ゲーム業界に興味がある皆さん、特に10代~20代でこれからゲーム業界を目指している人にとって、覚えておくべき重要なキーワードの一つが「プラットフォーム」です。このコラムでは、ゲーム業界で使われる「プラットフォーム」の意味と種類、そして他の業界での使われ方との違いを解説していきます。

ゲーム業界で使われるプラットフォームの意味とは?

ゲーム業界におけるプラットフォームとは、ゲームが開発され、配信され、プレイされるための基盤や環境を指します。具体的には、ハードウェアやソフトウェアの環境、そしてそれを支えるオンラインサービスのことです。ゲームのプラットフォームには以下のような種類があります。

歴史のある「コンソールプラットフォーム」


コンソールプラットフォームは、専用のゲーム機を使ってゲームをプレイするスタイルのプラットフォームです。任天堂、ソニー、マイクロソフトなどが代表的なコンソールを提供しており、これらのメーカーは家庭用ゲーム機市場を支えてきました。最も有名なものとしては、任天堂の「ファミリーコンピュータ」やソニーの「プレイステーション」シリーズが挙げられます。

コンソールゲームは、テレビ画面を通じてリビングルームで遊ぶことを前提としたもので、専用のコントローラーを使って操作します。家庭用のハードウェアに最適化されているため、グラフィックやサウンドにおいて非常に高品質な体験が可能です。多くのコンソールゲームは、シングルプレイヤーの大作RPGや、オンラインでの対戦が可能なシューティングゲーム、スポーツゲーム、アクションゲームが中心です。

メインターゲットは、主に家庭でゲームを楽しむユーザーを対象にしています。幅広い年齢層が利用しますが、特に20代から40代の男性が多く、家族向けゲームも豊富で、親子で楽しむユーザーも少なくありません。また、長時間にわたってじっくりゲームをプレイしたいコアゲーマー層にも支持されています。

歴史としては1970年代後半に誕生し、1980年代に大きなブームを迎えました。アタリや任天堂の成功により、家庭用ゲーム機の普及が進み、以降ソニーのプレイステーション、マイクロソフトのXboxなど、競争が激化しつつ技術も進化しました。最新のコンソールでは、4KグラフィックスやVR対応など、次世代のゲーム体験が楽しめます。

柔軟な「PCプラットフォーム」


PCプラットフォームは、パーソナルコンピュータ(PC)を使ってゲームをプレイするスタイルです。PCは、他のプラットフォームと比べて柔軟性があり、カスタマイズやアップグレードが可能な点が大きな特徴です。ゲーム販売は主にオンラインストア(Steam、Epic Games Storeなど)を通じて行われており、豊富なタイトルが提供されています。

PCプラットフォームの大きな魅力は、性能や設定を自由に調整できる点です。グラフィックやフレームレートを最適化したり、専用の周辺機器(ゲーミングマウス、キーボード)を使用して、快適にプレイすることができます。ジャンルも非常に豊富で、戦略シミュレーションゲームやMMORPG、インディーゲーム、FPSなど、多様なゲームが楽しめます。

PCプラットフォームは、技術的な知識や高性能なハードウェアに投資できる、やや上級のゲーマーに支持されています。特にグラフィックやフレームレートを重視するユーザーや、モッド(ユーザーが作成した改造)を活用して自由度の高いゲーム体験を求める層に人気があります。また、eスポーツ競技者やプロゲーマーにとっても、PCは主要なプラットフォームです。

PCでのゲームプレイは、1980年代初頭から始まりました。当初はシンプルなテキストベースのゲームが主流でしたが、ハードウェアの進化とともに、1980年代後半からグラフィカルなゲームが増加しました。1990年代には、インターネットを介したオンラインゲームが普及し、今日のPCゲーム市場は、Steamなどのプラットフォームを中心に大規模なものとなっています。

日常に密着する「モバイルプラットフォーム」


モバイルプラットフォームは、スマートフォンやタブレット端末を使用してゲームをプレイするスタイルです。iOSやAndroid向けにリリースされるゲームが中心で、カジュアルゲームから複雑なRPG、さらにはMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)やバトルロイヤル系のゲームもあります。移動中や休憩時間など、手軽にプレイできるのが特徴です。

モバイルゲームは短時間で気軽に楽しめるものが多いですが、最近ではスマートフォンの性能向上に伴い、非常に高度なグラフィックや長時間プレイできるゲームも登場しています。モバイル専用のタッチ操作やスワイプ、加速度センサーなど、スマートフォンならではの直感的な操作感が特徴です。加えて、ガチャ要素を含むソーシャルゲームや無料プレイ型のタイトルも多く、広告や課金を通じて収益化されています。

モバイルゲームは、特定の年齢層や性別を問わず、非常に幅広い層に利用されています。特に、ライトユーザーや普段あまりゲームをプレイしない人々にも人気があり、通勤中や空き時間にプレイできるため、カジュアルなゲーマー層に非常に強い支持があります。また、課金型のゲームも多いため、ゲームにお金をかける層も多いです。

モバイルゲームは、2000年代初頭にシンプルなゲームがフィーチャーフォン向けに登場したことから始まりました。その後、スマートフォンの普及に伴い、2008年頃からiPhoneやAndroid向けのアプリ市場が急成長し、モバイルゲーム産業が本格化しました。現在では、モバイルゲームは世界中で最も大きなゲーム市場となっており、AAAタイトルもモバイル向けに展開されることが一般的になっています。

