ネイチャードキュメンタリーのトップブランド<BBCアース>が、子供から大人まで幅広い世代に愛される〈ピクサー・スタジオ〉の協力を得て生み出した、映画『小さな世界はワンダーランド』。
本作の監督・脚本・製作を務める、マーク・ブラウンロウが初来日し、BBCアース作品の監修を手がけ、TV番組にも出演する、日本が誇る野生動物のスペシャリスト新宅広二先生(生態科学研究機構理事長)と共に、Apple Store銀座店で開催されるトークイベント「Meet the Filmmaker」に登壇しました。
「昨年みた作品の中で一番よかった!」と熱を込めて語る新宅先生が、ブラウンロウ監督ならではの撮影秘話や、BBCが誇る世界最高の撮影技術、そして未だ謎の多いネイチャー・ドキュメンタリーのトップブランドNHU(ナチュラル・ヒストリー・ユニット)の内側に迫りました。
新宅先生が、今まで大きな生物を撮ることが多かったBBCのネイチャー・ドキュメンタリーが、今回シマリスやスコーピオンマウスなど小さい生物を主人公にした理由を尋ねると、監督からは「私たちの足元に潜む小さな生き物こそ、すごく力強く生きていると気づいたからです」との答え。「例えば、どんぐりが一つ落ちるだけでも、彼らにとっては隕石が落ちてきたくらいの衝撃を受けるわけです。すごくドラマチッですよね」と、今回のテーマを選んだ理由を明かしました。
さらに「小さい動物を撮るには機材がないんです。全部半分のサイズぐらいでないと。今回、潜望鏡の先にカメラがついているような、そんなカメラを開発してもらって、それで撮影しました」とBBCの技術力を窺わせるエピソードも披露。そして、作品の世界をよりリアルにするために、自然の音を録音して、人間が聞いている音ではなくて、小さな生き物たちが実際に聞いている音に近づくように試行錯誤を重ねたことを明かしました。例えば、スコーピオンマウスの遠吠えのシーンも、人間が聞くとただの「キーッ」という高音にしか聞こえませんが、小動物にはライオンの鳴き声のように力強く聞こえているそうです。見ている人にもその世界を感じてほしくて、楽しみながら音を作ったとのこと。
そのような制作の舞台裏が垣間見える話題に加え、来場したお客さんとの質疑応答も交えて、盛況のうちにイベントは幕を閉じました。
■作品情報
『小さな世界はワンダーランド』
2015年5月9日(土) TOHOシネマズ 新宿 他全国順次ロードショー
監督/脚本/製作:マーク・ブラウンロウ『プラネットアース』
脚本/製作:マイケル・ガントン『ライフ -いのちをつなぐ物語-』
原題:TINY GIANTS3D/2014年/イギリス/カラー/5.1CH/ビスタ/44分/
吹替翻訳:中島多恵子/提供:BBCワールドワイド ジャパン
配給:ギャガ
(2015年04月24日 CREATIVE VILLAGE編集部)