2020年の東京五輪に向けて、日本のコンテンツ制作力を高めるのを目的のひとつとして設立された「東京国際プロジェクションマッピングアワードvol.1」。
先のリオデジャネイロ五輪の開会式においても斬新な映像演出で記憶に新しいように、ここ数年でひとつの映像技術分野としての存在感が増しているプロジェクションマッピングの技術高度化と普及を促進する、若手クリエイターの登竜門となりそうです。

関和亮さん
関和亮さん

その上映会・授賞式の12月17日(土)東京ビックサイトでの開催に先駆けて、審査員の一人である関和亮さんによるトークショーが実施されました。
サカナクション、Perfume、OKGoなど国内外で大きな話題を集めたMVを始め、数多くの作品を世に生み出してきた自身の経歴を振り返りつつ、学生の質問にも答えた貴重な時間となりました。

サカナクション『アルクアラウンド』MV(2010年)など、具体的な作品を例に話は進められていきました。『アルクアラウンド』に関しては、「マイクスタンドに歌詞を貼り付けて並べてるんですが全部の歌詞やりたいっていったらふざけんなって言われて(笑)並べるだけで10何時間かかっちゃって撮影しだしたのがもう夜中の12時とかでしたかね。その間(サカナクションの)メンバーもずっと待たせて…そのあと何回も何回もトライして、何テイクとったか覚えてないですね。実際使っているのが最後から2番目のテイクです。この後もう1回だけって思ったら(夜が明けて)空が白けてきちゃって」と撮影時のエピソードを明かしました。

そして、MCに「CGでも作れると思いますがなぜあえてアナログで?」と問われると、関さんからは「まずは歌詞を見せたいという強い要望がアーティストからありました。最初はCGという話もあったんですけど、やっぱり見ればすぐCGだって分かっちゃうんで、そしたら本当に置いてみようとなりました。あとは(曲名が)アルクって言ってるんだから誰か歩かないととだめだろうな、とか(笑)拾えるところをどんどん拾っていって詰め込んだ感じですね。このアイデアを突然ひらめいたというよりは曲からの要素をひとつひとつ拾っていったらこうなったという感じです」と制作に至った経緯が語られました。

その他にも木村カエラ『Sun shower』、Perfume『Magic of Love』、OK Go『I Won’t Let You Down』それぞれのMVについてのエピソードが語られ、最後には学生からの質問に答えました。

学生からの質問に答える関和亮さん
学生からの質問に答える関和亮さん

現在、2つの学校の合同チームのまとめ役がうまく行かず、「別の方向を向いている人たちを上手く両立させる方法はありますか?」という学生の質問に対しては「うーん。説得するしかないよねえ(笑)」と答えつつ、「とりまとめているのが君なんだったらあなたがいいと思ったものを通していくしかないかも。自分が目指す理想に向かって、何がこのチームにできるかというのを決めなくちゃいけない。迷っちゃいけないと思う。その上でこれはやめてくれ、というのもちゃんと言わなくちゃいけないし。2つの間を取り持つとか、おべっかを使うという考え方だとなかなかうまく行かないですね。自分で決めないといけない」と続けました。

さらに、自身の経験にも照らし合わせ、「MVを作る時もやっぱりそう。皆でやってるとぶつかる時って当然ある。意見が合わないもの同士の一番の解決策は会って話すこと。でもそこでもなんで駄目なのか、こうしたら良くなるっていう理由を自分でしっかりもたないと進まない。2ついるからいいとこどりしよう、みたいなものはだいたい失敗するから、そこはもう腕の見せどころだよね。監督は味方も多いけど敵も多いからね…あれ人生相談みたいになってきたな(笑)」と的確なアドバイスの中でも笑いを誘っていました。

そして、学生へのメッセージとして「自分の好きな事や興味のある事に没頭した方がいいと思う。学生の時間を有効につかった方がいい。そして勉強した方がいい。みんなもご両親に言われるでしょう(笑)この年になって親に勉強しなさいって言われたのが染みますね。」とエールを送りました。

開催概要

東京国際プロジェクションマッピングアワード vol.1 上映会・表彰式
実施日時:2016年12月17日(土)16:30開場 17:00上映開始 ※予定
会場:東京ビックサイト会議棟前広場
入場無料
https://pmaward.jp

(2016年11月28日 CREATIVE VILLAGE編集部)