長引くコロナ禍で、エンターテインメントの制作に関する考え方や制作・提供方法、視聴者の鑑賞の仕方、感じ方、そしてクリエイターの働き方や環境は日々変化しています。
今回は2022年12月5日に行われた“エンターテインメントロイヤー&プロデューサー・四宮隆史先生に聞く ~契約と権利と労働 契約編~”のイベントレポートをお届け。元・TVディレクターの弁護士・四宮隆史先生に、エンターテインメント業界での契約について、事例を交えて解説していただきます。
目まぐるしく変化する「今」、制作に携わるうえで法律や権利について、何を理解し、どのように考えれば良いのでしょうか。一緒に考えていきましょう。
【ダイジェスト動画】でポイントをチェック!
- 日常生活のあらゆる場面で契約は発生している
- 契約書で見るべきポイント
- エンターテインメント業界で頻出する権利と紛争事例
- 日常生活は「契約」であふれている
- 契約書はなんのためにある?
- 契約書のココを見るべし
- 印鑑とサインの違いは?
- エンタメ契約の特殊なところ
- エンタメ契約にまつわる紛争事例
登壇者紹介
四宮 隆史(しのみや・たかし)氏
日常生活は「契約」であふれている
我々は生きているなかで日々契約をしています。法律上、契約は「申し込みと承諾の一致」と定義されています。逆にいうと、それ以外のことは一切書いていません。
申し込みがあり、それを承諾し、双方の考えが一致していればそれは契約です。「この缶コーヒーを買いたいです」「〇〇円です」「では払います」という買い物の一場面も、実は立派な契約なのです。
また、Webサービスの利用規約に同意することも契約になります。
「利用規約に書いてあることをほとんど読まず同意して進める」という人も多いと思いますが、同意したということは「規約の内容を契約として了解・承諾した」ことになります。ですから規約に違反すれば、「契約違反」として訴えられる可能性もあります。
さらに一方的に見せられる注意書きのようなものでも、契約になります。
ある施設に利用するうえでの禁止事項、注意事項、利用ルールやマナーなどは、それを守ることがその施設を利用する条件になるので、違反すれば契約違反です。
「我々はあらゆる場面で契約を交わしている」といっても過言ではありません。「契約とはなにか」「契約に違反したらどうなるか」ということを今一度考えてみて頂けたらと思います。
契約書はなんのためにある?
契約書がなくても契約は成立します。では契約書は何のためにあるのでしょうか。