ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)を設計する専門家であるUI/UXデザイナー。デジタル製品やサービスのユーザー体験を向上させる重要な役割を果たしています。心理学やデザインの原則を活用することから難易度が高い職業だと思われがちですが、未経験から目指すことも可能。この記事では、独学におすすめな勉強法を紹介します。

UIデザイナーは「ユーザーが使いやすいUIを考える職種」

UIデザイナーは、デジタル製品の外観や操作性をデザインし、ユーザーが直感的に理解して使いやすいインターフェースを提供します。企業によって業務範囲が異なる場合もありますが、主な仕事内容は以下のようになります。

デザイン要素の制作
ボタン、アイコン、メニューなど、ユーザーが直接操作する要素をデザインします。これらの要素は、ユーザーが製品を効果的に使用できるかどうかに影響を与えます。

情報の整理
ユーザーが情報を簡単に見つけられるように、情報の階層やカテゴリを設計します。これにより、ユーザーが迷わずに目的地にたどり着けるようになります。

レスポンシブデザインの適用
現代のデジタル製品は、さまざまなデバイスで利用されます。UIデザイナーは、スマートフォン、タブレット、PCなど、異なる画面サイズに適応できるレスポンシブデザインを実現します。

UXデザイナーは「ユーザーが使う製品やサービスのUXを考える職種」

UXデザイナーは、製品やサービス全体のユーザーエクスペリエンスを向上させるために、ユーザーのニーズと要求を研究し、デザインに反映させます。UIデザイナーと兼任する場合もありますが、主な仕事内容は以下のようになります。

ユーザーリサーチ
ユーザーの行動パターンや要求を理解するために、アンケート調査、ユーザーインタビュー、行動観察などを行います。

ユーザージャーニーマップの作成
ユーザーが製品やサービスを利用する過程をマッピングし、ユーザーの感情やニーズの変化を把握します。これにより、ユーザーが満足できる体験を提供するための改善点を特定します。

プロトタイプの開発
ユーザーが製品のデザインを体験できるように、プロトタイプを作成します。ユーザーが製品を操作してフィードバックを提供できるようにし、デザインの詳細な調整を行います。

ユーザーテストと改善
実際のユーザーによるテストを通じて、UXデザインの問題点を洗い出し、改善案を見つけ出します。ユーザーからのフィードバックを活用して、より優れたユーザーエクスペリエンスを実現します。

独学でUI/UXデザイナーなるための勉強法

参考書で勉強する

独学で UI/UXデザイナーになりたい人のために、現在は多くの優れたUI/UXデザインの参考書や教材があります。これらの書籍は、デザインの基本から応用まで幅広いトピックをカバーしています。参考書を読むことで、デザインの理論や基礎知識を学ぶことができます。初心者向けの入門書から実践的なデザインテクニックまで、自分のレベルに合わせて選んでみてください。

UI/UXデザイナーになりたい人におすすめの書籍
UIデザインの教科書(原田 秀司/翔泳社)
UXデザインの教科書(安藤昌也/丸善出版)
UXデザインの法則 ―最高のプロダクトとサービスを支える心理学(Jon Yablonski/オライリージャパン)

スクールに通う

UI/UXデザインに特化したスクールやオンラインコースもあります。これらのスクールでは、専門の講師から直接指導を受けることができ、実践的なプロジェクトを通じてスキルを磨くことができます。スクールに通うことで、デザインに対する深い理解と実践的な経験を得ることができるでしょう。

UI/UXデザインに特化したスクールやオンラインコースの例
・東京デザインプレックス研究所
・TechAcademy(テックアカデミー)
・INTERNETACADEMY(インターネットアカデミー)
・デジタルハリウッド

デザインソフトの操作に慣れる

UI/UXデザインには、Adobe XD、Sketch、Figmaなどのデザインツールがよく使われます。これらのツールを習得することで、実際にデザインを作成し、アイデアを形にするスキルを身につけることができます。オンラインのチュートリアルや講座を通じて、デザインツールの操作に慣れるよう努力しましょう。

既存のUIデザインを観察してみる

成功しているデジタル製品やウェブサイトのUIデザインを観察してみることも重要です。優れたデザインには共通するパターンやアプローチがありますので、これらを学ぶことで自分のデザインに活かすことができます。有名なアプリやウェブサイトのUIを研究し、どのように使いやすさや視覚的な引き付けを実現しているのかを考察してみてください。

UI/UXデザイナーの収入は?

