映画『敵』の吉田大八監督が、「第18回アジア・フィルム・アワード」において最優秀監督賞を受賞した。本作は、株式会社ギークピクチュアズが企画・製作を手掛け、筒井康隆の同名小説を原作とする作品である。
アジア・フィルム・アワード(AFA)は、アジア映画業界の発展を目的に2007年に創設され、“アジア版アカデミー賞”とも称される。本賞では、過去に是枝裕和監督の『万引き家族』(2018)、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』(2019)、黒沢清監督の『スパイの妻 劇場版』(2020)、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(2021)、『悪は存在しない』(2023)などが受賞してきた。
3月16日に開催された第18回AFA授賞式において、吉田監督は『敵』で最優秀監督賞を受賞。日本人監督による受賞は、2023年、2024年の是枝裕和監督に続き、3年連続の快挙となった。吉田監督は「若い頃から愛読していた筒井康隆先生の小説を映画化できる幸運に恵まれ、それを信頼できるスタッフや素晴らしい俳優たちと作り上げたことは、監督として最高の経験だった。さらに、このような素晴らしい賞をいただき、これ以上の喜びはない」とコメントした。
『敵』は、吉田監督が『桐島、部活やめるってよ』(2012)、『騙し絵の牙』(2021)に続き手掛けた作品で、企画から製作まで5年をかけて完成した。2024年の東京国際映画祭では、最高賞である「東京グランプリ/東京都知事賞」を受賞するなど、高い評価を受けている。
本作は現在全国公開中で、今後も香港国際映画祭(香港)、アイルランド日本映画祭(アイルランド)、ウーディネ・ファーイースト映画祭(イタリア)など、世界各国の映画祭への出品が決定している。