インフルエンサーを活用したSNSマーケティングが隆盛を極める昨今。情報収集の手段が多様化する時代の中で、Eメールを活用したメールマーケティングは古い手法と捉える人も増えているでしょう。しかし、フェイクニュースなどの誤情報も乱立する情報過多な時代において、読者と直接かつ定期的に接点が持てる「メルマガ」の価値が再注目されはじめています。

メールの特長を活かしたマーケティングでの有効性を再認識したうえで、メルマガを活用することは非常に有益だと言えます。既存顧客との関係性向上やリードナーチャリングにおいても効果が期待できる施策だと言えるでしょう。では4~5年のキャリアを持つWebマーケッターが、再びメルマガに注目し、活用するうえではどんなことに着目すべきでしょうか。その鍵は「単純接触効果」にあります。

メールマーケティングは「単純接触効果」に注目

SNS時代のメルマガ_タッチポイント

メールマーケティングは、SNSやオウンドメディアなどと異なるアプローチでユーザーとの接点が持てます。つまり、「タッチポイントが異なる点」が肝だと言えます。まずはメールマーケティングの基本、SNSマーケティングとの特性の違いを把握したうえで自社のマーケティングに取り入れるべきかどうかを検討しましょう。

メールマーケティングの基礎知識

メールマーケティングとは、メールを活用したマーケティング手法です。自社の目的の達成に向け、ゴールから逆算して戦略的なメールコンテンツを配信します。「メールマーケティング=メルマガ」との認識は間違いではありませんが、メルマガはメールマーケティングの手法の1つだと認識しましょう。

メールマーケティングにはいくつかの種類があります。ニュースレターやメルマガとしてコンテンツを定期的に一斉送信する方法、シナリオ作成をして段階的にメールを送るステップメール、イベントの開催を告知するイベント開催メール、商品の購入後に感謝の意味を込めて送るサンクスメールなどが挙げられます。

メールマーケティングとSNSマーケティングの違い

SNSの普及に伴い、マーケティングにSNSを活用するケースが増えてきました。SNSマーケティングはTwitterやInstagram、TikTokなどを活用して情報を発信する手法です。リアルタイムな情報発信、即効性、拡散性などが特徴と言えます。それらの特徴から、メールマーケティングよりもSNSマーケティングが有効だと感じるかもしれません。しかし、両者にはユーザーとのタッチポイントでの違いがあり、その点を理解したうえで使い分けることをおすすめします。

たとえば、SNSマーケティングの短所としては、リアルタイムな情報発信ができる一方でスレッドが流れてしまいユーザーの目に留まらないケースがある点が挙げられます。その点、メールマーケティングは相手のメールボックスに確実に情報を届けることが可能です。

特にユーザーと定期的に接点を持つメルマガの場合は、「単純接触効果(ザイアンス効果)」が期待できます。初めのうちは興味関心がなくても、何度か触れる(接触する)うちに強い印象を受け、好感を抱くようになる効果のことです。恋愛のテクニックでよく紹介されますが、繰り返し接触を図ることで好感度や好意度が高めることはビジネスでも応用できます。単純接触効果はSNSマーケティングでは実現しにくく、メールマーケティングならではの強みだと言えるでしょう。

メルマガ運用におけるタブーは先入観を持つこと

SNS時代のメルマガ_様々なメディアのイメージ

メルマガは情報を持つアドレスへ大量送信するので、あえてターゲットは絞らないマーケティング手法でもあります。そのため、SNSやオウンドメディアなど複数チャネルで発信しているさまざまなタイプの情報をまとめて届けることを意識すべきでしょう。間口を広げ、読者が仮にすべてのチャネルをチェックしていなかったとしても、メルマガから自分に合った情報を選べることが1つの意義と言えます。そのため、勝手な先入観を持たないことが求められます。

メールを開封してもらう秘訣は提供話題のバリエーション

メルマガを送信したい新規のメールアドレスを獲得しても、「開封されるか不安」に思うこともあるでしょう。メルマガの開封の秘訣としては、SNS、ニュースリリース、オウンドメディアの事例など複数チャネルで発信しているさまざまなタイプの情報をまとめて届けることです。どれか1つの媒体に頼らず複数チャネルで情報を届けることで、間口が広がりコンバージョンにつながることがあるのです。メルマガであればターゲットを絞らず配信できることから、さらに間口を広げられる可能性があるでしょう。

