現代のように高度に発展した情報化社会では、ネットワーク上に情報を表示させるためのプログラミング言語が欠かせません。プログラマーやエンジニア職はもちろんのこと、デザイナーやディレクター、データアナリスト、データサイエンティストなどの職種でもプログラミングを身につけようと勉強している方もいます。ただし、プログラミングは独学でも学べるものの、未経験者の場合は「何から手をつけていいか分からない」という方もいるでしょう。
果たして実践で使えるスキルを身につけるには、どんな勉強法がおすすめなのでしょうか。また、独学とスクールでの学びにはどんな違いがあるのでしょうか。おすすめの言語を含め、未経験から学ぶための勉強法について紹介します。
プログラミングは独学で習得できる?
プログラミングは、未経験でも独学での習得は可能です。一見すると、プログラミングの独学は難易度が高いように思われがちですが、最近ではプログラミングが学べるサイトや動画、開発環境などが数多く存在するので、パソコンとインターネット環境さえあれば本格的に勉強できます。
ただし、プログラミングを確実に習得するには「プログラミングを習得して何を作りたいのか」という目標設定が重要です。プログラミングとは目的達成のための手段であり、目的によって習得する言語や学習期間などが異なります。目的が明確になっていない状態で学習を始めると、必要のない勉強をしてしまったり、途中で方向性を見失ったりして効率的な学習が期待できません。また、実務の役に立たない、効率の悪い勉強は挫折にもつながるので、学習を始める前に目的を明確にすることが大切です。
未経験者がプログラミングで挫折しやすい2つのポイント
プログラミングの独学には「コストを抑えられる」「自分のペースで学習できる」「場所や時間に縛られない」といったメリットがあります。しかし、一方で挫折する人が多いのも事実です。国内初のiOSエンジニア専門スクール「iOSアカデミア」を運営する init株式会社が実施した「プログラミング学習経験者300名を対象にしたインターネット調査」によると、プログラミング学習者のうち約9割が挫折を経験しているようです。それだけ、プログラミングの習得には根気がいることを表しています。挫折の理由は次の2点です。
出典:init株式会社「プログラミング学習経験者300名を対象にしたインターネット調査」
学習のモチベーションが続かない
1つ目は、学習のモチベーションが継続できず、途中でやる気を失ってしまうことです。プログラミング学習における最大の壁だと言えるでしょう。プログラミング学習は基礎だけではなく、実際に開発したり、動作させたりして技術を習得していきますが、その際はエラーとの戦いになります。実際、書き込んだプログラムが自分の意図通りに動くのは稀で、プログラミング学習の8割はエラー処理といっても過言ではありません。エラーを解消するには「エラー→仮説→修正→検証」といった作業を何度も繰り返すしかないので、エラーが連続したり、解決できなかったりした際にそのまま学習を諦めてしまうケースが多いようです。
疑問や不明点を解決できない
2つ目の傾向は、分からないことがあった際にそれを解決できないというものです。プログラミングスクールでは専任の講師がいるため、わからないことはその場で解決することができます。しかし、独学となると教えてくれる人がいないので、分からないことを自分で解決しなければなりません。「参考書を読んでも専門用語が多くて理解ができない」「調べ方がわからない」「わかりやすく解説されたサイトが見つからない」なんてことも多々あるので、なかなか不明点が解決できずに挫折してしまう人も多く存在します。
プログラミングを学ぶうえで独学とスクールでの違い
プログラミング学習における独学とスクールには違いがあります。しかし、それはそれぞれの方の学ぶスタイルにもよるので、自分に合った方法で学ぶことをおすすめします。スクールは体系的に学べますが費用が掛かります。独学は時間の融通は利きますが、多人数で行う開発プロジェクトなどの経験が不足しがちです。どちらで基礎を学んでも大丈夫ですが、基礎を学んだ後は実際に仕事をして実践を積む必要があります。
【独学の特徴】
- 自分のペースで学べる
- 分からないところを集中して勉強できる
- 気に入った教材を自分で選べる
【スクールの特徴】
- 何から手を付けていいかわからない人におすすめ
- 基礎から学べる・教えてくれる
- 教材を探すのが面倒な人におすすめ
挫折しないために!目的に沿った言語を選ぼう【言語解説付き】
プログラミングの独学は挫折者が多いですが、挫折せずにプログラミングを習得できている人も大勢います。プログラミング学習での挫折は、コツを押さえながら学習するだけで効果的に防げるので、これから勉強を始める人はもちろん、すでに勉強を始めている人も参考にしてみてください。
“プログラミングで何をしたいのか”を決めよう
プログラミングの学習を始める前に、まずはプログラミングで何がしたいのかという目的を明確にしましょう。たとえば、「iPhoneの○○みたいなアプリを作る」や「自分が考案したWebサービスを作る」「3Dゲームを開発したい」など、プログラミングを習得する目的は人によってさまざまです。そして、目的が具体的であるほど効率的に学習を進められます。
