クリーク・アンド・リバー社は、4月4日(水)~6日(金)の期間、東京ビッグサイトで開催された「コンテンツ東京2018」にて、「VR遠隔医療教育通信システム」の実演デモを実施しました。
「VR遠隔医療教育通信システム」は、遠隔地の映像をVRに映し、その場に居合わせるかのような体験を実現するVRライブの技術を利用したソリューションのこと。
今回のクリーク・アンド・リバー社ブースではその実演デモが行われ、医師解説の元、離れた病院の患者を診察する模様を見ることができました。
「VR遠隔医療教育通信システム」は、低遅延保証で配信したライブカメラ映像の双方向アノテーションを実現し、当該映像を表示・視聴・操作するためのVRデバイス専用ビュアーによってインタラクティブなコミュニケーションを実現しています。これにより、現場にいる医師や患者とのリアルタイムのやり取り並びに遠隔の医師が行っている問診のサポートを行えるようになっています。今回のデモは医療に関連した内容でしたが、これ以外にも施設点検や機械メンテナンス、社内研修、営業への活用など、幅広い用途が期待されます。
そして実演が行われたのは、実際の導入例のひとつにもなっている「Fasciaリリース(筋膜リリース)」に関する教育です。「Fasciaリリース(筋膜リリース)」は肩こりや首こりの原因となっている筋膜の癒着を解消し、筋肉の動きを良くしようとする治療理論です。木村ペインクリニックの院長で日本整形内科学研究会会長の木村裕明さんは「Fasciaリリース(筋膜リリース)」治療のひとつとして、エコーガイド下で生理食塩水を注入し、筋膜の癒着を剥がす最新の治療方法を考案。局所麻酔を使わないため安全かつ即効性があるこの治療方法を普及させるため、多くの場面で実技指導を行ってきたと言います。
その一方で、1人で指導するには時間と場所に制約があります。そこで目をつけたのがVRを使った遠隔医療教育。実技指導を行う上で問題となる教育場所や時間を同時に解決することができるのです。クリーク・アンド・リバー社のブースの一角では、モニターに映し出された診察室に医師と患者が1人ずつ。その診察室に対して、次になにをするべきかを事細かに指示していました。
「VR遠隔医療教育通信システム」のシステム構想イメージは主に3種類あります。ひとつはモバイルルーターを使用したライブ配信。360度カメラを使用したライブストリームングで、アノテーション機能を使いコミュニケーションを図ります。モバイルルーターを使うことで回線工事などを行うことなく、通信システムを導入できることも魅力です。
モバイルルーターを使用したVOD配信も手段のひとつです。こちらは録画済みのVR動画に対してリアルタイムでアノテーションを行う手法。遠隔の多拠点にいながら、VR映像を同時再生してコミュニケーションを取ることができます。こちらもモバイルルータを使用したシステムのため、専用回線は不要。またライブ配信ではないので多人数視聴にも耐えられます。
そして3つ目の手段は、専用回線や専用筐体を活用したライブ配信。導入拠点に専用回線を設置し、高画質・低遅延のシステムを実装します。海外拠点との接続や、多人数での視聴など、回線負荷の大きい場面でも活躍が見込めます。
今回のデモ映像は3つ目として紹介した専用回線によるライブ配信を用いています。より多くの情報を送受信できるため、診察室の映像だけでなくエコー映像も同時に出力することが可能。またVRの映像には施術中の注意点などを音声だけでなく画像でも発信可能です。
モバイルルーターで実装可能な最小設計から、専用筐体の開発設置までカスタマイズ可能なのは確かな魅力。多様な分野での活躍が期待できるシステムです。
テキスト:岸 由真/撮影:CREATIVE VILLAGE編集部