SNSは優れている反面、情報量が多い点を考慮

メルマガを配信すると、「SNSでは気づかなかったけど、メールで情報を拾ってくれた」というケースも出てくるでしょう。実際に資料ダウンロードや問い合わせにおいても、メルマガからの流入が経路だったという経験のあるWebマーケッターもいるでしょう。SNSは発信力や拡散力に優れる反面、情報量が多すぎて情報洪水を起こしている点が懸念と言えます。

そのため、「メルマガは効果が出ない」などと変な先入観を持たずに、一斉送信をした後の反応をチェックすることを心がけましょう。メルマガの内容としては、あまりくわしく記載せずに、あくまでもフックとして利用するイメージが大切です。メールには導入文だけを記載して「くわしくはURLをご確認ください」と興味を惹く文章を意識してください。

メルマガはデータ蓄積によって意味が生まれる

SNS時代のメルマガ_データ蓄積のイメージ

メルマガの効果を向上させるには、データの蓄積とその分析が必要です。資料DL、開封率、開封クリック率、配信停止率などの各指標を集計するなど、データは蓄積してこそ意味があると言えるでしょう。逐年のデータを見て受け手がどんな反応があるのかを常にチェックすることが大切です。数値が月によって大きく変動することは稀ではあるものの、休眠客からお問い合わせがあったり、大型受注につながったりというケースも実際にあるはずです。

メールマーケティングでチェックすべき指標

メルマガなどのメールマーケティングでは下記の指標はしっかりと計測したうえで、月ごとの数値をダッシュボード化して変動や効果を追えるようにすることが望まれます。データは単に保有するだけではなく、蓄積・分析を経て活用することが重要です。

開封率

開封率はユーザーがメールを開封した割合です。ただし、HTMLメールのみ計測可能となります。開封率の平均値はそのメルマガによってまちまちですが、15〜20%を1つの指標にしましょう。配信時間や配信曜日など、さまざまな要因で変化します。

CTR

CTR(Click Through Rate)はメール内のURLをクリックしたユーザーの割合。10%程度が目安となります。CTRが判明することで、ユーザーが興味のある内容に迫れます。

CVR

CVR (Conversion Rate)はコンバージョン率のこと。資料のダウンロード、Webサイトへの登録、問い合わせなど、メールを通じてユーザーが何かしらのアクションを起こした割合となります。CVRはCTRと連携させて考えるとメルマガの良し悪しが分かります。たとえば、CTRが高いにもかかわらずCVRが低ければ、リンク先のサイトでユーザーの心をつかんでいないと推測できます。

エラーメール率

エラーメール率は配信したメールがユーザーに届いていない割合です。ユーザーのメールアドレスの変更が原因の場合が多く、受信ボックスの容量オーバーなどが理由で届かないこともあります。エラーメール率は数%程度に収まると考えられますが、顧客にスムーズな対応ができるよう定期的に整理しましょう。

購読解除率

購読解除率はメルマガの購読を解除された割合です。購読を解除されたメルマガに関してはユーザーのニーズを満たせなかったと判断できるため、解約時にアンケートを設けて正直な意見を収集することに努めましょう。収集した情報から改善策を検討することが大切です。

直帰率

直帰率はメール内のリンクをクリックしたものの、アクセスした先で何もせずにページを閉じた割合です。「半額セール」などとメール内に記載していたにもかかわらず、リンク先で該当ページが見つからないなどのケースで直帰率が上昇します。

ユーザーの行動履歴

メルマガ配信後のユーザーの行動を確認することで、開封率が高い時間帯が分かったり、クリックされやすい文章が分かったりします。

SNSもメルマガも併用でのマーケティングが理想

SNS時代のメルマガ_まとめ

【SNS時代のメールマーケティングのまとめ】

  • 「単純接触効果」はビジネスでも活用が可能
  • メルマガ運用は先入観を持たずにフックの1つと捉えよ
  • メルマガは「継続は力なり」を体現する施策

SNS時代においてもメールマーケティングは十分な効果が期待できます。これはメールの特徴である「単純接触効果」が大きいと考えらえます。定期的にユーザーと接触する機会を持つことで、好印象を持ってもらえる場合があります。そのため、メルマガなどのメールマーケティングの手法と、SNSやオウンドメディアなど、複数のチャネルを集客に活かすことが有効です。「メルマガは開封されにくい」などの先入観を持たずに、幅広いチャネルで情報発信することを意識しましょう。

また、メルマガなどでメールを配信した後は、データの蓄積・分析をすることが大前提だと言えます。ユーザーのニーズを把握して次の配信に活かすというサイクルを継続することで、メールマーケティングにおいて効果を発揮します。