吉田友和さん(仮名)(26歳)は、映像系の専門学校を卒業後、小規模な映像制作会社に就職しました。同社では主にオフラインエディターとして映像編集に携わる一方で、撮影現場の補助やアシスタント業務、さらには顧客対応など、多岐にわたる業務をこなしていました。この経験を通じて、映像制作の幅広いスキルを身につけた一方で、会社の規模や体制の問題から、より挑戦的な業務や責任あるポジションを任せてもらう機会がなかなか得られず、次第に不満を感じるようになります。
「もっと自分の力を試したい。映像ディレクターとして、作品全体を統括する立場で仕事がしたい」。そうした想いが募り、吉田さんは転職を決意しました。しかし、転職活動は初めての経験であり、どのように進めるべきか、また何を準備すれば良いのかまったく分からず、不安を抱えていました。そんな折、以前同じ専門学校に通っていた友人から転職エージェントの活用を勧められます。
吉田さんは、さっそく気になった転職エージェントサービスに登録しました。するとすぐに担当者から連絡があり、初回の面談が行われました。この面談で担当者は、転職市場での自身の価値を高めるためには、ポートフォリオの質を向上させることが重要だとアドバイスします。
吉田さんは、学生時代に作成した就職活動用のポートフォリオを持っていましたが、専門職としての実績をアピールするための内容や構成にはなっておらず、今の自分にふさわしい形にアップデートする必要がありました。
そこでエージェントは、具体的な改善点をアドバイスしました。ポートフォリオには、自己紹介やキャリアの方向性を明確にするプロフィール、保有スキルや得意分野の記載、さらに過去の作品の概要や制作意図を分かりやすく説明する文章を盛り込むべきだと教えられます。
また、映像作品を簡単に閲覧できるよう、動画のリンクやQRコードを活用する方法も提案されました。このアドバイスを受けて、吉田さんは業務の合間を縫いながらポートフォリオ作成に取り組みました。
試行錯誤を重ねた結果、完成したポートフォリオは、吉田さんの強みや個性がしっかりと伝わる内容に仕上がりました。これを活用し、吉田さんは本格的に転職活動をスタート。複数の企業と面接を重ねる中で、次第に自信も深まり、自分の目指すキャリア像を明確に語れるようになっていきました。そしてついに、ある映像制作会社から映像ディレクター候補として内定を得ることに成功します。
内定を得た会社は、業界でも評判の高い企業であり、映画やテレビCM、ミュージックビデオなどの有名作品を数多く手掛けている会社でした。
新たな職場での業務はこれまで以上に責任が伴い、撮影現場での指揮やスケジュール管理に加え、クライアントとの折衝など、ディレクターとして求められる役割も多岐にわたります。
しかし、吉田さんにとってはこれこそが望んでいた「次のステップ」。
日々の業務を通じて新たなスキルを吸収し、成長を実感する充実した毎日を送っています。
吉田さんの転職成功の裏には、エージェントからの的確なアドバイスと、それを基にして自身の経験やスキルを「見える化」したポートフォリオの存在がありました。また、諦めずに挑戦を続けた行動力が、転職活動を成功に導いた大きな要因でもあります。吉田さんの事例は、映像クリエイターとしてキャリアアップを目指す多くの人々にとって、重要なヒントを与えてくれるものです。