4月4日から4月6日の期間、東京ビッグサイトにて開催された「コンテンツ東京2018」。本イベント内クリーク・アンド・リバー社のブースに、映像制作ソフト「CACANi(カカーニ)」が出展されました。
「CACANi(カカーニ)」は、シンガポールに本社を置くデジタルアニメーションソフトウェアの製造・販売メーカーCACANi Private Ltd.が開発した、中割り生成機能付き2Dアニメーション制作ソフト。先日クリーク・アンド・リバー社が日本国内の販売における総代理店契約を締結すると発表したばかりの最新ソフトです。日本では2018年夏より、正式販売を開始する予定となっています。
今回のブースではテレビアニメ「サクラダリセット」や「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」、最近では「キャプテン翼」のアニメ製作を手掛けるデイヴィッドプロダクションのスタッフと、声優として活躍する東城咲耶子さんが参加。「CACANi」の解説を行うとともに、機能を体験できるタッチ&トライの時間も設けられました。
「CACANi」最大の特徴は、1キーフレーム目となるイラストと、2キーフレーム目となるイラスト間の絵を自動で描いてくれるところです。いわゆる中割りと呼ばれる部分を自動的に生成してくれることで、アニメ制作にかかる時間とコストを大幅に下げることが可能となります。従来のアニメ制作の工程では、スムーズな動作に見せるためにキーフレームを繋ぐ膨大な量の絵を描く必要がありました。中割りは実際の作中で目立つ場面は少ないものの、枚数が多いため人手と時間が求められました。
しかしデイヴィッドプロダクションのスタッフによると、「CACANi」を使えば従来の半分の工数にまで削減できるとのことです。
また自動彩色ワークフローも備えており、キーフレームにあらかじめ色を付けておけば、自動生成された中割にも同様の彩色が施されます。描線の種類によってレイヤーを切り替え、マルチレイヤーを処理できるように設計されているのも特徴のひとつ。絵を描く、トレース、編集といった動画制作に必要なすべてが「CACANi」の中にまとまっているのです。
実演ライブを行ってみせた東城さんは、自分自身で描いたイラストを用いてアニメーション作りを実践。簡単なイラストでも手軽に動画化できることに驚いている様子でした。また東城さんはインターフェイスやボタンの分かりやすさも嬉しいポイントだったと言います。シンガポール発のソフトですがすでに日本語化されており、さらにアイコンも日本人が理解できるものになっています。そのため、「CACANi」を使ったことのない初心者でもすぐに扱うことが可能です。
「CACANi」はプロユースとして工数削減ができ、ホビーユースとしては、イラストが描けるアーティストが線画を書けばアニメーションしてくれるユーザーのスキルレベルや環境を選ばない便利なツールです。
加えて東城さんはさまざまなファイル形式で保存できることにも注目。一般的な動画形式はもちろん、GIFなどにも対応しているため、SNSで発信できることを喜んでいました。また「CACANi」はベクターグラフィックファイルが小さいため、どんな解像度のアニメーションシーケンスを書き出すときでもメモリを最大限利用することが可能です。このおかげで携帯機器から大型印刷メディアまで、あらゆるプラットフォームでアニメーション作品を公開できます。
導入が容易なため企業だけでなく個人クリエイターでも手が届きやすくなっています。今後はこのソフトを利用した、独創的なアニメーション作品が世に送り出されるかもしれません。
なお、出展に参加したデイヴィッドプロダクションは、すでにクリーク・アンド・リバー社との協業を発表しています。またクリーク・アンド・リバー社も、自社スタジオにおいてデジタルアニメの制作を進めています。今後「CACANi」を活用したアニメの制作、そして発表にも期待したいところです。
テキスト:岸 由真/撮影:CREATIVE VILLAGE編集部