進化する「クラウドゲームプラットフォーム」


クラウドゲームプラットフォームは、ゲームをインターネット経由でサーバー上で実行し、映像と操作のデータをリアルタイムでやり取りする仕組みです。この技術により、高性能なゲーム機やPCを持っていなくても、スマートフォンや低スペックのデバイスでもリッチなゲーム体験を得られることが特徴です。

クラウドゲームの概念は2000年代から存在していましたが、本格的に市場に登場したのは2010年代です。初期のサービスとしてはOnLiveやGaikaiがありましたが、技術的な制約やインフラの未成熟により成功には至りませんでした。しかし、近年の高速インターネット技術の発展やデータセンターの強化により、Google Stadia(サービスは2023年に終了)、Xbox Cloud Gaming、GeForce NOWといったプラットフォームが登場し、クラウドゲームの普及が進んでいます。

クラウドゲームの最大の特徴は、ハードウェアの制約から解放されることです。高グラフィックで動作するAAAタイトルでも、強力なゲーム機が不要で、インターネットに接続できるデバイスがあれば、いつでもどこでもプレイが可能です。さらに、ゲームのインストールや更新を待つ必要がないため、すぐにゲームを始められる利便性も大きな魅力です。
ユーザー層としてはゲーム専用機は持たないが、気軽にさまざまなタイトルを楽しみたい人。自分のデバイスでは処理が難しいハイエンドゲームを楽しみたいユーザー。
スマートフォンやタブレットで高品質なゲームを体験したい人が多く見受けられます。

没入感が魅力の「VR/ARプラットフォーム」


VR(バーチャルリアリティ)/AR(拡張現実)プラットフォームは、仮想空間や現実世界にデジタル要素を組み合わせることで、従来のゲームとは異なる深い没入感を提供します。特にVRゲームでは、プレイヤーが3Dの仮想空間に入り込み、実際にその世界にいるような感覚を得られるのが大きな特徴です。
VRゲームのルーツは1990年代にさかのぼり、最初期の試みとしてVirtual Boy(任天堂)などがありましたが、技術の限界や商業的な成功には至りませんでした。2010年代に入り、Oculus Rift(Metaが買収)を皮切りに、よりリアルな体験を提供するVRデバイスが登場し、HTC ViveやPlayStation VRが続き、徐々に市場が形成されました。
ARゲームでは、Pokémon GO(2016年)が大成功を収め、現実世界でポケモンを見つけるという新しいゲーム体験を提供しました。これにより、AR技術の可能性が広く認識されるようになりました。
VRゲームでは、プレイヤーは仮想空間に入り込み、コントローラーや体の動きで直接操作することが可能です。例えば、シューティングゲームでは、実際に銃を持っているような感覚で敵を倒したり、アクションゲームでは自分の体を使って障害物を避けることができます。これにより、まるで現実世界のような感覚でゲームを体験する没入感が得られます。
ARゲームでは、現実世界に仮想のキャラクターやオブジェクトが重なり合う形でゲームが展開されます。ポケモンGOのように、現実世界を歩き回ってゲームを進めることで、日常の風景に新たな楽しさを加える体験が得られます。

ユーザー層としては没入感の高い新しい体験を求める、ゲームに対して高い関心を持つゲーマーや最新の技術を楽しみたい人や、体験重視のユーザー。
他のプラットフォームと少し違う点としては、VRを使ったエクササイズやリラクゼーションゲームも人気があり、単なるゲーム以外の目的で使用する人も増えています。

一般業界で使われるプラットフォームとは?

「プラットフォーム」という言葉は、ゲーム業界だけでなく、ビジネス全般でも幅広く使われています。一般業界では、**ビジネス活動やサービスを提供する基盤**を指すことが多く、その種類もさまざまです。

ソフトウェアプラットフォーム

これは、アプリケーションが動作するための環境や基盤です。例えば、**Windows**や**macOS**、**Linux**などのオペレーティングシステムがソフトウェアプラットフォームとして挙げられます。これらは、ソフトウェアを実行するための基本的な環境を提供します。

マーケットプレイス型プラットフォーム

ビジネスでいうプラットフォームの一例が、**Amazon**や**楽天**といったオンラインショッピングのマーケットプレイスです。売り手と買い手を繋ぐ役割を果たし、サービス提供者はこのプラットフォームを介して商品やサービスを販売します。

ソーシャルプラットフォーム

**Facebook**や**Instagram**のようなソーシャルメディアもプラットフォームの一種です。人々が情報を共有したり、交流したりするための基盤となります。

ゲーム業界と一般業界で使われるプラットフォームの違い

ゲーム業界と一般業界での「プラットフォーム」には共通点があるものの、焦点が異なります。ゲーム業界では、プラットフォームは技術的基盤であり、ハードウェアやソフトウェアが密接に関わります。一方、一般業界では、ビジネス活動や取引を支える経済的基盤として機能します。
また、ゲーム業界では、プラットフォームごとに異なるユーザー体験が重視されるのに対し、一般業界では効率的なサービス提供が重要視されます。

なぜゲーム業界を目指すなら「プラットフォーム」を理解すべきなのか

ゲーム業界を目指すなら、「プラットフォーム」という言葉を理解することは不可欠です。
ゲーム開発では、ターゲットプラットフォームごとに異なるユーザー体験や動作環境に合わせた設計が求められます。
モバイル向けカジュアルゲームとPC向けハイエンドゲームでは、開発手法やユーザー層が大きく異なるため、最適化や技術的制約への理解が重要です。
また、クラウドゲームやVR/ARといった新しいプラットフォームも登場しており、幅広いプラットフォーム知識を持つことで、キャリアの選択肢を広げ、最新技術に対応できる柔軟性が得られます。