重たくなったりエラーで落ちたりするので制限が多いです。
次に制限の種類を纏めてみました。
ゲーム | ロークラス | ミドルクラス | ハイクラス |
---|---|---|---|
ポリゴン数 | 10,000未満 | 30,000未満 | 300,000未満 |
テクスチャ | 512(1枚) | 2048(1~5枚) | 4096(10~50枚) |
使用ソフト | Maya、Photoshop | Maya、Photoshop | ZBrush、Substance3DPainter |
VRC | |
---|---|
ポリゴン数 | 70,000未満 |
テクスチャ | 2048~4096 |
使用ソフト | blender、Photoshop |
映像 | |
---|---|
ポリゴン数 | 上限なし |
テクスチャ | 上限なし |
使用ソフト | blender、3dsMAX |
※ポリゴン数はtriangle換算
※テクスチャサイズや枚数はプロジェクトによって大きく変わります。
ゲームは3種類に分類していますが、
- ロークラス:デフォルメキャラクター。2~3頭身くらいのモデルが多い。
- ミドルクラス:リアル頭身のキャラクター。スマートフォンやSwitchに多い。
- ハイクラス:フォトリアルのキャラクター。PCや次世代機向け。
表示するプラットフォームの違いで大きく制限が変わりますが、
スマートフォン → Nintendo Switch → PlayStation/Xbox → PC → 映像 と制限が緩くなっていきます。
最近はスマートフォンの性能も上がってきており、表示出来るモデルのクオリティも上がってきていますが、
世代差が大きい為、ポリゴン数を削ったり、テクスチャサイズを小さくしたりと制限が厳しめです。
Switchなどのコンシューマ機ではみんなスペックが同じになる為、マシンスペックの上限が制限となりますね。
ゲームモデルとVRCアバターの違い
キャラモデル制作だけで見ると大きく違いはありませんが、ゲームのキャラモデルはそのゲームに最適化されたモデルになります。
企画 → イラスト → キャラモデル → モーション → エフェクトとキャラモデルはゲーム開発の中核にあります。
その為、上流である企画やイラストの意図をくみ取りつつ、下流であるモーション/エフェクトにバトンタッチをしなければなりません。
故にめちゃめちゃ仕様制限が多いですが、実際にゲームに実装されたときは感動します。
VRCアバターはVRChatというプラットフォームが既にあり、そこに自分で制作したキャラモデルをアップロードする仕組みなので、制限はVRChatの仕様となります。
オリジナルキャラクターを自分で動かせるのはとても魅力的ですね。
また使用ソフトについても触れておきます。
ゲーム制作は数十人~数百人での共同作業です。全員が同じ環境下で制作を行う事が何より重要になっていきます。
そのため、使用ソフトに関しても細かいバージョンまで全て管理されています。
- Maya2020.4
- Photoshop CC2020
こんな感じで指定される事が多いです。
VRCアバターを作られている方は無料ソフトのblenderを使っている方が多いですが、ゲーム業界では圧倒的にMayaを使う事が多いですね。
まとめ
今回はゲームモデルとVRCアバターの違いについて説明させて頂きました。
ゲームはモデルを作る為に様々な制限がある事がわかりますね。
次回からは実際にモデル制作を行いながら、キャラモデルを作り方について解説していきたいと思います!
次回「第2回:モデルを作る前の下準備は大事」
To be continued…