コンシューマ機でリリースされるゲームとは異なり、認知度が低かったインディーゲーム。インディーゲームを知らない人は「アマチュアが作ったのだから大したことない」と考えるのが一般的でした。TBSドラマ「アトムの童(こ)」でも舞台が描かれるなど、一般的に認知されるようになってきています。
近年は市場の成長にも目を見張るものがあり、ドラマでもその世界観が描かれるなど注目度が高まっています。ではなぜ、近年インディーゲームが注目され、人気を博すようになったのでしょうか。インディーゲーム制作の魅力を探りつつ、開発におすすめのエンジンなどを紹介します。
世界で人気沸騰!インディーゲームとは?
インディーゲームとは、インディペンデント・ゲーム(independent game/独立系ゲーム)の略称で、企業に属さず個人または少人数のクリエイターによって低予算で開発されたゲームのことです。自作ゲームや同人ゲームなどもインディーゲームに含まれますが、一概に明確な定義はなされていません。
大手ゲーム開発企業が手がける商業向けゲームや家庭用ゲームと同じように一般のゲーム市場に流通していますが、販売会社と契約をせずにダウンロード配信での販売をメインの流通ルートとなります。高いコストをかけて大人数で開発するビッグタイトルとは異なり、小規模インディーゲームの価格は1,000〜3,000円と安価なのが特徴です。
日本のインディーゲーム業界と発展した背景
1990年代後半ごろ「同人ゲーム」と呼ばれる個人や少人数で開発されたゲームが台頭したことが「インディーゲーム」発展のきっかけです。2000年代になるとFlashゲームが流行し、フリーゲームが登場。この流れに乗って「インディーゲーム」が加わりました。
2010年以降ではインディーゲームの人気が加速。代表的な作品には『マインクラフト』(2019年5月時点での月間アクティブユーザー:1億1200万人)や『PUBG』が挙げられます。
ソニーのハード機PS2~3が発売された2000年以降、ゲーム開発費は高騰していました。そこにゲーム販売チャネルApp StoreやSteamが登場し、販売会社を通さずとも低価格でおもしろいゲームが売れる流れが生まれたことが日本におけるインディーゲームの始まりとされています。
インディーゲームが発展した背景には以下2つが挙げられます。
・ゲーム開発に必要となるゲームエンジンなどが低価格で手に入るようになった
・ゲームを配信するプラットフォームが日本でも整備されはじめた
インターネットの普及により、クリエイター個人がつくったゲームがオンラインで売り出せる時代になったことで、ビッグタイトルにも負けない売上を出せるインディーゲームがメインストリームに登場するようになりました。
2022年度のインディーゲーム市場は43.7億円予測
株式会社矢野経済研究所が発表した「オタク」市場に関する調査によると、2022年度のインディーゲーム市場は、ユーザー消費金額ベースで約43.7億円になると予測されています。2021年度が約28億円だったことと比較すると、急速に伸びている分野と言えるでしょう。
インディーゲームはもともと同人誌即売会での記録媒体による販売や、steamなどを経由して販売されるのが一般的でした。しかし、日本では家庭用ゲーム機が広く普及していることから、パソコンでゲームを遊ぶ習慣は多いとは言えず、インディーゲーム市場はあまり注目されていませんでした。しかし、2020年に大手ゲーム会社がパブリッシングされたインディーゲームをリリースしたことで話題となり、その独創的なシステムや世界観から大きなヒットとなります。こうした流れを見た国内企業は、メジャーなゲームにはない独自の世界観を持つインディーゲームに注目し、市場参入も見られるようになりました。このことが、急速にインディーゲーム市場が伸びた原因と考えられています。
知れば魅力がより分かる!インディーゲームの特徴
通常、ゲーム開発ではプログラミングと専門知識が求められます。しかしインディーゲーム開発では、絶対に必要となるスキルや経験は特にありません。プログラミング言語を使わずにゲームを作ることができるツールがあるからです。インディーゲームの開発エンジンで、特に人気が高く有名なのが総合開発エンジン「Unity」です。このエンジンで開発されたタイトルにはアプリゲームの「白猫プロジェクト」、LINEゲームの「ポコパン」などがあります。マルチプラットフォーム対応のUnityは、専門知識がない素人でもゲーム開発ができる優れものですが、実際に使って動かしながら、勉強していく方法がおすすめです。また、英語を話すことができれば、日本だけでなく世界を市場にできるので有利になるでしょう。
実はインディーゲームだった?代表作や事例を紹介
メジャーなゲーム会社が作らないようなオリジナリティがインディーゲームの魅力です。個人や小規模なサークルが作るため「面白くないのでは」「たいしたことはないのでは」と思われがちです。しかし中には、大ヒットとなるインディーゲーム作品もあります。ここでは、インディーゲームの代表作を紹介します。
「Minecraft(マインクラフト)」(2009年)
今や多くの家庭用ゲーム機でリリースされていますが、もともとはスウェーデンのゲーム会社が作ったインディーゲームでした。独自の世界観と自由度の高さから、徐々に人気が出始め2011年に製品版がリリースされます。
「UNDERTALE(アンダーテイル)」(2015年)
モンスターと戦うといった通常のRPGの要素もありながら、「戦わない」選択もできるという独特な着想が話題を呼んだ作品です。日本版は、2017年にリリースされました。
「天穂(てんすい)のサクナヒメ」(2020年)
稲作に焦点を当てた作品で、リアリティのあるシステムとオリジナリティあふれる世界観で話題となりました。
ゲーム制作においても多様性がスタンダードに
【デザイナー 仕事の種類のまとめ】
- 今後もインディーゲーム市場は拡大が予測される
- 誰もが面白いゲームを作れる時代に突入している
- インディーゲームのクオリティや情熱は侮れない
近年では、大手のゲーム会社が制作したゲームだけでなく、個人やサークルが作ったオリジナリティあふれる作品を遊びたいという人も増えています。またファンの間で人気になり、それがメジャー化されるという流れも増えてきました。ゲーム開発も多様化の流れが来ており、従来の発想に縛られないところから、新しいヒット作が生まれる可能性があります。日本でも、大手メーカーがインディーゲーム市場に参入し、開発に力を入れています。オリジナリティあふれるインディーゲーム開発のために、まずはゲーム関連の会社への就職を考えてみてはいかがでしょうか。