求人ボックスのデータによると、UIデザイナーの平均年収は598万円です。また同サイトによれば、UXデザイナーの平均年収は624万円となっています。厚労省が発表した厚生労働省2020年家計調査では、日本の全年齢の年収中央値は437万円であると公表されています。スキルや所属先、雇用形態にもよりますが、日本の平均年収よりも高い傾向にあることがわかります。

UI/UXデザイナーに求められるスキル

ユーザビリティの視点

ユーザビリティとは、製品やサービスがユーザーにとってどれだけ使いやすいかを示す重要な要素です。UI/UXデザイナーは、ユーザーが製品を直感的に理解し、効果的に使用できるようなデザインを追求する必要があります。

ユーザー視点に立つために必要なスキルの例

ユーザーリサーチ ユーザーのニーズや要求を理解するための重要なスキルです。ユーザーインタビューやアンケート調査、ユーザーの行動観察などを通じて、ユーザーの声に耳を傾け、デザインに反映します。
ユーザージャーニーマップ ユーザーが製品やサービスを利用する過程を可視化する手法です。ユーザーの感情やニーズの変化を把握し、デザインの改善点を特定するために活用されます。

ワイヤーフレームやプロトタイプを作成するスキル

ワイヤーフレームやプロトタイプは、デザインのアイデアを具体的な形に落とし込むために用いられます。これらのスキルを持つことで、デザインの構造やフローを試し、改善点を特定することができます。

ワイヤーフレーム
ワイヤーフレームは、デザインの骨組みを示す簡素な線描のスケッチです。ユーザーインターフェースのレイアウトや要素の配置を検討し、基本的なデザインの方向性を決定する際に用いられます。

プロトタイプ
プロトタイプは、デザインの動きをシミュレートしたものです。ユーザーが製品を操作し、フィードバックを提供することで、デザインの改善点や問題点を洗い出すことができます。

コミュニケーションスキル

UI/UXデザイナーは、クライアントや開発チームとのコミュニケーションが欠かせません。クライアントの要件を理解し、デザインの意図を説明することで、プロジェクトの成功に貢献します。また、開発チームとの連携や調整もスムーズに行うためのコミュニケーションスキルが重要です。コミュニケーションスキルは以下のような場面で必要になります。

クライアントとのコミュニケーション クライアントとの円滑なコミュニケーションを図り、デザインの要件や目標を明確に理解します。クライアントの要望やフィードバックを適切に反映することで、プロジェクトの成功につなげることができます。
チームとの協力 UI/UXデザインは複数のチームとの連携が必要な場合が多いです。開発チームやプロジェクトマネージャーと協力し、デザインの実装に関する調整や問題解決を行うために、効果的なコミュニケーションスキルが必要となります。

UI/UXデザイナーになりたいなら就職や転職が一番の近道

UI/UXデザイナーになりたいなら、専門的なスキルと実務経験を身につけるために、就職や転職が一番の近道と言えます。なぜなら、企業や組織に所属することで、プロのデザインチームやプロジェクトに参加し、実践的な学びを得ることができるからです。また就職や転職をすることで、UI/UXデザインのプロフェッショナルたちと一緒に仕事をすることができます。さらに企業や組織に所属することで、実際のプロジェクトに参加し、クライアントの要件に応じたデザインを提供する経験を積むことができます。デザインチームや上司からのフィードバックを受けることで、デザインスキルの成長につなげることもできます。

UI/UXデザインを学べるWeb系職種を選ぶのもあり

UI/UXデザインを学ぶためには、Web系の職種に就くことも有益です。Webデザイナーやフロントエンドエンジニア、プロダクトマネージャーなどの職種は、UI/UXデザインの要素を含んでおり、デザインに関連するスキルを学ぶことができます。

1.Webデザイナー: Webデザイナーは、Webサイトやアプリのデザインを担当する職種で、UIデザインやユーザーエクスペリエンスの要素を学ぶことができます。

2.フロントエンドエンジニア: フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリのインターフェースを実装する職種です。デザインと技術の両方に関わることで、UI/UXデザインの理解が深まります。