しかし、未経験者の場合は知識がないため、深く掘り下げることが難しいかもしれません。その場合は、アプリ開発なのか、それともAI分野なのかといった方向性を決めるのがおすすめです。方向性を決めるだけでも学ぶべき言語がかなり絞られ、おのずと選択肢が決まってくるでしょう。
使用するプログラミング言語を選択する
プログラミング習得の目的を明確にしたら、今度はそれに適した言語を選択しましょう。その際、考慮するポイントは以下の2点です。
言語選択のポイント
- 何を作りたいのか
- どうなりたいのか
プログラミング言語にはさまざまな種類があり、それぞれ得意とするものが異なります。そのため、「ゲーム開発がしたい」「Webサイトを作りたい」など、目的が決まっている場合は、自分の作りたいものに最適な言語を選ぶ必要があります。
また、将来エンジニアを職業にしたいのであれば、言語の需要や求人数なども加味して選ぶのがおすすめです。需要が高い言語であれば、仕事を見つけやすいですし、学習教材も豊富。ただし、一時的な流行で言語を選んでしまうと習熟した後に需要が減ったり、基礎が疎かになったりして転職が難しくなるという場合もあるので、長期的な視点を忘れないようにしましょう。
アプリ開発に適した言語
Java
業務システムや大規模なシステムで最も使われている言語です。AndoroidアプリといえばJavaというくらい普及しています。デスクトップアプリも開発可能で、1つ覚えることでさまざまなものが作れるためおすすめの言語となっています。
Java入門解説
Kotlin
主にAndroidアプリの開発で使用されている言語で、Javaと完全な互換性を持っているため、Javaで書かれたアプリの改良も可能です。Javaに比べてコードが簡潔な点や、安全性が担保しやすいのが特徴でAndroidアプリをKotlinで開発する人は徐々に増えてきています。
Swift
Apple社が開発したプログラミング言語です。iOSやOSX向けのアプリ開発に適しており、iPhoneアプリを開発したい場合第一候補として上がる言語です。
Web開発に適した言語
Ruby
国産の開発言語であるRubyはWebサービスの構築で多く利用されています。有名なフレームワークである「Ruby on Rails」を利用すれば作りたいものが簡単に作れるほか、仕様変更も手軽にできるため、多くのスタートアップ企業で採用されています。
Ruby入門解説
PHP
Webの開発言語として引き続き人気のあるPHPはWordpressの開発言語としても知られています。WordPressをベースにWebサイトを構築する場合、PHPを学ぶのが一番の近道といえます。
デスクトップアプリ開発に適した言語
C#
パソコンやサーバー用のプログラム、ゲーム、アプリなど、幅広いシーンで利用されている言語です。デスクトップだけでなく、Unityというフレームワークを利用してスマホアプリの開発も可能です。Javaと文法が似ているため、Javaエンジニアが習得しやすい言語としても知られています。
AI・機械学習の分野に適した言語
Python
汎用的で、どんなものでも作れる言語であるPythonは、そのライブラリの豊富さなどからビッグデータやAI分野での活用が進んでいます。簡単に環境構築ができ、AI・機械学習系のライブラリも豊富なため、近年最も人気のプログラミング言語として知られています。
Python入門解説
R
統計分析に特化したプログラミング言語で、データ分析や統計解析などで活用されています。データサイエンティストを目指す方などの利用も増えており、近年では機械学習での利用も広がっています。
未経験からプログラミングを学ぶ際の3つのアドバイス
何を作りたいのか、どうなりたいのかという目的や目標を明確にしたうえで、その道に通じる言語を選択すれば、プログラミング学習を挫折することなく、継続できる可能性が高まるでしょう。プラスして学ぶ方における3つの方法についても紹介します。
小さいものから作っていく
プログラミング言語の基礎を学んだら、実際に作ってみましょう。いきなり高度なものを作ろうとせず、直ぐに完成できる小さなものを選ぶのがポイントです。最初から大きな理想を描いて作り始めてしまうと、いつまでたっても完成しないプログラムを前にモチベーションが下がってしまう恐れがありますが、小さいものから作っていくと小さい成功体験をコツコツと積み重ねることができ、モチベーションも維持しやすくなります。モチベーションを維持しながら学習を続けるには、小さな成功体験の積み重ねが大切です。
サイトや動画などを活用する
プログラミングが学べる動画やサイトは多く存在しますが、最初のうちはゼロから解説しているサイトを参考にするのがおすすめです。もちろん辞書的なサイトを参考にするのも良いですが、それだけでは一連の工程がイメージしにくいほか、躓いた際の原因解明にも時間がかかります。そのため、ある程度慣れてくるまでは細かな手順やポイントなどわかるサイト・動画を活用しましょう。
また、挫折の大きな原因に「不明点が解決できない」というものがありますが、分からないことを質問できるサイトを活用すれば、挫折せずに効率よく学習を進めることが可能です。質問サイトは大きく「掲示板型」と「メンター型」の2種類がありますが、いずれも現役エンジニアやそれなりの知識を持った人が答えてくれるので、積極的に活用しましょう。
可能であればスクールなども活用
