近年、ゲーム市場は拡大の一途を辿っています。eスポーツなど競技としての側面も注目されており、今後も成長が期待される産業の1つです。そのため、将来ゲームクリエイターになりたいと考える人もそれだけ増えているでしょう。
しかし、ゲームクリエイターを目指すためには何が必要で、どんな進路を選べばいいのかを明確に理解できている人もあまり多くないのではないでしょうか。ゲームを趣味ではなく、仕事にするうえで重要な考え方や主な働き口、ゲームクリエイターになるための準備などを紹介します。
ゲームクリエイターは7つのゲーム系職種の総称
ゲームクリエイターは、厳密には職種でなくゲームソフトやアプリの制作・開発に関わる仕事全般を指します。その役割となる範囲は広く、一般的に以下の7つのゲーム系職種の総称とされています。
- プロデューサー
- ディレクター
- プランナー
- シナリオライター
- グラフィックデザイナー
- サウンドクリエイター
- プログラマー
それぞれの職種のくわしい役割について解説します。
プロデューサー
プロデューサーは、ゲームの制作を統括する責任者のことです。予算の管理、メンバーの編成、スケジュール管理などが主な仕事になります。ゲーム制作だけでなく、販売時期や広報などの決定も行います。また、ゲームメーカーとの交渉も仕事の1つです。
ディレクター
ディレクターは、制作現場の監督です。現場でスタッフへ指示を出したり、進捗管理をしたりしながら、指揮を執ります。ゲーム制作に関する知識だけでなく、現場をまとめるマネジメント能力も必要です。
プランナー
プランナーは、新作ゲームの企画を立てる職種です。市場調査などを行い、ユーザーの需要を分析し、興味を惹くゲームを作るため、企画を練ります。企画は制作の関係者だけでなく、スポンサーの要望も加わるため、多くの人の話を聞く必要があります。
シナリオライター
シナリオライターは、ゲームのストーリーやキャラクターを考えます。ストーリーやセリフなど、ゲームの世界観を作り上げます。特にRPGやシミュレーションなど、ストーリー性が重視されるジャンルでは、シナリオが重要視されるため、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、キャラクターや背景のデザインを行う仕事です。最近では、3DCGソフトウェアなどを使用するのが主流です。キャラクターデザインが魅力的に見えるかどうかは、売上に大きく影響することもあるため、スキルや表現力が必要となります。イメージが共有できていれば、その後の作業がスムーズに進みます。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターは、ゲーム内で使用されるBGMや効果音などを制作します。ゲーム音楽は、ゲームの雰囲気を決める大事な役割を持っています。また、「ゲーム音楽」というジャンルも人気で、コンサートやイベントなども開催されているほど人気です。
プログラマー
プログラマーは、ゲームを開発する仕事です。ゲームが仕様書通りに動くように、プログラムを組みます。1つのゲームを制作する際には、複数のプログラマーが存在し、分業制が組まれているのが一般的です。大型ゲームになると、数百人規模のプログラマーが関わることもあります。
上記の職種が、それぞれの役割を持ってゲーム制作に関わっています。ゲームを仕事にしたいのなら、まず自身がどの領域で関わりたいのかを明確にし、知識やスキルを身につけることが大切です。
ゲームクリエイターとしての主な働き口とは?
最近では、TBSドラマ「アトムの童(こ)」に代表されるように、インディーゲームという自主制作のゲームを作るゲームクリエイターが脚光を浴びています。ただ、インディーゲームで日の目を浴びるのは本当にごく一握りです。多くのゲームクリエイターは就職したり、ゲーム会社と業務委託したりするのが一般的です。ゲームクリエイターの主な働き口は、ゲームメーカー、ゲーム制作会社、IT企業などが挙げられます。
ゲームメーカーとゲーム制作会社の違い
ゲームメーカーは、ゲームの企画・開発・販売を行う会社です。一方で、ゲーム制作会社は、ゲームメーカーが企画したゲームの開発を行います。企画やプロデュースはゲームメーカーが行い、キャラクターのグラフィックの制作や動きを付けるのは、制作会社が行います。さらに、制作会社は、自らゲームの企画や開発をすることもあります。
携わりたいゲームがあるなら制作会社を狙う方法もある
「あのゲームの制作に関わりたい」という方は、特定のゲーム制作会社への就職を希望する方法もあります。自分が知っているゲームに関わりたいのであれば、大手ゲームメーカーへの就職を考える方も多いと思いますが、メーカーは企画の立案だけを行い、実際にはゲーム制作会社が作っていることも多いです。有名なゲームケーカーに就職しても、目標としていたゲーム作りに関われないこともあります。そのためメーカーだけでなく、ゲームの制作会社も選択肢に入れて、業界研究をすることをおすすめします。
ゲーム作りで重要な「コミュニケーション」と「国語力」
ゲーム作りでは、スキルの他に「コミュニケーション力」や「国語力」が必要です。ゲーム作りと言うと、「ひたすらパソコンに向かって仕事をする」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、実際にはチームメンバー間のやりとりやミーティングも多くあります。仕事の進捗状況の共有や相談などを気軽に行えれば、よりよいゲームを作り上げられるでしょう。
また、ゲームを作るには国語力も必要です。特に、シナリオライターやプランナー、ディレクターなどに求められます。シナリオライターは、誰の目で見ても分かりやすく、読みやすいシナリオを書く必要があるでしょう。さらに、プランナーやディレクターは、仕様書を書いたり、プレゼンテーションをしたりする機会も多いため、簡潔で分かりやすい日本語表現が求められます。また、不具合や提案などを伝える際にも、国語力は必要となります。
できれば1つのゲームを作ってみよう
ゲームクリエイターになる前からでも、簡単で構わないので、ゲーム作りの一連の流れ(起動~タイトル~デモ~ゲーム~ゲームクリアおよびゲームオーバー~タイトル)を意識しながら1つのゲームを作ってみることをおすすめします。さらにそれを、他人にプレイしてもらって感想を聞く工程を経験しておくことが大事です。こうした経験は、その後のゲームクリエイターの糧になるでしょう。
プログラマー以外を目指している人でも、企画書をまとめたり、音楽を作ってみたりなど、何かしら自分で作ってみることが経験になります。最近では、インターネット上で作り方を学べたり、ツールも多く登場していたりするため、手段は多いでしょう。
「ゲームを仕事にする」ための熱意と準備が重要
【ゲーム 職業 ゲームクリエイターのまとめ】
- ゲームクリエイターは職種ではなく総称
- 多くは企業への就職が出発点となる
- ゲームクリエイターはスキルだけでなくコミュニケーション能力なども必要
ゲームクリエイターは、職種ではなく、ゲーム制作に関わる職種の総称です。さまざまな職種の人々が関わることにより、1つのゲームが完成します。多くの場合は、企業への就職が一般的なので、自分が将来つきたい職種の仕事内容や企業についての研究も行っておきましょう。
多くのゲームクリエイターが作り上げた1つ1つの部品が組み上がり、完成度が増していく過程は非常にやりがいがあり楽しいものです。ゲーム制作は順調なことばかりではありませんが、いずれの職種も自分自身の目標を定めて、前へと進む熱量が大切です。たとえば、「自分の作りたいゲームを作って世に出す」などの目標があれば、情熱を持ちながら仕事に取り組めるでしょう。自分ならではの芯を持ってブレないことが、ゲームクリエイターとして働くうえで重要です。