3.プロダクトマネージャー: プロダクトマネージャーは、製品やサービスの開発・改善を担当します。UI/UXデザインの要素を含んだプロジェクトに関わることがあります。

これらの職種に携わることで、UI/UXデザインに必要なスキルや考え方を実践的に学ぶことができます。また、経験を積みながら、UI/UXデザイナーへのステップアップを目指すことも可能です。ただし、組織に就職・転職する場合は、求められるスキルや経験に応じて適切な職種を選ぶことが重要です。自分のスキルセットやキャリアゴールを考慮し、最適な職種を選択しましょう。それと同時に、独学やオンラインコースを活用して、自主的にUI/UXデザインを学ぶことも大切です。組織に所属しながら学ぶことで、より実践的なスキルを身につけることができるでしょう

就職せずに未経験からUI/UXデザイナーになる方法

1.基礎を学ぶ

まずは、UI/UXデザインの基本を学ぶことから始めましょう。デザインの原則やユーザビリティ、カラーやタイポグラフィなどの基礎的な知識を身につけることが重要です。オンラインの教材や書籍を活用して学習し、基本的なデザインスキルを磨いてください。

2.UI/UXデザインの事例を作る

学んだ知識を実践に移すために、自分でUI/UXデザインの事例を作成してみましょう。ポートフォリオとして活用できるデザイン案やプロトタイプを制作することで、自分のスキルをアピールすることができます。個人プロジェクトとして取り組むことで、自分のアイデアを自由に発揮することができます。

3.Webサイトを作る

Webサイトを作成する経験は、UI/UXデザイナーとしてのスキルを高める上で重要です。HTML、CSS、JavaScriptなどのWeb技術を学び、自分でポートフォリオサイトや個人ブログを制作してみましょう。自分のデザインを実際のWebサイトに反映させることで、デザインの実践力が向上します。

4.フリーランスから仕事を始める

未経験からUI/UXデザイナーとしてフリーランスとして活動することも選択肢の一つです。クライアントからの依頼を受けながら、デザインプロジェクトに取り組むことで、実践的な経験を積むことができます。フリーランス活動を通じて、自身のスキルを磨きながら実務経験を積んでください。

5.セルフブランディングをする

自分自身をブランディングし、他の人に自分のデザインスキルや専門知識をアピールすることが重要です。ポートフォリオサイトやSNSを活用して、自分のデザイン作品や知識を発信しましょう。UI/UXデザイナーとしてのアイデンティティを築くことで、注目される機会が増えるでしょう。

6.あらゆる募集に応募する

未経験からのスタートでは、最初は求人募集に制限をかけずに応募することが大切です。経験がない場合でも、自らの意欲や情熱を伝え、デザインのスキルや成長意欲をアピールしましょう。何度もチャレンジすることで、デザイナーとしてのチャンスをつかむことができるかもしれません。

時間はかかるけれど未経験からでもUI/UXデザイナーに挑戦できる

未経験からUI/UXデザイナーになりたいなら、自己学習への情熱が大切です。オンライン教材や書籍を使って基礎から応用まで学び、ポートフォリオを充実させることで実践的なスキルを身につけることができます。さらに、スキルを身につけるのと並行して業界内のネットワークを利用し、情報交換や学びの機会を得ることもおすすめです。WebデザイナーやUIデザイナーを目指して勉強したはいいものの、実務としてアピールできる実績がないために、転職活動がなかなかうまくいかない……と悩んでいる方はインターン型Webデザイン講座を活用するという手もあります。この講座の大きな特徴は、Web制作案件の実務にインターン生として携わることができる点です。

気になる方はこちらのインタビューを参考にしてみてください。

未経験からのチャレンジには時間と忍耐が必要ですが、情熱と努力を持ち続けることで、UI/UXデザイナーとしての夢を実現できるでしょう。

まとめ

UI/UXデザイナーは、ユーザーがWebサイトやアプリを快適に使用できるよう、デザインを設計する職業です。未経験からUI/UXデザイナーを目指す場合、独学で学ぶことも可能です。今回はUI/UXデザイナーになりたい人に向けて、独学におすすめの4つの勉強法について紹介しました。また、未経験からUI/UXデザイナーを目指す場合、独学で学ぶことも可能です。UI/UXデザインは常に進化しているため、学び続けることが大切です。新しい情報や技術を積極的に吸収し、常に自分のスキルをアップデートしましょう。