プログラミングを独学で習得することは可能ですが、体系的に学ぶとなるとやはりスクールが強いでしょう。そのため、プログラミングを職業にしたい場合はぜひスクールも検討してみてください。スクールにはオンライン・オフラインの2種類ありますので、順番にみていきましょう。
おすすめのオンライン型スクール
TECH::CAMP(テックキャンプ)
基本的なプログラミングはもちろん、WebデザインやAI、テクノロジーセミナーなどのカリキュラムを利用して学習することが可能です。また、エンジニアとして活躍したい人向けの「TECH::EXPERT」では、通常の3倍以上のスキルが学べるほか、転職支援まで行ってくれます。
料金 | 月額:14,800円~ |
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学べる言語 | Ruby・HTML・CSS・JavaScript・SQL・Ruby on Rails・Pythonなど |
公式サイト | https://tech-camp.in/ |
Tech Academy(テックアカデミー)
短期間でプログラミングやアプリ開発のスキルが身に付くブートキャンプを開催しており、いつでも自宅から参加することが可能です。週に2回のビデオチャットやレビューを使用するなど、挫折対策もしっかり考慮されています。
料金 | 4週間:109,000円~(Webアプリケーションコースの場合) |
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学べる言語 | Webアプリケーション・PHP・Laravel・Java・フロントエンド・WordPress・iPhoneアプリ・Androidアプリ・Unityなど |
公式サイト | https://techacademy.jp/ |
侍エンジニア塾
マンツーマン形式で学べるオンラインスクールなので、全くの初心者でも安心して受講することが可能です。受講期間中、実際にフリーランス案件を獲得・提出するというシステムになっており、プログラミングを学びながら実績が作れるのも大きな魅力といえるでしょう。
料金 | 月額:7,000円~ |
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学べる言語 | Ruby・PHP・Python・Java・WordPress・HTML/ CSS・JavaScriptなど |
公式サイト | https://www.sejuku.net/ |
おすすめのオフライン型スクール
KENスクール
プログラミング業界の定番ともいえるスクールです。未経験からの就転職を得意としており、受講開始とともに専任のコーディネーターが手厚くサポートしてくれます。
料金 | 6ヵ月:365,000円~(Javaプログラマー育成コースの場合) |
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学べる言語 | Java・C言語・VB・PHP・WordPress・LAMP・VBA・データベース・スマートフォンアプリ開発・Unityなど |
公式サイト | https://www.kenschool.jp/Program/ |
Winスクール
北海道から鹿児島まで全国展開しているスクールで、年間受講者1万人越えの人気を誇ります。実際に現場で活躍しているプロが指導してくれるほか、個人のスキルや希望に合わせて学習内容をアレンジしてくれるので、プログラミングを効率的に習得することが可能です。
料金 | 6ヵ月:365,000円~(Javaプログラマー育成コースの場合) |
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学べる言語 | Webプログラミング・Java・C言語・Webシステム開発・組み込みシステム開発・AI・Python・Node.jsなど |
公式サイト | https://www.winschool.jp/ |
独学でプログラミングを学ぶ上で大切なことは「継続」
【プログラミング 独学 スクールのまとめ】
- プログラミング学習では約9割に挫折経験があるほど継続しにくい
- 目的や目標に合った言語を選択して、継続して学習することが大切
- Webプログラマーの仕事に就いて働きながら学ぶのも1つの道
プログラミングを独学するうえで重要になるのは、とにかく継続することです。最初はわからないことだらけで躓くことも多々あるはずですが、そこで諦めずに学習を続けられるかが大きなポイントになります。時間がかかったとしても、丁寧に学習していけばきっと解決できるはずなので、中長期的にプログラミングを学ぶ気持ちを持ちましょう。また、近年は実にさまざまな動画やサイトが存在するので、自分にとって使いやすいサイトを見つけ、積極的に活用することをおすすめします。
また、他業種の会社員が働きながら勉強時間を確保するのは難しいので、未経験可能なWebプログラマーの仕事に就いて最初はアシスタントとして働きながら学ぶことも1つの道でしょう。働きながら学ぶ場合は、ポートフォリオも自動的に作成できるし、職務経歴も同時にできるのでおすすめです。言語は、汎用性のあるPythonとPHPなどをまずはマスターするのが良いでしょう。